帰宅と出発3
そして、昼。
「昼ご飯作るか」
「先生、俺、飯食ってまた寝る。てか寝ながら食いてえ。あー、忙しい忙しい。寝るのと食うの、同時に出来るぐらい器用になりたいな」
セネルがのろのろと食堂へ行った。仕方なく、師範は台所に立った。
「ご飯とパン、どっちがいい?」
「ウェイと逆のもの」
「ウェイ君はパン派だから、ご飯だね。そういえば君は、昔っから和食が好きだよね」
ウェイはまだ来ない。きっと、わざとちんたら動いているのだろう。セネルと一緒に食事したくないから。
「はい、どうぞ」
「いっただきま―す。…ぬおッ、激ウマ!!」
「もっと褒めて」
師範の趣味は料理だ。いつかレストランを経営したいと思っているほどだ。そしたら道場の仕事の方がきつくなるだろうけど、ま、その時はサボっちゃえと思っている。師範は楽をするのが好きだ。
「そういや、先生、腕のケガ治った?ムリしちゃ駄目っすよ」
「傷は男の華さ」
「老人が何言ってんだか」
食事中のセネルの顔に、師範の拳が飛んできた。
「何するんですか!?」
「こう見えても30代なんですけど―」
「飯、こぼしちまっただろ―が!!」
「実は誰かさんよりずっとモテるんだよねー」
全く会話が成り立たない2人。
「セネル君の食べ方、汚いね…」
そこへウェイがやって来た。床にはさっきまでセネルが口に含んでいたものが散らばっている。
「早く掃除しなよ。てか先生、引っ越した方が良いかも」
セネルはまるでバイキンのような扱いを受けた。言い返したくても、口じゃウェイに勝てない。ここは、あきら…いや、我慢するしかない。
「えっウェイ君、じゃあ新築買ってくれる?」
「ダンボール製で良ければ」
ウェイはそこしか座る所がないので、仕方なくセネルの隣の椅子に座った。
こっそり、横目でセネルを見てみた。一年前より、少し大人っぽくなっている。が、女顔は変わってない。
「じゃあ2人共、ご飯食べながら聞きなさい。と言っても、王様の命令通りなんだから今さら言うこと特に無し。でもこれだけは言っておく」
師範は真剣な顔つきになった。
「頑張って」
「そんだけかよ。あっさりしてんな」
「場所とか目的とかちゃんと伝えられたんでしょ?んじゃ、それ食べ終わったら床拭いてさっさと行ってらっしゃい」
「俺は寝たいんだよ」
満腹になったセネルの眠気はより増した。ウェイは、セネルがめんどくさがっているのを見てやる気が減った。師範は、夜ご飯何にするか考えていた。
「予定通り、昨日着けば良かったのに」
「色々あったんだよ」
「色々って何だよっ?」
ウェイがキレそうになった。
「あの時だって、あっさり居なくなっちゃって。君は…自分勝手すぎる。人を傷つけてばかりだ!だから嫌いなんだよ!!」




