第36話 おそろいコーデ!!
【女子会】つむぎと茜、初めて一緒におしゃれします。
――「かわいい!」を交換しながら、二人だけのお出かけ準備。こんな時間も、きっと大切な思い出になる。――
「よーち!」
「つむぎちゃん!」
「お茶!」
「飲んでみなきゃ!!」
「あっ。」
「うん!」
「今行く!」
つむぎ。
茜のところへ。
ててててっ。
木の床。
小さな足音。
椅子。
座る。
背筋。
ぴんっ。
両手。
膝の上。
ものすごく。
真剣。
まるで。
これから。
伝説の薬でも。
飲むみたいだった。
茜。
その姿を見る。
「……」
「何その姿勢?」
「すっごい。」
「神秘的なもの。」
飲もうとしてない?」
つむぎ。
少しだけ。
照れる。
「た、楽しみなの!」
「どんな味?」
「甘い?」
「苦い?」
「匂いは?」
「すいか?」
「チョコレート!!」
「チョコレート?」
つむぎ。
首をかしげる。
「お茶が?」
「……え?」
「チョコレート!?」
その時。
茜。
椅子の上。
立っていた。
正確には。
ぐらぐら。
揺れていた。
棚の一番上。
必死に。
手を伸ばす。
「もうちょっと……!」
「あと少し……!」
指先。
届く。
そして――
「見つけたぁぁぁぁぁぁぁ!!」
茜。
飛び降りる。
手には。
チョコレート。
長い間。
行方不明だった。
あの。
チョコレート。
第一話から。
探していた。
本人だけが。
忘れかけていた。
「うそぉ……」
「ここにあったの……?」
一秒。
思い出す。
「あっ。」
「そうだった!」
「特別な映画を見るために!」
「特別なお茶を!」
「準備してたんだった!」
つむぎ。
ぱちっ。
「特別な映画?」
「……」
茜。
止まる。
目。
見開く。
「そうだぁぁぁぁ!!」
「つむぎちゃん!!」
「映画の予定表も!」
「見せなきゃ!!」
「それから!」
「あのお茶のお店にも!」
「連れていきたいし!!」
「学校の買い物も!」
「しなきゃだし!!」
つむぎ。
指。
一本。
また一本。
数える。
「やること。」
「いっぱいだね。」
茜。
こくり。
真剣。
「いっぱい。」
でも。
次の瞬間。
にっ。
笑う。
「よーち!」
「大丈夫!」
「まずは!」
「この特別なお茶を!」
「飲んでみよう!!」
「うん!」
茜。
つむぎのカップ。
そっと取る。
茶葉。
入れる。
見た目からして。
少し。
高そう。
砂糖。
さらさら。
少しだけ。
スプーン。
くるくる。
湯気。
ふわっ。
「はい!」
「もっと甘くしたかったら。」
「お砂糖。」
足してね。」
「うん……」
つむぎ。
両手で。
カップを持つ。
じーっ。
見る。
香り。
くん。
(よし……)
少しだけ。
息を吹く。
ふぅ。
そして。
一口。
こくっ。
「……」
茜。
じーっ。
「……」
つむぎ。
もう一口。
こくっ。
そして――
「おいしい!!」
「ほ、本当!?」
「好き!?」
つむぎ。
何度も。
頷く。
「すっごく!」
「んー……!」
「おいしい……!」
茜。
ほっ。
胸をなで下ろす。
「よかったぁ……」
少しだけ。
笑う。
「一番高いやつに。」
慣れないでね……」
つむぎ。
くすっ。
「うん。」
「慣れないようにする!」
二人。
顔を見合わせる。
笑う。
それから。
ゆっくり。
お茶を飲んだ。
数分後――
キッチン。
静か。
テーブルの上。
空のカップ。
一つ。
また一つ。
さらに。
もう一つ。
つむぎ。
最後の一口。
こくっ。
箱。
開ける。
「……」
空。
全部。
なくなっていた。
つむぎ。
空っぽの箱を見る。
少し考える。
(このお茶。)
(また買わなきゃ。)
責任感。
芽生えていた。
かなり。
その時。
寝室から。
茜の声。
「つむぎちゃーん!!」
「そろそろ!」
「お出かけの準備するよぉぉぉ!!」
つむぎ。
箱を置く。
「どうやって準備するのー!?」
少しの沈黙。
そして。
茜。
低い声。
妙に。
自信満々。
「心配しないで。」
「つむぎちゃんは。」
まだ。
知らない。」
「私が。」
どれだけ。」
服を持っているのかを――」
「……?」
つむぎ。
首をかしげた。
まだ。
知らなかった。
この先に。
服の山が。
待っていることを。
つむぎ。
立ち上がる。
寝室へ。
てててっ。
歩く。
扉。
開く。
そして――
「……」
止まった。
完全に。
目の前。
情報量。
すごい。
服。
山。
布。
いっぱい。
陶器。
いっぱい。
紙。
いっぱい。
手作り。
いっぱい。
部屋というより。
作品展だった。
「わぁ……」
思わず。
声が漏れる。
茜。
振り向く。
「あっ!!」
「散らかってるのは!!」
「気にしないでね!!」
つむぎ。
もう。
見ていた。
かなり。
隅々まで。
茜。
クローゼット。
ごそごそ。
ごそごそ。
服。
一枚。
また一枚。
