彼の場合2
昼食は教室で三人で食べたが全く味がしなかった
先ほど影野に言われた言葉が頭の中で反芻している
昼の次の時間は選択授業で別れることになった
荒木は佐々木と草原と違う授業を取っているので教室が離れる
この時間は担任が授業を持っているので今日は自習だった
自習課題はなく暇なのでさっき言われたことをじっくり考える
ふと周りを見渡すと影野がいた
同じ授業だったのか
周りは自由に話しているので怪しまれることはない
影野の席に近づく
こちらに気づいたらしく微笑みかけられる
「どうしたの?」
「いや…別に…何してんだろうと思って」
言い淀みながら影野の席の前に座る
さっきのことを聞こうか聞くまいか迷う
「さっきのことを聞きにきたの?」
言い当てられ驚くが開き直る
「ああ、そうだ」
「一体どういうことだ?俺の行動が俺の幸せを壊すって」
「そのままの意味だよ」
影野の表情は相変わらず見えない
だがとても冷静な声だった
心臓が掴まれ背中がゾクゾクする感覚が走る
しかしここで引いたら納得できるものもできない
「…どうしてなんだ?」
亮がそう聞くと影野は呆れたように諭すように淡々と話し始めた
「君たちの関係はとても脆いんだ」
「誰かが動くと連鎖的に崩壊一直線に向かう」
「それに…、おっと言いすぎた」
口元を押さえおどけたように両手を上に上げる
「いいから続きを話せ」
低く、ドスの利いた声で脅しにかかる
臆することなく影野は飄々とした態度だ
加えてこちらを試しているような視線を送っている
目が見えないのであくまで憶測だが
「いいのかい?これ以上聞くと君はもう戻れないよ」
「…?」
よくわからず黙っていると肩を落としため息をひとつ付きこちらをまっすぐ見た|(ような気がする)
「全てを知ってそれでも進む覚悟があるのかということだよ」
影野ははっきりと威厳のある声で言い放った
「君が聞きたいというなら僕は知っていることを全て話そう」
「けど聞いたら君は、君たちは以前のような関係に戻れない」
「僕が知っているのは君が思っているよりも遥かに深刻だってこと」
一気にいうと一息ついた
そしてこちらの意思を確かめるように影は同じ質問をしてきた
「君は知りたいか?」
影野は真剣だった
顔が、表情がわからなくともそのことだけは伝わってきた
おれは一体どうしたい?
おれは伝えたいだけなのに…
それが俺自身を滅ぼす?
だったら俺は…
「影野…」
影野の方を見、意思を伝える
「俺は…」
結構お久しぶりです
半年以上も空いてしまいました。ビックリです
続きも書いているのですが、いつになるかわかりません
気長にお待ちいただければ




