帰宅と出発5
「先生(自分)がコーデしたんだよ。いやあ、モデルが良いからカッコいいね。大人になったらホストでもやったらどう?」
弟子に道を踏み外すことを進める師範。
そして師範はセネルの青っぽい黒髪を見た。
「髪は結んだ方が良いね」
「その長髪、うざったいしね。切った方が良いんじゃないですか?」
ウェイのコメントをスルーし、師範はセネルの髪をハーフアップにした。どうしてなのか似合っている。
セネルの着替えも完了したし、師範は二人を見送った。
「はい、行ってらっしゃい。道中、変な人に声かけられてもシカトするんだよ?ナンパもほどほどにね。どうせ君らじゃ相手にされないんだから」
師範はそう言って2人を見送った。その言葉がなければ、2人はもう少しだるくなさそうに歩いただろう。
道場から離れ、街を歩きながらウェイはセネルに聞いた。
「ねえ、何で来るのが遅れたの?」
「実は森で盗賊に追われてよ、戦ったり逃げたりで大変だったんだ。でも代わりにスッてやった」
と言って、セネルはウェイに何か投げた。キャッチして見てみると、それはピアスだった。青く、涙型である。売ったら高値で買い取ってくれそうだ。
「さすがだねえ…。ていうかコレ、女もの?」
「そういや、女盗賊だったからな」
ふと、その時、2人は後ろから声をかけられた。
「おい、そこのドロボー!」
「見た目的にお前の方がドロボー(盗賊)だろ?」
「アタシのピアス、返せ!」
水色の動きやすそうな盗賊服を着た、栗色の髪をツインテールにした女がそう叫んでいる。よく見たら、セネルと年の変わらない子供!しかも、腰には鞘!
「噂をすれば影がさす、だな。悪いがこれは返せねぇ。最後に触ったやつが所有者になるようこの世は出来てんだ。あと先生が変な奴はシカトしろって言ってた」
独り言のようにセネルが呟いた。
「まさか、あの片耳にしかピアスしてない子がさっき言ってた女盗賊?」
「大当たり!しつこいよなー。走るぞウェイ」
セネルとウェイは駆け出した。
「あっ、待て!逃げる気か!?」
「当然。俺はもらったものは返さねえ」
もらってないだろ、とウェイはツッコミたかった。ていうか、逃げてる時点で完全にこっちがドロボーじゃないか。
追ってくる女盗賊を見て、ウェイは言ってみた。
「セネル君、そんなのどうでもいいじゃん。捨てちゃいなよ!そうすればあの人、追ってこないかもよ?」
「今さらめんどくせー!!」
どこが、とウェイは疑問に思いながらも何も言わなかった。走りながら話すのは息苦しかった。
振り向くと、女盗賊はもう自分たちの真後ろにいる。さすが盗賊、足が速い。
「止まれ―!!」
もう追いつかれてしまう。焦ったその時、セネル達は円形の広場に辿り着いた。




