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プロローグ  作者: 赤月。
一章:幕明け
5/7

コトバノチカラ

大前提として、この場には魔王軍に恨みを持った者が集まっている。

復讐に身を任せる者は、手段を選ばない。故に、悲劇が起こるのだ。



***



「急いだ方が良さそうね。」


周りにいた耳の良い者が、聞き耳を立てていた様だ。だから、リンは真剣な顔でそう言った。セレナ、パロールもそれに同意する。


「じゃーあ、もう皆んなとはお別れだねぇ。」


「そうね。それが良いでしょう。」


<では、皆様お気を付けて。>


3人の意見は一致した。それぞれが森へと赴こうと、散って行った。


「…………何を考えてるの?」


眉を顰めながら、セレナがそう呟いた言葉は誰にも届かずひっそりと消えていった。



***



「竜ってぇ、どこに居るんだろぉ。」


いざ森にやってきたは良いものの、セレナは、竜を見た事が無かった。けれど、


「ここに来るまでに竜は見なかったから、思ってたより小っちゃいのかもっ」


そんな事を考えながら草をかき分け、に道無き道を進んで行くセレナ。

刹那。



ヒュッ



セレナの頬を何かが掠めた。


「なにこれぇ。針?」


針は、目の前の木に突き刺さり、ぼろぼろと崩れていった。急いでその場を離れながらセレナは思案する。


「あれは、矢とかじゃない。なら、魔法?でも、詠唱は全く聞こえなかった………うーん、わっかんないなぁ。」


詠唱無しで魔法は扱えない。セレナにも聞こえないくらい、遠くから、或いは、小声で。けれど、セレナ……もとい、エルフは耳がいい。見た目からもわかるだろうけど。


「魔法の可能性は低そうだなぁ。でも、武器にしては脆すぎない?」


すぐに崩れてしまった針を思い出しながら、ひたすら考える。もし、可能性があるとすれば………


「…………竜。」


その事に気が付いたセレナは足を止めて、先程までいた場所へ、全速力で戻った。


「竜は全部で5匹。合格するのは()()()()()()なら、急がないと。」


そして、先ほどの場所に戻ると、案の定、そこには竜が居た。けれど、竜だけでは無かった。


「っ!……………パロール!」


そこでは、、パロールが竜と戦っていた。


「少し、判断が遅かったね。」


パロールが、そう言った。


「なにぃ?話せるんじゃん!なんで話さなかっ」


瞬間、セレナの胸付近に衝撃が走った。


「ガッ…ハァ!」


動きたいのに、動けない。


嘘だ。


動けないのではない。()()()()のだ。だって、


「この子の加護(チカラ)は、なんだろぉ?」


セレナは、自分の口角が自然と上がっていくのを感じていた。


「そこで、大人しくしていなさい。」


その言葉は、セレナに、そして、竜に向けられた言葉だった。すると、竜の体全体に切り傷が生まれ、そして、塵になって消えた。


[パロールハシケンゴウカクデス]


どこからともなく、その言葉が森全体へ響いた。そして、もう用はないとばかりにその場を去ろうとするパロールに、セレナは声を掛けた。


「見えない攻撃。誰も読めなかった文字。何故か話さなかった貴方。」


「…………。」


パロール何も言わない。足も止めない。


「まさに、言葉の力(コトバノチカラ)って感じねぇ。」


セレナは静かにそう言った。

パロールはただ前を向いて歩いている。


「さあっ!急がないとっ!なんだか、やばぁーい事が起きそうだしねっ!」


結局パロールは、一度も振り向くことは無かった。



***



「さっきの針みたいな攻撃は、パロールのものだったのかもねぇ」


そうだも仮定すると、ある疑惑が膨れ上がる。


「ルールも、嘘だったのかなぁ。」


特に、注意事項についてだ。パロールは、竜が5匹と言っていたが、それよりも少ない可能性が高い。他にも、嘘が混ざっているだろう。


「ほんとっ、大急ぎだよねぇ」


セレナは楽観的に、そう言うのだった。

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