帰宅と出発6
ここで戦うしかない。
セネルとウェイは振り返り、女盗賊も距離を取って止まった。
彼女も戦いたくてうずうずしている。
「逃がしてあげると思ってんの?」
女盗賊は腰から一本のサーベルを抜いた。
「盗賊がサーベルなんて、珍しいな。俺の武器も見せてやるよ」
セネルは背中の斧を手に持った。
ウェイは巻き込まれたくないので、そろそろと後ろに下がる。
体力の無い中、セネルは一人で戦うしかなかった。
「おいウェイ、頑張れって応援しやがれ」
「頑張れー」
棒読みだった。
盗賊はサーベルの切っ先をセネルに向けた。
セネルも斧を構えた。
両者から殺気がムンムン出ている。
「俺はめんどくさがり屋だけど、ケンカは好きなんでねっ」
セネルはニヤリと笑い、一瞬で女盗賊との間合いを詰めた。
そして力任せに、斧をぶんと横に振った。
突然の動きだったので、女盗賊は反応できない。
…はずだった。
「盗賊ナめてんの?足速いに決まってんじゃん」
女盗賊は素早く身をかわしていた。
次の瞬間にはセネルの真後ろに回り込んでいた。
その速さは、セネルもウェイも目で追えないモノだった。
女盗賊が手を突き出す。
小さい突きだが、間違いなくセネルに当たる。
「やられてたまるか!」
「え?」
セネルはとっさにジャンプし、何とか女盗賊の攻撃をよけた。
着地する時に、セネルは視線を女盗賊の方に向けた。
が、さっきまでの場所に、女盗賊はいない。
今度はどこから来る気だ?セネルは背後に注意しながら辺りを見渡した。
その時、ウェイの悲鳴が聞こえた。
「わっ!」
見ると、ウェイの左肩が赤く染まっている。横に女盗賊が立っていた。
「何、自分は無関係、みたいな感じで突っ立ってんの?あんたはあいつの仲間なんでしょ?」
女盗賊はセネルを指さしながらウェイに言う。セネルは大声で怒鳴った。
「そいつは仲間とかじゃねぇ!!」
「うわ!」
セネルは走りながら、女盗賊に向かって斧を振り下ろした。
女盗賊は身軽にひょいとかわした。
斧は地面に突き刺さったが、あとちょっとでウェイに刺さる所だった
「もっと周りをよく見てよっ」
文句を言いながら、ウェイは『回復魔法』の呪文を唱えた。
体が光り輝き、傷がみるみる治っていく。聖術師ウェイならではの術だ。




