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【聖獣機神ガオガオン】社畜エンジニア、東京のダンジョンでメカ美女たちと合体無双〜スイーツ片手に気ままな魔将機狩り〜  作者: 月神世一


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EP 16

銀座の対決、邪神降臨と拒絶の指パッチン

銀座4丁目交差点。

日本で最も地価が高く、普段なら煌びやかなネオンと人々で溢れかえるその場所は今、異様な静寂と死の気配に包まれていた。

若林幹事長の裏工作により、一帯はすでに完全封鎖されている。

俺が乗る漆黒のZ1の排気音だけが、ビルの谷間に反響していた。

交差点の中心。

そこに、一人の男が立っていた。

プラチナブロンドのオールバック。仕立ての良さが遠目にもわかるアルマーニのスリーピース・スーツ。

警告アラート。対象のマナ出力、測定不能。空間の物理法則が対象を中心に歪んでいます』

俺の脳内AIが、かつてない悲鳴のような警告をリピートし続けている。

間違いない。奴が神話の時代に世界を滅ぼしかけた破壊の化身であり、最強のクレーマー。

――邪神デュアダロスだ。

バイクのエンジンを切り、俺が降り立つと、デュアダロスは三白眼の鋭い視線をこちらに向けた。

「……ワレが、四神のガキどもをたぶらかしとる『玲王』とかいう人間か?」

ドス黒いオーラが、言葉と共に物理的な重圧となって押し寄せる。

俺の背後に、遅れて駆けつけたガオンたち(四神全員)が到着したが、デュアダロスを前にして全員が蛇に睨まれた蛙のように硬直していた。

『ひぃっ……! パ、パチモンじゃないわ、本物よ……!』

「お、お久しぶりです、デュアダロス様……本日はお日柄もよく……」

白虎が泣きそうになり、青龍がかつてないほど引きつった愛想笑いを浮かべている。

「おう、青龍、白虎。それにガオン。……ワレら、ええ身分じゃのう。ワシをあのカビ臭い地下に放置して、シャバの空気はさぞ美味かったじゃろうて」

デュアダロスは懐から生成したトカレフを取り出し、チャキリと弄る。

そして、ゆっくりと右手を上げ、銀座のシンボルである高級時計台のビルへと向けた。

「ワシの『落とし前』がどういうもんか。人間、ワレにも教えといたるわ」

親指と中指がすり合わされる。

――パァァンッ!!

乾いた指パッチンの音。

次の瞬間、俺のAIがどんなエラーを吐き出す間もなく、銀座の時計台の上半分が『音もなく完全に消滅(塵化)』した。

瓦礫すら落ちてこない。ただ、空間ごと削り取られたように無に帰したのだ。

「……ッ!」

背筋が凍った。

防御力、回避率、マナシールド。特A級エンジニアが構築するあらゆる防壁アルゴリズムが、あの『指パッチン』の前では完全に無意味だと思い知らされた。

「……どうじゃ、小僧。次はワレの番じゃ」

デュアダロスが、俺に向けて指を構える。

俺は強烈なプレッシャーで震えそうになる膝を必死に堪え、リュックから慎重に『手土産』を取り出した。

「お待ちください、デュアダロスさん。今日はあなたに、極上の『お詫びの品』をお持ちしました」

「あぁん? 命乞いのつもりか、ワレ」

俺はアスファルトの上に、高級な木箱に入った1945年物のヴィンテージ・赤ワインと、スイス大使館御用達のラクレットチーズの巨大な塊、そしてキューバ産の最高級葉巻を並べた。

「ガオンたちからの、遅れてしまった『慰問品』です。……あなたが長年渇望していた、最高の酒とツマミ、そして紫煙。俺のコネクション(幹事長)をフル活用して揃えました。これで、どうか手打ちにしていただけませんか?」

その瞬間。

デュアダロスの鋭い三白眼が、ピクッと大きく見開かれた。

極限まで張り詰めていた殺気が、ほんの一瞬だけブレる。

「……1945年物の、グラン・クリュじゃと……? しかもこのチーズ、表面のテカリ具合からして最高級の発酵……」

デュアダロスがゴクリと喉を鳴らす音が、静まり返った交差点に響いた。

いける! 悪徳政治家のコネと最高級グルメの力で、このインテリヤクザ邪神を平和的にテイムできる――!

俺がそう確信した、次の瞬間だった。

「――ナメとんのか、ワレェ!!」

デュアダロスは激昂し、足元にあった空き缶を蹴り飛ばした。

「そ、そんなもんで……ワシのメンツが保てると思うとんのか! 何ヶ月も地下で待ちぼうけ食らわされて、ホイホイ『チーズとワイン』で手打ちにしたら、ワシの『仁義』が立たんのじゃあああ!!」

(……あ、こいつ今、めっちゃチーズ食べたかったのにヤクザのキャラ設定メンツを優先しやがった!)

俺の推測通り、デュアダロスの目はワインの木箱に釘付けになりながらも、怒りのオーラは先ほどよりも激しく膨れ上がっていた。

ここで引いては、任侠映画のボスとして示しがつかない。そんなくだらない(しかし本人にとっては絶対の)プライドが、事態を最悪の方向へ転がす。

「ワシの怒りは、こんなもんじゃ収まらんのよ……! おどれら全員、ワシの真の姿でチリ一つ残さず消し飛ばしちゃる!!」

デュアダロスがスーツを力任せに引き裂く。

背中に彫られた『登り龍』の刺青が、ドス黒い瘴気と共に実体化を始めた。

交渉決裂。

最凶のインテリヤクザ邪神が、ついにその神話級の牙を剥く。

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