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彼の場合1

気だるげな朝


まだ頭が冴えきっておらず、意識が朦朧としている


眠気を吹き飛ばそうと思わずあくびが出る


大きなあくびを一つし、落ち着いたところで学校に出かける準備をする


布団から起きあがり寝間着を脱ぎ制服に着替える


窓からこぼれる光を見て天気が良いことを知る


(今日は天気がいいのか…)


とふと思う


朝食は取らずカバンを肩にかけ玄関に向かう


ドアを開けると眩しいくらいの光が目に入ってき眼を細める


光に慣れもう一度前を向く


(今日こそはあいつにちゃんと伝える…)


と、固く心に誓って荒木亮あらきりょうは学校へ向かう


***


学校に着いたのは朝のHRホームルームが始まる10分前だった


一番生徒が多く登校してくる時間だ


校門をくぐり下駄箱に向かう


亮の前の三人組が何やら楽しげに話している


三人組の一人がオーバーリアクションを取り体勢を崩し後ろを歩いていた亮にぶつかった


「あ、ごめんなさ…」


ぶつかった人間に謝ろうと後ろを振り返る


そこには大柄で、目つきの悪い人間が不機嫌そうにぶつかった人間を睨んでいた


すると周りがざわつき始める


「うわ、あいつ荒木じゃん」

「朝から荒木に関わるとかマジあいつ終わったな」


ぶつかった人間が誰なのかを知り必死に謝る


「ご、ごめんなさい!」


震えながら一生懸命謝るが亮は何も反応しない


それでも必死に謝っている


「……」


謝っている人間を一瞥すると何事もなかったようにスタスタと立ち去っていく


「ゆ、許された…?」


後には呆然と立ち尽くす生徒が取り残された


***


亮が教室に入るとざわついていた空気が止まった


亮が自分の席に着くと何事もなかったようにまたざわつき始めた


「なんだか不機嫌だね」


と可愛らしい声が後ろからかけられる


振り向くとそこにはボブヘアーで毛先が少し跳ねている女子生徒がいた


「嫌なことでもあったの?」


そう言いながら前の席に座る


「…佐々木はなんでそう思うんだ?」


佐々木と呼ばれた女子は自分のおでこを指差した


「だってすごく眉間にシワよってる」


そう言われ亮は自分のおでこを触る


「そんな顔してたら一発でわかるよ」


佐々木はそう言うとくすくすと笑う


「笑うなよ」


笑っている佐々木を見て肩を落としさっきあったことを話す


「ぶつかったやつに半泣きで謝られた…」


ちょっと落ち込んせいる


「あはは、仕方ないよ。だって怖いし」


佐々木の言葉がダイレクトに亮の弱った心に突き刺さる


「それに不良だし」


「…言っておくけど俺は不良じゃねえぞ」


「怖い顔してる人が言っても無駄だと思うよ」


「なんでそういちいち追い討ちをかけるんだ」


佐々木は相変わらずくすくすと笑っている


反省する気が全くない


「もういい、お前に話した俺が馬鹿だった」


呆れた顔で言い、周りを見渡す


「…草原はまだなのか?」


「また時間ギリギリにくるんじゃない?」


「それもそうだな」


そんなことを話していると佐々木の後ろに人がいつの間にか立っていた


佐々木に抱きつくと甘えた声で話し始める


「おっはよ〜う美奈子みなこ!今日は遅刻しなかったよ!」


黒いロングヘアーをなびかせながら褒めて褒めてと擦り寄っている


「おはよう麗華れいか、偉いね」


頭を撫でてあげている


「おう、草原。めずらしいな」


声をかけると途端に不機嫌な顔になる


「あ?話しかけてくんな不良が」


その言葉が頭にきたらしく眉間にしわがよっていく


「だから俺は不良じゃねえつってんだろうが」


「は?そんな如何にも不良でーすっていう体型と態度と凶悪な顔をしておきながら何を言ってるんだお前は」