ぽいっ。
ぽいっ。
目的の服。
まだ。
見つからない。
「うーん……」
「これじゃない……」
「これでもない……」
さらに。
奥へ。
手を伸ばす。
そして――
「ははっ!!」
「見つけたぁ!!」
取り出したのは。
タンクトップ。
緑色。
少し太めの肩ひも。
真ん中には。
眠っている。
宇宙人。
すやすや。
平和だった。
「それから……」
茜。
もう一度。
クローゼットへ。
今度は。
もっと奥。
腕。
全部。
突っ込む。
「んんんんん……!!」
引っ張る。
ものすごく。
力いっぱい。
「よいしょぉぉぉ!!」
ずぼっ。
抜けた。
勢い余って。
少しだけ。
後ろへ。
よろっ。
でも。
転ばない。
慣れていた。
たぶん。
手の中。
ピンク色のスカート。
少しだけ。
ふわふわ。
表面。
ぽこぽこした。
かわいい生地。
茜。
ぱぁっ。
笑顔。
「見て見て!!」
「絶対かわいいよ!!」
「昔。」
私がよく着てたの!!
「つむぎちゃんなら。」
能力でサイズも合わせられるよね?」
つむぎ。
宇宙人を見る。
じーっ。
「かわいい……」
少し考える。
「宇宙人って。」
「こういう姿なんだね。」
茜。
勢いよく。
頷く。
「そう!!」
そして。
何か。
思い出した。
「そうだ!!」
つむぎの肩。
がしっ。
両手で。
つかむ。
「つむぎちゃん!!」
「いつも一緒にいる!!」
「あの!!」
「透明で!!」
「スライム……」
「じゃなかった!!」
「ナメクジ!!」
「じゃなくて!!」
「レ、レ……」
「レズ……」
「ちがう!!」
「レスマ!!」
「……」
「レスマ?」
つむぎ。
首をかしげる。
「レスマじゃないよ。」
「ナメちゃん。」
「ナメちゃん?」
「ううん。」
「ナメさん?」
「違う。」
「ナメクジ。」
「そのまま。」
茜。
固まる。
数秒。
「……」
「ナメクジで。」
「名前も。」
「ナメクジ?」
「うん。」
「……」
「センス。」
「ゼロだった。」
つむぎ。
素直に。
頷く。
「うん。」
「そうだね。」
二人。
真剣な顔。
数秒。
考える。
茜。
ぽつり。
「名前。」
「付けてあげよう。」
つむぎ。
こくん。
「うん。」
茜。
腕を組む。
「どんな顔してる?」
つむぎ。
即答。
「ナメクジ。」
「…………」
あまりにも。
そのままだった。
茜。
ゆっくり。
後ろへ倒れる。
ばたん。
「その情報じゃ!!」
「何も分かんないよぉぉぉ!!」
つむぎ。
きょとん。
「そう?」
「そうだよ!!」
数秒後。
茜。
起き上がる。
「よし。」
「名前は。」
「あとで考えよう。」
「うん。」
「その前に!!」
茜。
びしっ。
服を指さす。
「その服!」
「小さくして着てみて!!」
「私は!」
「自分の服探してくる!!」
「はーい!!」
茜。
再び。
クローゼットへ。
ごそごそ。
ごそごそ。
終わりが。
見えなかった。
その頃。
つむぎは。
もう。
スカートを。
履いていた。
能力。
便利だった。
サイズ。
ぴったり。
くるっ。
その場で。
一回転。
少しだけ。
嬉しそう。
その時――
「やぁぁぁっと!!」
「見つけたぁぁぁ!!」
茜。
宝物を見つけた人みたいな顔。
両手。
高く上げる。
「つむぎちゃん!!」
「おそろいだよ!!」
見せたのは。
タンクトップ。
『ピポ&ゼリーのほし』
昔。
大好きだった。
今は。
もう見ていない。
でも。
かわいかったので。
買った。
理由は。
それだけだった。
下は。
ピンク色のショートパンツ。
後ろのポケット。
小さなうさぎ。
ちょこん。
刺繍されていた。
「どう!?」
茜。
くるっ。
その場で。
回る。
つむぎ。
目を輝かせる。
「かわいい!」
「茜さん!」
「やっぱり。」
「すごくおしゃれ!!」
茜。
両手。
ぱあっ。
「ありがとぉぉぉぉ!!」
ものすごく。
嬉しかった。
それから。
二人。
着替える。
数分後。
準備。
ほぼ完了。
残るは――
アクセサリー。
茜。
箱を開ける。
じゃらっ。
いっぱい。
「つむぎちゃん!」
「このピアス!」
「どう思う!?」
つむぎ。
じーっ。
近づく。
「……」
「コーヒープリン?」
「そう!!」
「かわいいでしょ!?」
「それと!」
「こっちもあるよ!!」
また。
取り出す。
今度は。
普通だった。
少なくとも。
さっきよりは。
「こっちの方が……」
「普通かな。」
茜。
真剣。
頷く。
「よし!!」
「つむぎちゃんを信じる!!」
即決だった。
「ふふっ。」
つむぎ。
少しだけ。
笑う。
茜。
アクセサリーケース。
開いたまま。
「つむぎちゃんも!」
「ブレスレット!」
「好きなの使っていいよ!」
つむぎ。
ケースを見る。
「……」
いっぱい。
本当に。
いっぱい。
色。
形。
全部違う。
(すごい……)
(いっぱいある……!)
