4月1日
今日は幸の誕生日。
そして、ままのお葬式の日だ。
だけど、ままは、昨日のおばあちゃんのように階段の一番上に座ったきり、
ずっと前を見ていた。
幸はままのすぐ横に座った。
「・・まま。」
「ん?」
ままは、階段の突き当たりに見える、今まで生きてきた世界から目をそらさずに答えた。
「ままは、自分のお葬式を見に行かないの?」
「なんで?」
やはり、視線をそらさずに答える。
「誰が来てくれてるか、とか、誰が泣いてくれてるのか、とか、知りたくないの?」
幸がそう訊くと、初めてままはこちらに視線を向けた。
「全然。」
あっさり答える。
「誰も来てないし、来てたとしても、誰も泣いてなんかいないよ。」
「なんで?なんでそう言い切れるの?」
「言い切れるよ。ままはぱぱ以外の人達にとって、どうでもいい存在だからさ。」
ままは、楽しそうにそう言った。
幸が死んだとき、ままは沢山泣いてた。
幸の名前を呼んで、声をあげて泣いていた。
ぱぱも顔をぐしゃぐしゃにして、幸の亡骸をぎゅーっといつまでも抱いていた。
ままも泣きながら、ぱぱと幸を抱きしめた。
もう、一緒にいられないのが悲しかったけど、
二人がそうやって泣いてくれたことが、嬉しかった。
だから、ハートママにはついていかなかった。
幸は今こうしてここにいる。
・・・だけど、ままには、あんな風に悲しんでくれる人が
誰もいない、なんて。
「それよりさ、今日、幸の誕生日でしょ。
死んでるのに、誕生日もないけど。」
ままは、にこにこして言った。
自分のことは、どうでもいいというように。
幸はたまらなくなって叫んだ。
「まま!」
ままは驚いて幸を見る。
「ままは、ままは、嫌じゃないの?
誰も泣いてくれる人がいないなんて、悲しくないの?」




