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【書籍化】小さな転生貴族、異世界でスローライフをはじめました  作者: 福音希望
第七章 成長した転生貴族は冒険者になる 【学院編2】
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閑話4-1 とある夫人たちのお茶会


 ここはキュラソー公爵邸。

 その庭に二人の女性がお茶会をしていた。

 一人の女性はカレンデュラ=キュラソー──先代キュラソー公爵夫人である。

 もう一人はリナリア=バランタイン──バランタイン伯爵夫人である。


「こうやってお茶会を開くのも久しぶりね」


 カレンデュラがそう口にする。

 前回からもうかれこれ半年以上もお茶会を開いていなかった。

 だからこそ、そのようなことを告げたわけだ。

 しかし、そんなカレンデュラの言葉にリナリアも返答する。


「私のせいみたいに言いたそうだけど、お互い様じゃないかしら? たしかに私も忙しいけど、カレンも忙しかったでしょ?」

「まあ、そうね。お互い名家の夫人になってしまったから、忙しいのは仕方がないわね」


 リナリアの言葉にカレンデュラの方も肩をすくめる。

 たしかに最初の言葉にはリナリアの言ったようなニュアンスはあったが、別に批判するつもりは全くなかった。

 リナリアの言っていることがもっともだからである。

 ちなみに、この二人は王立学院時代の同級生──ライバル兼親友であった。


「まさか、あのカレンがキュラソー公爵家に嫁ぐなんてあの時は思ってもみなかったわ。男なんて獣としか思っていなさそうだったのに……」

「リアだって、そうじゃない。普段は喧嘩ばっかりしていたはずなのに、いつの間にか付き合っていたじゃない。しかも、先代バランタイン伯爵との決闘だなんて……そんな楽しい事、なんで呼んでくれなかったの?」

「そんなこと、呼べるわけないじゃない。そもそも戦ったのは旦那さまだし……」


 二人は学生時代の恋愛話に花を咲かせる。

 お互いの学生時代を知っているからこそ、こういう話ができるのだ。

 どちらもライバルとして競い合っていたため、男っ気がなかったことを知っていた。

 だからこそ、お互いが結婚をしたという話を聞いて、驚いてしまったのだ。


「そういえば、聞いたわよ」

「何を?」


 カレンデュラが楽しそうな表情を浮かべながら、リナリアに声をかける。

 身に覚えのないリナリアは首を傾げる。

 そんな彼女にカレンデュラは告げる。


「うちの孫娘を知っているわね? イリアちゃん、っていうの」

「ああ、そういえばいたわね。たしか、現公爵の娘で、天才だったのよね? その娘がどうしたの?」

「イリアちゃん、リナリアの孫のことが好きみたいなのよ」

「え?」


 カレンデュラの言葉にリナリアが驚く。

 しかし、すぎにリナリアは質問をする。


「それはどっち?」

「どっち? どういうこと?」

「私の孫は複数人いるけど、その条件に思い至る孫は二人いるのよ」

「ああ、そういうこと……たしか、グレインって子の方よ」

「グレイン君ね」


 カレンデュラの言葉にリナリアは納得する。

 たしかに天才と呼ばれるような才女が恋をするのであれば、グレインのような規格外の子だろう。

 シリウスに恋をしたというよりは納得できる。


「驚かないのね?」

「もちろん、驚いたわよ。でも、グレイン君の方だったら、納得だわ」

「そうなの? もう一人の方じゃ、納得できないの?」


 カレンデュラは純粋な質問を投げかける。

 リナリアの言い方だと、そう受け取れるからだ。

 その質問にリナリアは答える。


「カレンも聞いたことはあるかもしれないけど、グレイン君の方は化け物みたいな能力を持っているのよ。イリアちゃんにはそういう人間の方が合うんじゃないかしら?」

「化け物って、かわいそうね……まあ、そういう噂は聞いたことあるけど……」

「ちなみにもう一人のシリウス君はとても可愛らしい子よ」

「可愛らしい? かっこいいじゃなくて?」


 リナリアの説明にカレンデュラは聞き返す。

 彼女の疑問はもっともである。

 可愛らしいという表現は到底男に使うようなものではないからだ。

 しかし、それは間違いでも何でもなかった。


「グレイン君曰く、王立学院で男女ともに人気ナンバー1らしいわ。女の子たちもシリウス君の美しさにひれ伏すほどらしいわ」

「……どんな状況になっているのかしら?」


 カレンデュラは若干引いていた。

 どういうことをすれば、そんなことになるのだろうか?


「そうね……私が初めてシリウス君を見たとき、思わず女性としての自信を失ってしまったわ」

「……それは会いたいけど、会ってみたくはない気持ちもあるわね」


 リナリアの説明にカレンデュラはそんなことを言った。

 カレンデュラにとって、リナリアはライバルであり、その美しさも認めている。

 そんなリナリアが自信を無くすほどという美しさを見て見たくはあるが、それを見ると自分も自信を無くしそうで怖いのだ。


「まあ、そんなシリウス君よりはグレイン君の方がイリアちゃんに合っているでしょ?」

「……たしかにそうね」


 リナリアの説明に納得をせざるを得ないカレンデュラだった。







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