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(3-5)やっと書いた手紙。

久美子は、脱衣場で服を脱ぎ全裸になった。鏡に映った自分の乳房を見ながら、髪をかけあげ「この身体は誰のものになるのだろう?」久美子は、自分で言った言葉に「何を馬鹿なことを想像してるのだろうか!あ~ぁ!バカ!」自分の頭を拳で「コッツ」と叩いた。


風呂から出て、部屋に戻った。ドレッサーの前に座り、ドライヤーで髪を乾かしながら手紙の書きだしを考えた。


「突然・・・突然お手紙を差し上げる失礼をお許し下さい・・・」


「突然」の出だしがきっかけに次から次へ文面が浮かんできた。机の座り、引き出しからピンクの便箋を取り出し、ペンを一気に走らせた。



「突然お手紙を差し上げる失礼をお許し下さい。先週、新潟行列車の中から手を振りました者です。覚えていらしゃるでしょうか?

本当は直接お渡しすればよいのですが、もし受け取ってもらえなかった事を考えると、直接お渡しする勇気がでませんでした。この手紙を差し上げた用件なのですが、スキーを教えて頂けませんでしょうか?誠に身勝手なお願いですが、よいお返事をお待ちしています。    

西郷久美子」



内容を便箋に書いた後、何回も読み直したが、堅苦しい手紙より、単刀直入の方が、判って貰えるだろうと思った。

便箋を薄いピンクの封筒に入れ、封をした。宛名が書かれていない手紙を机の上に丁寧に置いた。


久美子はパジャマに着替え、ベッドの中にはいった。時計を見ると12時を回っていた。

明日の仕事の為に早く眠りにつきたいと思うのだが、眠れない。その理由は、手紙の渡す方法だった。

駅で待ち伏せを・・・ゲレンデで直接・・・ホームで渡したあと一気に逃げる・・なぜ逃げるの?どうどうめぐりをしていると、窓の外が明るくなって来た。久美子は、一睡も出来なかったのだ。


「あ~ぁ!一睡も出来なかったわ。手紙の渡す方法が浮かばないわ・・・」


会社に行く仕度をしするため、洗面所に向かった。鏡で自分の顔をみて。


「あ~~ぁ!なんて事なのだろうか?!顔がパンパンだわ!!寝不足はお肌に大敵なのよね~!」


その時、信行は、駅に行く途中の肉屋でコロッケを購入している事を思い出した。


「そうだっわ!肉屋さんのおばさんにお願いして手紙を彼に渡して貰うのよ!」


土曜日に、久美子は手紙を託す為だけに列車に乗り、石打に行った。肉屋のおばさんに事情を話し、手紙を預けた。


その時、久美子は、決心をしていた。もし、信行から返事が来なかった場合、スキーは辞めると。

月曜日仕事から帰ると、母の秋江に聞いた。

「手紙、届いてなかった?」

秋江は久美子宛ての手紙は食堂のテーブルに置いてあるよと言った。手紙を確認すると、化粧品のダイレクトメールだった。


部屋に戻り、久美子はつぶやいた。「彼が受け取ってるか分からないし、直ぐに手紙が送られて来るわけないわ・・・」



続く


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