帰宅と出発8
「ワープ屋さん、いますか―!?」
「はいはい。その声、ウェイ?」
「ある場所に飛ばしてほしいんですが」
「どこっすか?」
聞きながら、ワープ屋さんはテントから出てきた。年は20代前半。
靴はスニーカー、ズボンの色はグレー。
赤いパーカーのフードをかぶっているので髪型は分からない。
一応、術使いだが…そうは見えない不思議な男だった。
「あっ、セネルもいたんですか。久しぶりっすね」
二人の挨拶の後に、ウェイは小声で用件を言った。
「……に飛ばしてください」
ワープ屋さんはびっくりして眉をひそめた。
「何でまた、そんな所に行くんスかー…。あそこ、この前に新聞に…。ま、出来ますっけど」
ワープ屋さんは短い杖をポケットから出した。
テントの裏の土になっている地面に、魔方陣を描きだした。丸い円に、字や図を描いていく。
「向こう、結界の魔力感じるっスけど、何とか魔法使えそうっス。どっちにしろ、陣から陣に飛ぶ、うちのワープ魔法なら大丈夫。陣に乗れば向こうへ行けるし、帰りも陣に乗ればいいっス」
「向こうにも陣がすでに描いてあるのか?」
向こうとはもちろん、ワープの目的地を指す。
ワープ屋さんはうなずいた。
「世界中にあるっスよ。うちは代々ワープ屋っス。だからご先祖の描いた陣があちこちに残っているんで」
と話しながら、ワープ屋さんは作業を続けた。
「でも魔力は1、2時間で切れちゃうっス。帰って来れなくなったら大変スから、呼びに行くっスよ」
「つまり1、2時間経ったら、陣が残ってても使えないってわけか。だけど1時間ちょいで済むかな」
ウェイは悩んだが、今さらやめるつもりはない。
と、ちょうど魔法陣が出来上がった。二人は財布を出していくらか聞いた。
「30エクルにでいいっスよ。危険な所に送るんスから」
「安…!」
2人は同時に、驚いてそう呟いた。
ケタの予想は4ケタはいくと思っていた。
「駄菓子屋か、ここは?」
「セネル君いいから、時間が」
ウェイが急かし、セネルがお金を払って、2人は順番に魔方陣の上に立ちワープした。
「どこ行ったの、あの2人…?でも街のどこかにいるはず。広いんだから出れるわけない。あっでも、もしかしたら」
女盗賊は街の人に聞いて、ワープ屋さんの所へ向かった。
ちょうどセネルとウェイがワープして10分ほど経ったころだ。
「えっと、客っスか?」
「ここに男二人組が来たのなら。てか来たでしょ。どこ探してもいないし」
女盗賊はイライラしていた。ワープ屋さんは男二人組に心当たりがあったので、うなずいた。
そして女盗賊を客とみなした
「来たっスよ。あんた、あの2人に用っスか?」
「そいつらが行った所にアタシもワープして。お金ならちゃんと払うから、早く」
急いでいる女盗賊はずいぶん早口だ。
そんなにあのピアスが大事なのか。
何も知らないワープ屋さんはのんびりと対応した。
陣はすでに出来ているし。
「いつの間にあんな所が人気スポットになったんスか。まっ、いいっスけど。3000エクルっス」
「あの2人のツケで」
こうして女盗賊もルーハイル村へワープした。