「この顔は生まれつきだ。つかなんだ凶悪な顔って」


「今あんたがしている表情だよ」


口論がヒートアップしてきそうなところで始業のチャイムが鳴った


「はいはい、二人ともチャイムなったから席についてね」


途中で打ち切られて不満げな二人だったがおとなしく席に向かう


席に向かう途中でもまた小突きあっていたが美奈子が笑顔で脅してきたので二人とおとなしく席につく


三人がそれぞれバラバラに離れた席に着くと教師が入ってきた


やる気のない眠そうな顔に猫背気味の高い背、それに白衣を着ている


「はーい、じゃあHRはじめるぞー」


生徒が一斉に立ち上がり礼をする


「えー、塚本先生が体調不良ということで今日は俺が担任を務める」


「木村が担任かー」「まじかー」「ちゃんとやれんのかー」


教室からは冷やかしの声が響いている


「うるせえよ、成績落とすぞ」


木村が言い返すと教室には笑いが起こった


出席を取り始める


「えー欠席者はいない、今日の日直は…佐々木か」


木村に呼びかけられ美奈子が返事をする


その時の美奈子の表情がとても嬉しそうだったのを亮は見た


次にとても複雑なモヤモヤとした気持ちが亮の心を支配する


「じゃあ、号令よろしく」


美奈子が号令をかけると生徒が一斉に立ち上がり礼をする


***


午前の授業が終わりお昼になった


「すまん、先食べててくれ、お昼買ってくる」


「言われなくても美奈子と二人で食べますから〜、どうぞ安心してお昼を買いに行ってらっしゃい」


「ふん、すぐ帰ってきてやる」


「お前の目の前で売り切れろ」


「うるせえ」


会話をしつつ教室を出て行く


売店はやはり混んでいた


無事に昼食を買い飲み物を買うために自販機に寄る


すれ違いざま男子生徒にぶつかり相手は倒れ小銭を周りにばら撒いてしまった


今日はよく人にぶつかる日だと思い小銭を拾うのを手伝う


「ほらよ」


拾った小銭を相手に渡す


「あ、荒木君ありがとう」


ぶつかった男子生徒は亮のことを知っているらしい


「別にいいよ」


そういえばどこかで見た顔だと思い必死に思い出そうとする


「同じクラスなんだけどなぁ…」


男子生徒が言いながら立ち上がる


「影野だよ」


ああ、そういえばそんなやついたなと目の前の人物を見る


黒く長い前髪で目が隠れており表情がわからない


「…お前は俺のこと怖がらないんだな」


率直に疑問に思ったことを影野にぶつける


「そうだね、いつも佐々木さんと草原さんと楽しそうに話している姿を見ているからかな」


そうなのかと少し驚く


「ありがとね拾うの手伝ってくれて」


「いや、ぶつかった俺も悪いし拾うのは当然だろ」


「とゆうか俺ってそんなにあいつらと楽しそうなのか」


「うん、僕にはそう見えるけどね」


そのことに対し嬉しく思う


今までそんなこと言われたことがないのでなおさらその幸せは全身を駆け巡っていく


が、次に言われた一言で急速にその熱は覚めてしまう


「だから、君が放課後にしようとしている愚かな行動をしなければその小さな幸せは壊れないと思うよ」


亮は焦り、混乱しそこから動けなかった


「じゃあね」


「拾うの手伝ってくれてありがとう」


亮がそこで立ち着くしていると影野は去ってしまった


後に残された亮はただただパニックになっていた


なぜ、一切関わりのなかったあいつが知っている?


誰にも気づかれてないし、話していない


わかって話しているのか


俺があいつを好きだってこと


告白しようとしていること


最初の主人公荒木亮くんです


これから彼はどう動くんでしょうかね


全3回か4回の予定です


続きは一ヶ月以内に上げれるように頑張ります

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