~シェルタイト慕情~
お前が俺の存在を知ったのは、ほんの数ヶ月前。
でも俺はずっと前からお前を知っていた──
母(ノンマルタスの女王)が俺に実の両親と双子の兄の話をしたのは、俺が五歳の時だった。
母はただ事実のみを告げた。
『貴方は海に流されたのだ』と。
『貴方の父母の、一族の想いを慮る事は出来ても……それは必ずしも真実ではない。それは貴方自身が見定める事』
母は一族が俺を捨てた行為を肯定も否定もしなかった。
実の両親の真実を――
そして一族を許すも許さないも、それは俺自身が決める事だと母は暗に語っていた。
八歳の時――
『次代のノンマルタスの王として“ムーカイト”を見ておきなさい』
との母からの命を受け、俺は初めて“故郷の島”を訪れた。
会うつもりはなかった。
三年前、母から実の両親と兄の話を聞かされても実感はなかった。
……が、近くに居ると思っただけで居ても立っても居られなくなった。
気がつくと足は“その場所”へ向かっていた。
憎んでいるのか、愛しているのか?
許すのか、許さないのか?
そんな事を考えていた訳ではなかった。
ただ、一目でいいから血の繋がった“家族”が見てみたかった。
俺と生き写しの――セレスを見つけた時、傍にいるのが両親である事も分かった。
あれが俺の父と母と兄なんだと。
嬉しかった!
思わず叫びそうになった。
――俺は此処に居る!――
でも……
それは出来ないのだと思った瞬間、胸が張り裂けそうになった。
“あそこに自分の居場所はないのだ”と認識させられた瞬間だった。
“自分は捨てられたのだ”という事実を思い知らされた。
“もう二度と来ない!”そう思った。
けれど気がつくと、何故か足が向かっていた。
行けば辛いだけなのに。
幸せそうな家族の姿を見れば傷つくのは自分なのに。
何故――!?
自分で自分の気持ちが分からないまま――ただずっと見つめていた。
母が死んだ時も。
父が死んだ時も。
ただ、見つめているしかなかった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
そして――“運命”は動く!
宿命の兄弟が相見える時が来る!
シェルタイトは自らの想いを胸に秘め、見極める為に――
そして決断する為に――
故郷であるムーカイトに帰って来たのだ!




