1話「眠りに就くまで全力で」
魔王の城に向けて進軍する私たち。と言っても次の町である。ただその距離はかなり遠い。
おまけにモンスターがやたら多く出てくる。
「敵さんも活気が高まってるってところっすかね?」とテンマ。
「うるさいので舌噛みますよ?いや、むしろ噛んでください」
「ユキさんのか?」
ユキさんの言葉に反応するテンマ。
「この翼もしかして飛べたりして?」
「あっ、休んでるうちに魔法をかけて置いたので飛べると思いますよ」
「ありがとう、アポロニアちゃん」
そう言って喜び合う有川さんとアポロニアの二人。
有川さんは飛んで空中で縦にくるっと回ってモンスターに当てていく。肉が焼ける音とともにモンスターは破裂したような感じで消えていく。
私がみんなのことを眺めていると、一人の女の子が話しかけてくる。
「最初はあなたと二人でどうなるかと思いましたが、こんなにも頼りがいがある仲間が集まってくれてよかったですね」
その声の主はある時以外、必ず一日はこの世界で耳にしていた花咲さんの声だった。
「それ、俺は頼りがいないってことか?」
「いいえ、それを聞くのは愚問です。確かに最初の頃は私抜きでは頼りがいがありませんでしたが、ユキさんたちに出会った時も王都を救った時もアルファさんに挑まれた時も色々ありましたがあなたは場数を踏む度に強くなってます。私を含めもう誰もうちの仲間の力をあなたに貸すどころか、貨さられる状況になってます。まぁ、まだ魔王の左腕である刀の男を倒した私には適いませんでしたけどね。まっ、その次に弱いランクに落ちてしまったピアルゴさんを倒したのはみんなですので何とも言えませんが」
花咲さんはけなしているのか、褒めているのかどっちか分からなかった。
月が地面を照らした頃、私は二人に指示する。おそらく城も近くなのだろう。敵が強い。
「ユキさんと有川さんはテントの用意。全員分で頼む」
「メイドと天使にお任せあれですわ」
ユキさんはそう言う。有川さんたちが作っている間もモンスターを駆除する。食事は手軽に戦いながら食べた。
それにしてもこの黄金の合成武器は楽になったからと言って軽くなったわけではない。むしろ重い。それに使い方が分からない。ブーメランのように飛ばすにしてもなかなか飛ばずに近くに落ちてしまう。かといって振り回すと私の体まで振り回されてしまう。ちなみにナビである花咲さんはモンスターを倒すことに必死であった。そして次第に私たちのパーティーは動ける者が減ってきた。ちなみに現在いるのはテンマと私だけである。
「兄貴、そろそろ寝ましょうか?」
「お前だけでも寝てくれ」
「そう言うと思ったんですよね。殺せ」
私は急に体を半回転させて男性に溝を強打される。胃液が吹き飛ぶ。私は意識を失った。私の防衛は常に貧弱だからしょうがない。
私は眠い暗闇の中でテンマに裏切られたと思っていた。しかし翌日になると、テンマはテントの中で私の近くで私にキスでもするかのように眠っていたのだった。




