4話「こちらに向かってくるたくさんの黒い影」
私たちはなんとなく魔王が住み付いている町の方に歩き始める。私たちは二手に分かれていた。反対側にはテンマたちがいる。
空からやたら黒いモノが何体か先の方で落ちている。
「お前らか?抵抗しているのは?」
右目に黒い眼帯をしている二本足で立っている大柄の狼姿の黒服が二本の黒い拳銃を持ち構えて立っている。
「そうだが?」
「雷鳴雷鳴」
上に撃っただろう銃弾から雷が発生される。そして私たちの近くで大きな穴が開く。ユメさんを狙ったのはこいつの仕業か?建物もそうか?
「ユキさん、雲を発動してできるだけ奴を食い止めて。有川さんは防衛を。炎と雷は危ないから気を付けて」
「炊飯ジャー」と二人は言う。
そういえばその返答を初めてされた時はびっくりしたな。そういえば誰だっけ?
思い出す間もなく、ユキさんの雲で止められる。
「邪魔だ。こんなの卑怯だぞ?」
「うるせよ、あほ。国境国境」
彼は私に剣で切られてしまった。二つの銃をもらう。
黒いモノはどうやら大量のモンスターだった。私たちはそれを片っ端から倒していく。
「あら、あなたたちがそう?国旗国旗」
「うおっ、女のくせにこわ」
私たちに向けて地割れが起こる。
「違うわ。武器の力よ。あなたなら分るでしょう?国旗国旗」
「国境国境」
いきなり現れた黒いドレスの(貧乳)女は私に倒される。私は彼女が持っていたエメラルド色のハンマーをリュックに差し込む。
その後も多くのモンスターを倒していった。
気が付くと日は暮れてい朝日を迎えていた。太陽の光がまぶしい。それでもなお残るモンスターたち。
「さすがに体がクタクタね」とユキさん。
「お前ら、戻ってていいよ?」
「却下。どうせ、あんたのことだからボロボロになるまで戦う気でしょ?」とユキさん。
「そうよ?アルベルトと戦って知ってんだから」と有川さんは困った顔でこちらを見つめる。
「でも二人とも女なんだし?あとアルファですよ?」と私は言う。
「は?何よ?」
ユキさんは怒りながら私を睨む。そして彼女はカバンをその場に置いて座り込んでしまった。
「めんどくさい女だ」
「何よ、それ?あんたとパーティーなんてもう組みたくないわ。雲に包まれて死んじまえ。第三変形……雲の檻」
彼女の雲が私に向かってくる。実をいうと、体力的にも精神的にも私はもう限界だった。彼女もそうだろう。だから私は逃げられなかった。
しかし……。
「うぐっ……」
有川さんは私を庇うかのようにその雲の中に入る。
「なんで有川さんが?早く、解放しなさいよ?雲!!」
ユキさんの言葉に反応して彼女の雲は消えた。しかしその中にいる有川さんは傷だらけで地面に叩きつけられた。
「大丈夫?有川さん?」と私は聞く。
「大丈夫じゃありません。何してるんですか、二人とも?ケンカなら外でやれとか言いますが、場を考えてください。じゃなきゃ、あの子も……」
私は彼女の言った「あの子」の言葉で名前と顔は思い出せないが、服装と髪型がうっすらと思い出されてきた。女子学生のような体つきだったような。そんなことを脳裏で一瞬思い出していると有川さんの苦しそうな喘息が耳に入る。彼女を見ると、口から血を大量に吹き出し服が破れて傷跡が生々しく見える。肌から見える胸が何もなければ色っぽく見えるのだが、この時はその傷跡が強調されてしまい痛々しさの方が強かった。涙が流れてきた。
「どいて」
私はユキさんに両手で押し出される。そして彼女は薬をカバンから取り出しているようだ。
「おい、うちの仲間に触るなよ」
彼女は私のことを無視して薬を製作して彼女の口に流し込んだ。その間、有川さんは弱々しそうに瞳を開けていた。しかし次第に目を閉じた。
