帰宅と出発7
女盗賊は近くの民家の屋根の上からそれを見ていた。
「聖術師がいるなんてがいるなんて、やっかいだなー。先に戦士の方倒しても、すぐ復活しちゃうじゃん」」
そう言いつつも、女盗賊はまたサーベルを構えた。
そして屋根の上から大きくジャンプし、ウェイに飛びかかる。
回復魔法を使われないよう、一撃で完全に息の根を止めるつもりだ。
そこへすかさず、2人の間にセネルが立ちはだかる。斧でガードするつもりだ。
「そう来ると思った」
「っ!!」
着地の直前、女盗賊のサーベルの細い先は、ぎりぎりセネルに届いた。
胸から赤い血が流れる。
女盗賊はそのまま力を加えて、セネルを貫こうとした。
が、その時、女盗賊の腹に蹴りが当たった。
痛みに顔をしかめながら、女盗賊は後ろへ飛ぶ。
蹴りを突き出したのは、ウェイだった。
「女の腹を蹴るなんて、あんたサイテー!」
女盗賊の言葉には耳を貸さず、ウェイはセネルを治療していた。
「敵だからね。僕は人を治す聖術師だけど、神様じゃないから誰でも彼でも救わないさ。それに…」
うんたらかんたら話しながらウェイは時間を稼ぎ、その間に魔法でセネルを治した。
セネルの傷はみるみる治っていく。
一方女盗賊は、蹴りがよく入ったのかまだうずくまっている。
痛みのなくなったセネルは立ち上がった。
斧を拾い、ウェイとアイコンタクトを交わし、女盗賊に一瞥をくれてやり、二人は再び走り出した。
「待ちやがれ!」
女盗賊腹をおさえながら追いかけてきた。
「しつこいな。ウェイ、ワープ系の魔法使える?」
「目的地である向こうから結界張られてるから、無理だよ。その人撒いてワープサービス屋さんのとこに行こう」
2人は小路に飛び込んだ。
ウェイは走りながら、片手で杖を上から下に振った。
そして早口で呪文を唱える。
その姿は少々不気味だが、効果は現れた。
すぐに魔法で辺り一面、霧で覆われた。
「うわ!!」
「ナイス、ウェイ。『霧の呪文』だな」
裏路地を何度も曲がり、セネルとウェイは女盗賊を上手く撒いた。
「僕の魔法じゃだめだけど、ワープ屋さんなら何とかしてくれると思うんだ。ワープ系の魔法のエキスパートだから、結界があっても何とかしてくれるかも」
「お前は出来ないのか?」
「うん」
「この無能」
「…好きなように言え、この女顔」
喧嘩しながら2人は大通りに出ると、東町を走り抜け、住宅街の傍ら、ワープサービス屋ことワープ屋さんの家まで行った。
正確には家ではなくテントだが。




