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【聖獣機神ガオガオン】社畜エンジニア、東京のダンジョンでメカ美女たちと合体無双〜スイーツ片手に気ままな魔将機狩り〜  作者: 月神世一


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EP 2

契約の対価は「絶品ロールケーキ」!?

「ガァアアアッ!!」

路地裏を激震させる、王者の咆哮。

先程まで明滅していたガオンの装甲の青い光は、今はロールケーキのカロリー……もとい、極上の甘味から抽出された黄金色のオーラへと変貌していた。

対するはぐれ魔将機は、三つの赤いカメラアイを激しく点滅させる。

明確な『脅威』を算出したのだろう。だが、遅い。

『消し飛べ、鉄クズが!』

ガオンの巨体が、路地裏の壁を蹴って宙を舞う。

はぐれ魔将機が迎撃のチェーンソーアームを振り上げるが、ガオンはその腕を空中で軽々と躱し、そのまま敵の頭部へと食らいついた。

ガギィィィンッ!!

凄まじい金属音が響き渡る。

先程まで這いつくばっていたのが嘘のような、圧倒的な咬合力。はぐれ魔将機の分厚い特殊装甲が、まるでビスケットのように砕け散った。

『ふんっ!』

ガオンが首を大きく振ると、魔将機は頭部を失ったまま壁に激突し、爆発音と共に完全に沈黙した。

「……すげえな。あの装甲、自衛隊の対戦車ライフルでも無傷だったはずだぞ」

特A級エンジニアとして数々の最新兵器のデータも見てきたが、目の前の獅子の出力は完全に物理法則を無視している。これが『マナ』の力か。

火の粉が舞う中、ガオンは優雅に着地し、こちらを振り返った。

『……ふぅ。どうやら窮地は脱したようだな』

「あぁ、お見事。で、体調はどうだ?」

『驚くべきことにな。機体のダメージは修復され、マナの残量も最大値をマークしている。人間、貴様……私に何を食わせた? あの信じがたい密度と、脳髄が蕩けるような甘味はなんだ』

ガオンは威厳ある声のまま、どこかウズウズした様子で俺に顔を近づけてきた。

どうやら、スイーツの魔力に当てられたらしい。

「あれは『プレミアム・極上ハチミツロールケーキ』だ。限定20個、俺が今日一日の労働の対価として楽しみにしていた至高のスイーツだよ」

『ほう……ろーるけーき。素晴らしいエネルギー変換効率だった。貴様、人間にしてはなかなか気が利くではないか』

「褒められても嬉しくない。俺の今日の楽しみが一つ消えたんだからな。……あーあ、マジで最悪だ」

俺が深々とため息をついた、その時だった。

ピロリンッ。

突然、俺の脳内に電子音が響いた。いや、違う。俺の視界の端に、見たこともない半透明のホログラムウィンドウが出現したのだ。

『条件を満たしました。生体マナの同調、及びエネルギー供与を確認』

『対象:聖獣機神コア【ガオン】とのリンクを確立します』

「は? なんだこれ……システムへの不正アクセスか?」

職業柄、すぐにハッキングを疑ってホログラムを手で払おうとするが、ウィンドウは消えない。

それどころか、目の前のガオンの胸元にある赤いコアが、俺の心拍と合わせるようにトクトクと明滅し始めた。

『な、なんだと!? 我のコアが、貴様の波長と同調しているだと……!?』

ガオンも驚愕の声を上げる。

ウィンドウには、次々とメッセージが流れていく。

『固有スキル【特A級AIエンジニア】の演算能力をシステムに統合』

『特殊進化条件クリア』

『マスタースキル【聖獣テイマー】を獲得しました』

『聖獣ガオンとの本契約が完了しました』

「……聖獣テイマー? 契約完了?」

『ば、馬鹿な! 我ら聖獣が人間と契約するなど……しかも、その対価が、あの甘いろーるけーきだと言うのか!?』

ガオンは信じられないといった様子で、自分の前足と俺を交互に見比べる。

「おいおい、勝手に俺のデバイス……いや、脳内システムに組み込まないでくれよ。俺は静かに美味いスイーツを食べて、定時退社する平和な人生を送りたいんだ」

『それはこちらの台詞だ! 我は誇り高き聖獣だぞ! こんな、甘い物の恨みでため息をつくような軟弱な男のテイムを受け入れるなど……!』

ギャーギャーと騒ぎ立てる鋼鉄のライオン。

見た目はかっこいいのに、口を開くと随分と人間臭くて毒舌だ。

「……まぁ、でも」

俺はウィンドウに表示された、ガオンの詳細なステータス画面を眺める。

そこには、破損箇所やエネルギー効率だけでなく、機体の隠されたポテンシャルまで全てが数値化されて表示されていた。

「このシステム、AIのソースコードよりも綺麗で面白いな。お前の出力、今の倍は引き出せるぞ」

『……なに?』

「お前のシステム、無駄が多すぎるんだよ。俺が最適化してやる。その代わり……」

俺はニヤリと笑って、ガオンの鼻先を指差した。

「今度また美味いスイーツの店を見つけたら、案内してくれよな。相棒?」

路地裏の風が吹き抜ける中、毒舌のメカライオンと、スイーツ至上主義のAIエンジニアの、奇妙な主従関係がここに結ばれたのだった。

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