「あなた、私がホントに抜けたいと思ってるとでも?だから先ほどの言葉を言ったんですよね。本当は誰にも抜けてほしくないから」
「あぁ、俺はリーダーしっか……」
彼女の手のひらが私に飛んでくる。
「痛っ」
「ごめんなさい。あなたが私のリーダーでなければ許しませんから」
「じゃあ、もう一度私の仲間になってくれませんか?」
「もう一度ではありません。ずっと仲間ですから」
ユキさんは微笑んで手を差し出す。私もその手を抱く。
『よかったよかった。あっ、何とかここには入れた。なっちゃんは私が運びます』
私の目の中にそのシステムメッセージが流れる。ユキさんはそのまま包帯などで応急処置をしているようだ。それにしても「なっちゃん」って言葉聞き覚えがあるな。夏川さんは宙に浮き、私たちとそばを歩く。
「ふん、よくぞ、この町の端っこであるここまで来たな。それは褒めてやる。だが、俺に目を付けれれたのが死へのカウントダウンだ。ん?その女寝ているのか?犯してやりたいな、薬とかで?ぶははははは」
大柄の角の生えたロン毛の男、見るからに他の輩とはオーラが異なる。
「雲、やっちゃって」
ユキさんの言葉に反応する雲。雲は彼の上に止まり、氷と雷を落とす。
「そんなもん、かゆくもいたくもないんだよ」
彼が持っていた刀により、雲は斬られ続け崩壊した。
「滅べ」
彼女に向かって刀の斬撃が走る。彼女はかわすこともなく、そのまま当たって吹き飛ばされて倒れ伏したまま動かない。
「ファイアーキャノン」
私は本を取り出し、それに該当するページを読み上げる。
「それが何か?」
それは真っ二つに斬られてしまった。彼を挟んで地面に向かって飛んでいく火の玉は地面を少し焦がして消えてしまった。
「それ、邪魔だな?」
彼は私に向かった斬撃を放つ。疲労により、かわすことに精いっぱいで本を落としたことに気が付かなかった。そして本は斬られてしまった。
「貴様、これ大事なもんなんだぞ?」
「それが?」
私はエメラルドのハンマーを持つ。えっと、これは。あの子がいれば。
彼の刀がハンマーを吹き飛ばす。
「国境国境」
「天空天空」
近くに撃ったその技は剣と共に私を吹き飛ばしてしまった。近距離がダメなら遠距離と思い、二つの銃を出そうとしたが、そう簡単にはいかなかった。地面と平行して伏せる私に対して彼は同じ言葉を言って刀を振った。
「天空天空」
私はもうだめだと思った。しかし一時停止して次のシステムメッセージが流れた。
『 は を繰り出した』
そして彼のところに大きな岩が飛ぶ。彼は「そんなの反則だ」とか何とか言ったまま、その場で仁王たち立ったまま潰れた。彼が手にしていたの刀が取れなくて残念だと思っていたが、その刀はなぜかこちらゆったりと向かってくる。どうやら、私に危害を与えるつもりはないらしい。
『あんたのためじゃないんだからね?でも受け取ってよね?(照)』
なぜかツンデレ風のシステムメッセージが流れる。私はそれを取ろうとした。しかし体がふらついたせいか、何か柔らかいモノに触れた。それが何なのかは、私の目で見た中での私には分らなかった。しかし刀が地味に揺れていたので誰かいたことに変わりはないと思った。
さて、どうするか。荷物も重くなったし、彼女を放っておくわけにはいかないし。
「……ト」
アポロニアの声がすると思ったら後ろから彼女は現れた。ズダボロになったピンクのドレスが目に入る。
「今頃聞くんだけど、なんでドレス?」
「いつでも結婚できるようにです、プリンス様」
「アポロニア、張り切ってたぜ?兄貴、この際、結婚しちゃえよ?」
「そうきたか」
「兄貴?兄貴-!?」
私の目の前は暗くなった。アポロニアの”ワープジェット”を聞いたのちに、何も聞こえなくなった。




