↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】小さな転生貴族、異世界でスローライフをはじめました  作者: 福音希望
第七章 成長した転生貴族は冒険者になる 【学院編2】
PR
338/618

7-73 死んだ社畜は防具を提案する 2


「さて、嬢ちゃんはどんな防具を作りたいんだ?」


 話は終わったと思ったのか、ディフさんがリュコに話しかける。

 その質問にリュコは少し考えてから、口を開いた。


「そうですね……私も動きやすいような装備の方がありがたいですね。手甲と足甲、あとは胸当てぐらいで十分ですね」

「それだけでいいのか?」

「大まかにはそうですね。ただ追加で一つ作って欲しいものが……」

「なんだ?」

「拳を作ったときに指の付け根辺りを覆うようなものを作って欲しいんですが……」

「ん?」


 リュコの説明にディフさんが怪訝そうな表情を浮かべる。

 それは俺も同様だった。

 リュコは一体何を言っているのだろうか?


「リュコ、何を作るつもりなんだ?」

「拳を覆う防具──どちらかというと、武器ですかね?」

「武器?」


 リュコは何を言っているのだろうか?

 今は防具屋に来てもらっているのに、どうして武器を……

 いや、「どちらかというと」と言っているので、防具としても使うことが出来るということか?

 拳を覆う、と言っているし……


「私の戦闘スタイルには相手を殴ることもあります。ただ、相手が硬い場合にはこのスタイルを使うことが出来ません」

「どれだけ硬い相手でも殴ることが出来るように、ということか?」

「ええ、そうです。といっても、拳全体を覆うようなものを作ってしまえば、他の戦い方が出来なくなるので、付け根のあたりだけを覆うようなものを作ってもらいたいわけですが……」

「拳を作ったときに指の付け根辺りを覆うようなものだよな?」


 リュコの説明を聞き、俺は頭に思い浮かべる。

 相手を殴るため……

 拳を作ったときに殴る場所を金属部分で……


 ………


……


 …


 それって、メリケンサックじゃね?

 その名前が出てこなかったから、まったく思い出せなかった。

 だが、よくよく考えるとメリケンサックそのものかもしれない。

 まさかメリケンサックを思いつくとは、リュコはなんて恐ろしい子なんだろうか。

 あんな不良が喧嘩で使うような……いや、俺が生きていた時代の不良ですら使わないような前時代の遺物みたいなものを……

 しかし、リュコの戦い方だと有効かもしれない。


「ああ、わかった。武器としても使うことのできる防具ということじゃな? 今の話でなんとなく理解することはできたから、いくつか試作品を作ってもいいかな?」

「グレイン様、よろしいですか?」

「ああ、別に構わないよ。そもそも俺たちの防具だけを作っても、素材はただただ余るだけだからな。半分以上は余るんじゃないか?」


 リュコに視線を向けられた俺はアブソルシルバーイーターの死体を見て、そう呟いた。

 近くで見ると、本当にでかい。

 これだけあれば、俺たちの装備ぐらいなら全身の半分で十分だろう。

 そんな俺の言葉を聞いて、ディフさんが話してくれる。


「たしかにそれぐらいは余るだろうが、それぐらい余らないといかんだろうな」

「ん? どういうことですか?」

「お前さんらはまだ子供だろう? だったら、今後も防具を手直ししていかないといけなくなるはずだ」

「手直し? メンテナンスってことですか?」

「そういうことじゃない。お前さんたちの成長に合わせて大きさを変えたりしないといけなんだよ」

「ああ、そういうことですか」


 ディフさんの言葉に納得することはできた。

 たしかに成長に合わせて手直ししていくのであれば、半分ぐらい余っていた方が良いのかもしれないな。

 それに今後も何が起こるのかわからないが、もしかすると防具を破壊されるような事態に陥るかもしれない。

 そのときに直すために素材が必要になってくる。

 余るに越したことはないわけだ。


「まあ、女共は今と背丈が変わることはないだろうから、一人分で十分かもしれないがな」

「一人分?」


 ディフさんの言葉に俺は首を傾げる。

 何を言って……あっ!


「ディフさん」

「ん?」

「実はこちらのシリウスは男です」

「は?」


 シリウスを指さして伝えると、ディフさんはぽかんとした表情を浮かべた。

 ああ、やっぱり勘違いしていたか。

 まあ、初見の人は仕方がないことかもしれないが……


「それは本当なのか? どう見ても女の子にしか見えないが……」

「正真正銘、男ですよ。確かに見た目は生まれた性別を間違えたと言われても仕方がないですが……」

「グレイン、そこまで言われていないよ?」


 ディフさんの言葉に俺は頷きながら返事をするが、その言葉にシリウスが反論してきた。

 彼としては、そこまで言われたくはなかったのだろう。

 女性に間違われているのは慣れていても、俺が言ったことは否定したいわけだ。

 だが、別にこれは俺が思っているわけじゃないぞ?

 王立学院でもシリウスの入学時から大多数が思っていることらしい。

 といっても、最近はこの意見も減ってきたらしいがな。

 ちなみに新しく台頭してきたのが、「男だっていいじゃない。だって、かわいいんだもの」である。

 もう性別を超越しているわけだ。

 流石にこれをシリウスに伝えるわけにはいかないが……


「正直なところ、この美人集団の中で一番かわいいと思うんだが……」

(((メラッ)))

「ディフさん、ストップ」


 ディフさんの言葉でこの場の空気が一気に変わった。

 リュコ以外の女性陣の背後からメラメラと何かが燃えているような雰囲気だった。

 リュコはあまり自分の容姿など気にしていないからな。

 十分綺麗なんだけど。






ブックマーク・評価・レビュー等は作者のやる気につながるので、是非お願いします。

勝手にランキングの方もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。