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チートゴースト  作者: 未知風
5章「花よ咲け」
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6話「感謝にはまだ早い、ダークホースはそれでも駆ける」

花咲さんが前に向けて倒れこむのをユキさんは両手で肩を押さえて防ぐ。そして有川さんの手を借りて彼女を廊下の床に運ぶ。和室だと血が付くかららしい。幽霊だから付かないのではと言いたいところだが、実際に鏡に血が付いたのを目にしてしまうとそうなってしまうと思ってしまうのが妥当だろう。


「幽霊ちゃん、これ飲んで?……きゃっ、かなり冷たい」


ユキさんはそう言いながら彼女が飲めるように首の後ろに手のひらをまわしていた。


「幽霊なんだから冷たいものなんじゃないっすかね?」


テンマはそう言うが、だとしたら今の彼女はどういう状態だ?幽霊でも死ぬのだろうか?誰かナビみたいなのが……そうか、花咲さん、君だったか。


「私の魔法でなんかできるかもしれません。”マウスフロウ”」


アポロニアはその魔法を使用したが、何も効果なし。他の魔法も試してみるものの一切効果はなかった。


「こうなりゃ、最終手段。俺の股間で……」

「あんたは黙って死んでなさいですわ!!」

「ブヘボッ……」


テンマの空気を読まない発言にユキさんは彼の溝に自分の拳を突っ込む。それに加え、アポロニアのかかと落としが肩にあたり、花咲さんの翼で弾き飛ばされてしまったらしい。らしいというのも、彼女の翼が私の後ろ頭に直撃したらしく。その拍子に右手を床に付けて下にあった花咲さんの柔らかい唇に触れてしまった。私はただその時、彼女の口が開けば、と彼女の唇をじっと見ていたのだが。


「あら、最低男さん。やることが大胆。まっ、彼女の口が開けば何でもいいのですけどね」


うん、そう言って液体が入った瓶を片手で震わせながら、もう一つの片手で拳を握っていらっしゃられるようなのですけど。


「ユキさん、彼女の血もらえますかしら?彼女を苦しめて逝かせてあげる黒魔術で使用したいので。ぐふふ」とアポロニアはどこか遠い目をしながら彼女にそう伝え、不気味な笑みを浮かべている。

「それなら私の翼をアポロちゃんが切り裂いてそこから血を出して私を苦しめるのはどうかしら。ぐふふ」と有川さんもどこか遠い目をしながらアポロニアたちに伝えて、両腕に拳を作って握りしめていた。

「けふけふっ」


二人が変な話をしていると花咲さんが咳き込んでいた。血や傷跡がみるみる消えていく。

しばらくすると、花咲さんは目を開いて私たちを見る。そして彼女はこう聞く。


「私が見えてますか?」と花咲さんは聞いてくる。

「おかえり、花咲さん」と私はみんなを代表して彼女に伝える。

「皆さんと常に居たのでただいまじゃないです。有川さんの体に入って力を貸していたのですが、危うく消滅する前に外に出れました。ただ物に触れることも姿を見せることも、あなたたちと話すこともできませんでした。それでもあなたたちの後ろに付いて行ったのです。そしてシステムメッセージに現れたり、吉田さんと刀の男ところでは私の技が発動されました。その期間だけ私は常に攻撃を食らっていたのでこんなにもボロボロなんですけどね」


花咲さんは私たちに向かって説明してくる。彼女がどのような経緯でここにいるのかはどうでもいい。彼女が生きてここにいることが一番大事なことである。何はともあれ、これで完全にうちらダークホースは集結したのだ。


「失礼します」


ユメさんは私の部屋に顔を出す。そして彼女は驚いた顔をしてこちらを見る。


「皆様、ありがとうございました。ただ気が狂ったからと言って仲間にさらに傷を付けて興奮するなんて」


私を見てそう言う。何か誤解が生まれてしまったようだ。


「いえ、これは……」


私の慌てた表情ににんまりして彼女は言う。


「冗談ですよ。女王を含め英雄さんたち、ぜひとも感謝の宴をしたいのですが」

「私たちもしてもらいたい。しかしまだ終わったわけではありません。むしろこれからが本番です。魔王たちは早いうちにここにまた進軍してくるでしょう。その前に魔王の首を跳ねなくてはいけません。なので夕方になったら出発しようと思います」

「えぇ……ですが……」

「安心して下さい。ここには最高の仲間しかいませんから。必ず魔王を倒してみんなで戻るべき町に戻るのが私たちの最終目的ですから」


私がそう言うと、ユキさんは「えぇ?そんなの初めて聞いたんですけど?」と言い始める。周りも彼女に賛同しているらしい。


「言っただろ?あの町で」


ダークホースにいる女子全員は私がそう言うと頬を赤く染めてしまった。


「ん?なんだ、この空気?」


こんな空気の中で一人ゆっくり体を起こすテンマであった。


日が少ししたら落ちそうな夕方、私たちは荷物をまとめて宿の下に向かう。


「ダークホースの皆様、大変お世話になりました。また、会える日をお待ちしております」


女将はそう言ってお辞儀をする。ここの宿屋で働いているユメさんたちもお辞儀した。


「魔王をぶっ飛ばして帰って見せます」


私は彼女たちに言って外に出る。他の者たちも続いて歩く。

ついに最終決戦が始まるのだ。魔王との対決が。

次回より、最終章突入。

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