4話道端で拾った物は男の娘《こ》のような者でした
私たちは野生の敵を倒し前を進む。
「何かしら、あれ?」と有川さんは私たちに聞いてくる。
道端にフード付きのオレンジ色のパーカーを着て短パンを着ている。体は小さめで足も手も細めだ。
「人間よね?なんで道端で寝てるのかしら?」とユキさんは不思議そうに首を傾けて言う。
「兄貴、これが言わゆ……ブハッ」
「違うから黙ってやがれ」
私はテンマを腹パンして気絶させる。こいつがこういう時に言うセリフは大抵ろくなことがないからだ。私までそのせいで巻き込まれるのはゴメンだ。
テンマを背負った私と他三名は彼女に近寄る。
「ねぇ、あなた。大丈夫かしら?」とユキさんは言う。
そう言うとむくっと立ち上がり私たちをぼーっとした表情で見る。その表情は女の子のようだった。フードに隠れている金髪のショートヘアが何ともかわいい。
「何者じゃ?」
その子の声はまだ幼い声だった。どこから見てもかわいい女の子……幼女にしか見えなかった。
「お嬢ちゃん、なんでここにいるの?」と私は聞いてみる。
「え……えっとその……」
恥ずかしそうに照れている。
「まったく。怖がってるではありませんか。お姫様、どこから参りなさったのでしょう?できれば私どもにお手伝いさせて頂けませんかしら」とユキさんは言う。
「いや、だから。その……自分、オスです」
「オスちゃんって言うのね」とユキさん。
「いや、男です。名前はセリーヌ・K・アポロニアです。アポロニアとお呼びください」
「嘘おっしゃいなさんな。お姉ちゃんの目はごまかされないわよ?」
ユキさんはまだアポロニアに食いつく。
「本当です。胸だってありませんから。見ます?」
「いやいや。ねっ、ユキさん。ひとまずそういうことにしてあげましょうよ?」と有川さんは彼女にウィンクをする。
彼女は悔しそうに頷く。
「それでアポロニアはどうしてここに?」
「それが。その……馬車に乗っていたら揺れによって落とされてしまいそのまま寝てました」
「よく敵にやられなかったな。どこに向かうつもりだったの?」
「私の町であり王都である『話せば長くなるからやめようか町』です」
おい、幽霊。私たちが向かおうとしていたの王都じゃねえか、と思いながら花咲さんを見る。
すると彼女は耳打ちしてこういう。
「言うの遅いかもしれませんが、私たちとんでもないものを拾ってしまったかもしれません」
彼女のその声を言い終えた途端、後ろで呑気に寝ていた男が目を覚ます。そしてとんでもないことをさらっと言った。
「んん。騒がしいなぁ。あっ、アポロニア王子お久しぶりです」
ん?王子?というかこいつ今、お久しぶりって言ったよな。
「お久しぶり?私はあなたを昨日のことのように覚えてますよ?人殺しさん」
言葉とは裏腹ににこやかにアポロニアは笑っている。
「テンマ、人殺しって何だ?」
「悪いっすが、まだ兄貴たちには言えないことですよ。それとアポロニア王子、すまねぇ。また俺と顔を合わせちまって」
「いいですよ。だってあなたは私にとってヒーローなんですから。でもお母さんは許してませんよ」
「だろうな。俺、王都入れるかな」
「運命ですかね。あなたが殺した父の息子ですから最強の魔導書で何とかなりますよ」
どうやら彼らには深い闇があるようである。そして私たちもこの王都を巡る争いに首を突っ込むことになるのだった。