少しだけ。
迷う。
そして。
二つ。
選ぶ。
小さな。
ビーズのブレスレット。
茜。
目。
きらっ。
「いいね!!」
「絶対かわいい!!」
「似合うよ!!」
つむぎ。
照れる。
「えへへ……」
そっと。
腕につけた。
ころん。
ころん。
小さなビーズ。
光を受けて。
きらきら。
少しだけ。
嬉しくなった。
着替え。
完了。
アクセサリー。
完了。
あと少し。
茜。
髪をほどく。
さらっ。
肩まで。
ふわり。
「つむぎちゃん!」
「髪おろして行こうかな!」
「どう思う!?」
その場で。
くるっ。
一回転。
つむぎ。
じーっ。
真剣。
ものすごく。
真剣。
茜。
決めポーズ。
びしっ。
数秒。
沈黙。
つむぎ。
ぽつり。
「……」
「ちょっと。」
「トゲトゲしてる。」
「…………」
茜。
固まる。
心。
ちくっ。
肩。
しゅん。
「よーち……」
「じゃあ。」
「これにする……」
引き出し。
ごそごそ。
取り出したのは。
緑色のカチューシャ。
黒い水玉。
そして。
横には。
大きな。
ピンク色のボタン。
かなり。
大きかった。
つむぎ。
ぱあっ。
「わぁ……!」
「茜さん!」
「かわいい!!」
「さっきより。」
「全然ちがう!」
茜。
顔。
ぱああっ。
復活。
一瞬だった。
「でしょーーー!!」
「今日は!」
「つむぎちゃんと!」
「初めて!」
「おしゃれして!」
「お出かけだからね!!」
ものすごく。
嬉しそう。
「あと!」
「メイクだけしたら!」
「出発だよ!!」
「うん!」
部屋の中。
小さな音楽。
流れていた。
昔の。
アニメの主題歌。
少しだけ。
懐かしい。
優しいメロディ。
つむぎ。
座ろうとする。
ベッドを見る。
「……」
服。
服。
服。
座る場所。
なかった。
少しだけ。
考える。
服を。
よいしょ。
よいしょ。
端へ。
寄せる。
小さな場所。
完成。
ぽすん。
座る。
足。
ぶらぶら。
ぶらぶら。
目の前。
茜。
鏡の前。
楽しそう。
鼻歌。
るんるん。
メイク。
真剣。
でも。
どこか。
嬉しそう。
つむぎ。
その背中を。
じーっと。
見つめる。
何も言わない。
でも。
足は。
ぶらぶら。
止まらない。
今日も。
一緒。
また。
一緒に。
出かけられる。
それだけで。
嬉しかった。
ものすごく。
茜は。
まだ。
気づいていない。
後ろから。
そんなふうに。
見つめられていることを。
だから。
振り向かない。
つむぎも。
何も言わない。
言葉なんて。
なくても。
十分だった。
二人には。
読んでいただき、本当にありがとうございます~!!♡♡
もしこの作品で少しでも笑顔になっていただけたら、★で応援していただけると、とっても嬉しいです!
皆さんからいただく評価は、
「もっともっと面白い作品を作りたい!」
と思える大切な励みになっています
(´▽`)
Pixivではキャラクターデザインやイラストも投稿しています!
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また次回もよろしくお願いします~!!♡♡
(≧▽≦)




