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【聖獣機神ガオガオン】社畜エンジニア、東京のダンジョンでメカ美女たちと合体無双〜スイーツ片手に気ままな魔将機狩り〜  作者: 月神世一


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EP 7

天空のライバル・朱雀のプライド(背中・翼)

「……おい、人間。本当にこんな高い所にヤツがいるのか? 我のセンサーより、お前のその『すまほ』とやらの方が優秀だと言うつもりか?」

東京のド真ん中、新宿にそびえ立つ超高層ビルの屋上。

吹き荒れる強風の中、ホログラム偽装を解いたガオンが不満げに鼻を鳴らした。

「俺の組んだ特製サーチAIを舐めるな。お前たちのマナの波長から『最もプライドが高くて目立ちたがり屋な波形』を抽出・逆算したんだ。……ほら、ビンゴだろ」

俺がノートPCの画面から視線を上げると、ヘリポートの先端、柵もない縁のギリギリに立つ人影があった。

燃えるような真紅の髪に、ホスト顔負けの派手な深紅のスーツ。

彼は東京の夜景を見下ろしながら、片手に持ったクリスタルグラスを気取った仕草で傾けていた(中身は高級なぶどうジュースのようだ)。

「……遅かったじゃないか、ガオン。這いつくばって泥水をすするお前には、この『空の特等席』まで登ってくるのは酷だったかな?」

『朱雀……! 貴様、こんな所で何を気取っている!』

真紅の男――朱雀は、フッと鼻で笑って振り返った。

「気取ってなどいないさ。俺は空の王者だ。地上でウロチョロしているお前たちとは次元が違う。……それにしても」

朱雀の鋭い視線が、俺、そして後ろで控えている美少女三人組(クレープをかじる白虎、スマホで株価をチェックする青龍、俺の背中にぴったり張り付いている玄武)へと向けられた。

「誇り高き聖獣のリーダーたるガオンが、あろうことか『人間』の下につくとはな。しかも、こんな軟弱そうな男に。笑い話にもならないぞ」

「軟弱で悪かったな。俺はただ、あそこのラウンジで出してる『1日5食限定・天空の金箔マカロン』を買って帰りたいだけなんだ。さっさと背中にくっついてくれ」

「……ハッ。俺の翼が欲しいなら、力で奪ってみせろ! 俺の背に乗る資格があるか、試してやる!」

朱雀がグラスを放り投げると、その身体が爆発的な炎に包まれた。

紅蓮の炎が晴れた後には、全長十メートルを超える巨大な機械の怪鳥――聖獣・朱雀が上空を旋回していた。

『来い、ガオン! そして人間! 俺の神速の機動についてこられるか!』

バサァッ!と巨大な鋼鉄の翼が羽ばたき、朱雀が超音速で空を切り裂く。

ただ飛ぶだけではない。上空から無数の火の粉――触れれば鉄すら溶かす高熱のレーザー羽を雨霰と降らせてきた。

『チィッ! やはり空の相手は分が悪いぞ、人間!』

「玲王様! 私のシールドで防御しますわ!」

「いや、玄武は待機だ。あいつの狙いは『俺たちが手も足も出ない状況を作って優越感に浸ること』だ。なら、そのプライドごとへし折ってやる」

俺はノートPCのキーボードに両手を置き、猛烈なスピードでタイピングを開始した。

風速、気温、朱雀の飛行トラジェクトリ(軌跡)、スラスターの出力変動。すべてをリアルタイムでAIに学習させ、未来予測モデルを構築していく。

「特A級エンジニアを舐めるなよ。どんなに速くても、物理法則と『性格』に縛られている限り、お前の動きはただのアルゴリズムだ」

画面上に、無数の赤い予測線が描かれていく。

「……見切った。あいつは攻撃の直前、必ず自身の姿が一番美しく見える『太陽(月)を背にする角度』を取る。そこがシステム上の大きなバグだ」

俺の言葉に、ガオンがニヤリと牙を剥いた。

『なるほどな。ヤツの無駄に高いプライドを利用するわけか。指示を出せ、相棒!』

「ガオン、右斜め上、仰角65度! 距離120メートル先の『何もない空間』に向かって、全出力で跳べ!」

『承知ッ!!』

ガオンのブースターが火を噴き、俺が指示した何もない虚空へ向かって一直線に跳躍する。

『ハハハ! どこに向かって飛んでいる、ガオン! 俺はここ――なっ!?』

太陽を背にして急降下攻撃を仕掛けようとした朱雀。

だが、その軌道の先には、まるで『最初からそこで待ち構えていた』かのように、最大出力で飛び上がってきたガオンの姿があった。

「白虎、右腕だけオーバーライドだ!」

「了解っ! ぶっ飛ばしなさい、ガオン!」

空中でガオンの右腕が一瞬だけ白虎クローへと変形する。

『チェックメイトだ、朱雀!』

『バ、バカな!? 俺の神速の軌道を完全に読んだというのかァァァッ!?』

ガオンの渾身の右フックが、朱雀の装甲にクリーンヒットした。

ダメージ自体は最小限に抑えたが、軌道を完全に崩された朱雀は、そのままヘリポートへと派手に墜落した。

ズドォォォォンッ!!

「エラー率0.00%。……俺の予測AIは完璧だ」

砂煙が晴れると、そこには再び真っ赤なスーツ姿に戻り、大の字で倒れ込んでいる朱雀の姿があった。

「……ば、馬鹿な。空の王であるこの俺が、人間の計算弾き出した予測に敗れるなど……」

「お前の動きは無駄が多すぎる。だが、その推力と機動力のポテンシャルは認めてやるよ。俺が最適化して、一番輝ける空路ルートを引いてやる」

俺は倒れている朱雀の顔の上に、買っておいた小さな箱をポンと置いた。

「約束の『天空の金箔マカロン』だ。糖分補給して立ち上がれ。お前の背中、俺たちに預けろ」

朱雀は箱を手に取り、中身の輝くマカロンを一口かじった。

「……甘い。だが……悪くない」

朱雀はフッと笑い、立ち上がってスーツの埃を払った。

「認めてやる。お前になら、俺の背中スラスターを任せてもいい。……だが、俺が一番目立つポジションなのは譲らないからな!」

『ふんっ、相変わらず口の減らない鳥だ。だが、これで役者は揃ったな!』

ガオンが咆哮を上げる。

右腕の白虎、左腕の青龍、下半身の玄武、そして背中の朱雀。

俺たち六人が屋上に集結し、夜明けの光が東京の街を照らし始めた、その時だった。

ビーーーーーッ!!!

ビーーーーーッ!!!

俺のPC、そして街中の防災サイレンが、かつてない悲鳴のようなエラー音を上げ始めた。

「……おいおい、冗談だろ」

俺がPCのモニターを見ると、レーダーが真っ赤に染まり切っていた。

ダンジョンの中心部、東京湾のど真ん中から、これまでの魔将機とは次元が違う、山のような超巨大質量のエネルギー反応が急速に浮上してきていた。


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