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(2-5)  母の嗚咽・・・その2

冬になると、信行は毎週上越方面のスキー場に滑りに行った。ある時、毎回立ち寄る肉屋のコロッケ売り場に寄ると、店のおばさんが、女性から手紙を預かり、その手紙を信行に渡した。手紙を書いたのは、石打駅で数回すれ違った女性だった。手紙の内容は、スキーを教えて欲しいと・・・そしてスキー場で待ちわせをする。その事がきっかけになり、2人は恋に落ちていった。ある時久美子は「私、農家の長女なの・・・」

深刻な表情で言った。

トミ子も涙声になり


「秋江さんの苦労は、健ちゃんが死んだ時から始まったの・・。でも、苦労の先にもっと酷い地獄が待ってたのよ」

久美子は、まだ、その意味が理解出来ず、聞き返した。


「地獄?」

トミ子は、涙をハンカチでぬぐったあと久美子の問いに、祖母の話をしだした。


「秋江さんの姑は・・・」

「おばあちゃんが?」

トミ子が10年以上前に亡くなった、祖母の話しをし始めると、秋江は両手で耳を塞ぎ、身体を縮めて怯えるように叫んだ。


「トミ子さん!もう止めてっ!おばあちゃんの話は!健一を死なせたのは全部私の責任なの!全部私が悪いの!健一が死んだのは!!私が目を離したからなの!あああぁああ~ぁ!健一!許して下さい!ああぁぁぁ!!許して!!」

 秋江は狂ったように泣き叫び、トミ子の言葉を遮った。


「秋江さん・・・」

トミ子は茫然として黙った。

 久美子は、秋江の泣きじゃくる姿を見て、幼くして亡くなった兄の事で、嫁と姑の対立があり、姑が母により深い傷を負わせたと推察した。

 普段、感情を出さず、修造に従う従順な秋江を、同じ同性として尊敬出来ず、心のどこかで、軽蔑していた。

 だが、兄の死が原因になり、心は、深い闇の中を彷徨い、徐々に感情を表に出さなくなったのだと思った。

 それを思うと今、感情をあらわにして泣きじゃくる母が哀れでならなかった。これからは母の苦しみを素直に受け止め、母を尊敬し、大切にするのだと決心をした。



続く


注、この物語は、フェクションであり、名前等の名称は、作者の創作により書かれています。万が一、実在したり、現存したりした場合、ご連絡頂ければ、速やかに対処いたします。尚、地名等は、リアル性を持たせる為に実在の駅名、土地名を使用していますのでご了承ください)


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