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プロローグ  作者: 赤月。
一章:幕明け
6/7

見え透いた嘘

[リンハシケンゴウカクデス]


またしても、試験の合格を告げる声が、森全体へ響いた。


「リンちゃんだっけぇ。あの子も合格したんだぁ。なら、ますます時間が無いねぇ。」


そんな事を言いながら、セレナは走って…走って……


「ぜんっぜん見つからない!」


さっきは偶然遭遇したが、このまま闇雲に探していても、限界を感じ、足を止め、またしても思案する。そして、セレナは、ルールが書かれた紙を一枚鞄から取り出す。そして、あろう事か、詠唱を始めた。


「水よ。我が掌上へ集え。」


「アクア:サモン」


そうして、セレナは手から水を出し、そして、ルールが書かれた紙を水浸しにした。すると……


「やっぱりねぇ。」


なんと、じわじわと文字が浮かび上がってきたのだ。


「これならぁ、文字は読めなくて当然ねぇ。パロールは、こういう"言葉"も読めるのかはわからないけどぉ、まあ、どうだっていっかぁ。」


***


浮かび上がってきた文字はこうだ。


1:外部に頼ってはならない。


2:森を壊してはならない。


3:竜を召喚してはならない。


4:ルールを破ってはならない。


合格条件

・竜を討ち取ること。

・ルールを破っていないこと。


注意事項

 竜は全部で3()()である。

 ルールを破った者には厳しい罰則が与えられる。

 尚、試験に合格するのは、()()()()()()()()()()()()()()()()


***


やはり、パロールは嘘を吐いていたようだ。


「竜は3匹かぁ。って!あと1匹じゃん!!」


パロールが討ち取った1匹。そして、リンが討ち取ったであろう1匹。残るは1匹のみ。


「ヤバいヤバいヤバい!!あと1匹!?」


そう騒いでいると、


「お前……さっきからうるせぇんだよ。」


そう言いながら、赤髪に青緑色と緑色の瞳をもった、少年がやって来た。


「髪といい。目といい。変なカッコぉ」


セレナがそうポツリと呟くと、少年は、


「ぁあ"ぁん?」


この少年の背丈はセレナと同じくらい。その上、可愛らしい顔立ち。全然怖くない。そんな失礼なことを考えていると、少年は咳払いをし、


「まっ、まぁ良い。それより!お前の声が大きいんだよ!」


なにが良いのだろうか。よくわからないが、声が大きいらしい。なので、セレナは小声で


「ゴメンネェ」


っと言った。すると、少年は、


「……良いだろう。お前に一つ聞きたい事がある。竜があと1匹って本当なのか?」


と言った。それに対してセレナはニコニコと微笑みながら、「そうだよぉ」と答えた。すると少年は、眉間に皺を寄せ、


「…!チッ、話が違うじゃねえか。」


と、ポツリと呟いた。


「あぁー!舌打ちしたあ!良くないんだあ!!」


「うるせぇ!!というか、声がデカいって、さっきも言ったろ!」


また怒られてしまった。というか、コイツの声もうるさい。


「えへ。ごめんねえ?というかあ、話が違うとか言ってたけどお。盗み聞きしてたのはあ、そっちじゃあないのお?」


セレナは思った事をそのまま口にした。


「うぐっ、というか、話はちゃんと聴いてたのかよ……」


少年は、痛いところを突かれたとばかりにそう言った。


「えへぇ、すごいでしょお!」


セレナはバチが悪そうな顔をしている少年をニヤニヤと揶揄った。


「……盗み聞きしたのは、悪かった。でも、今話したいのはそこじゃない。本当は、竜は残り1匹なんだろ?なら、俺とお前で、協力して竜を倒さないか?」


少年は、思ったよりしっかりしている様だ。しかし、


「協力しようだなんて、優しいんだねぇ。でもぉ、無理だよぉ?だってぇ、竜はもう1匹だけだもん。」


「優しいんじゃない。ただ、そっちの方が合理的だろ。」


「そうかなぁ。あっ!もしかして、知らないのかぁ。じゃあ、教えてあげてるぅ!」


そうして、セレナはルールや、注意事項などを、細かく伝えた。


「トドメを刺した奴だけって、厳しすぎるだろ……まあ、それなら、協力は現実的じゃないな。でも、一つだけ言いたい事がある。お前、随分とお優しいんだな。」


「え?」


「どうして俺に、ルールを教えた?教えずに協力して、お前がトドメを刺せば良かっただろ。」


少年は、本当に訳がわからないと言った様子で言った。


「………。」


対してセレナは、俯き、何も言わない。


「ハッ!だんまりかよ。」


少年は、そうセレナを煽った。


「……。えへへぇ。いいこと思いついたぁ。」


セレナは顔を上げ、ニヤリと笑いながら呟き、そして少年にこう言った。


「ねぇ。協力しようよぉ。」


と。


***


少年の名はシュルタ・トット・ファーレという。

シュルタはドワーフ。彼もまた、人間では無かった。しかし、彼には、ドワーフの特徴である低身長、恐ろしいほどの怪力、頑丈さが備わっていなかった。しかし、シュルタは手先が器用であるため、"盗賊(シーフ)"という、トリッキーな技を得意とする役職に就いていた。

そんな話を聞いたセレナは、


「ふーん。あんまり強くなさそぉ。」


と、率直な感想を抱いた。


「おい、協力するって話を無しにしたって良いんだぜぇ?」


シュルタは、セレナの軽率な発言にキレていた。


「ごめぇーん!でもでもぉ、協力しないと困るのはシュルタでしょお?私の優しさにもっと感謝してよねぇー」


セレナは不服そうにそう謝った。


「提案してきたのはお前……いや、セレナだろ?文句言ってんじゃねぇよ。それより、この作戦で、本当にへーきなのかよ。」

 

「へーきだよ?…っと、そんなこと話してる場合じゃ無かったんだった!さぁ!時間は有限だよぉ?レッツらゴー!!」


とある作戦を胸に、ふざけた様にそう言いながら、森の奥へと走って行くのだった。

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