第34話 お買い物だぁぁぁぁぁ!!
【緊急速報】つむぎちゃん、学校で“オンリーワン”になることが決定!?
― 茜先生の特別授業、開始直後に予定変更! まずは運命のお買い物へ!! ―
「よぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっちぃぃぃぃぃぃぃ!!」
開戦。
そんな勢いだった。
茜は。
腕まで。
ぶんっ。
勢いよく振り上げる。
気合い。
増量。
隣では。
椅子の上に体育座りしていた。
つむぎ。
びくっ。
髪。
ふわっ。
音圧で揺れた。
「よち、つむぎちゃん!」
「今日はね!」
「人生で超大事なことを教えてあげる!」
「……」
つむぎ。
ぱちっ。
目を丸くする。
ちょっとだけ。
心配そう。
「……予定のお話じゃなかったの?」
「ちがーーーう!!」
「まだ!」
「そっか!」
つむぎ。
ぴんっ。
背筋を伸ばす。
「よーし!」
「茜さん!」
「超大事なこと!」
「教えてくださいっ!」
「その意気ぃぃぃっ!!」
茜。
ばんっ。
椅子の上へ。
立った。
まるで。
歴史が動く。
その瞬間。
「第一ぃぃぃっ!!」
びしっ。
人差し指。
一本。
空へ。
「見た目!!」
「インパクトが必要です!!」
「見た目?」
「どうして?」
「学校と関係あるの?」
「えぇぇぇぇぇっ!?」
茜。
衝撃。
「あるよ!?」
「めちゃくちゃあるよ!?」
「うぅ……」
「中瀬くんみたい……」
「オシャレ分かんないタイプだ……」
「?」
つむぎ。
きょとん。
茜。
ふっ。
前髪を払う。
「でも。」
「覚悟してました。」
「この重大任務は。」
「私の役目ですから!」
「茜さん……!」
「学校では!」
「オンリーワンにならなきゃダメ!」
「見た目も!」
「雰囲気も!」
「全部!」
「オンリーワン!!」
そこだけ。
やたら力強かった。
「じゃあ!」
「オンリーワンを作るの!?」
つむぎ。
わくわく。
意味は。
よく分からない。
でも。
なんだか。
楽しそうだった。
「そう!!」
茜。
満面の笑み。
その瞬間――
♪♪
ぶるるっ。
スマホ。
鳴る。
「もっしもーし!」
「望月さん。」
「中瀬です。」
「あっ!」
「中瀬くん!」
「どうしたの!?」
「連絡です。」
「二年生の教室を使うことになりました。」
「すごーーー……」
「それと。」
「今日中に学校用品を取りに行く必要があります。」
「えぇぇぇぇぇぇっ!?」
「制服は受け取りました。」
「僕は普通のサイズで大丈夫でした。」
「でも。」
「お二人は試着してくださいと言われました。」
「僕の判断は信用されなかったようです。」
「ふ、普通ってどこで……」
茜。
ぼそっ。
聞こえなかった。
「それから。」
「学用品も買わないといけません。」
「望月さん。」
「つむぎさんと一緒にお願いできますか?」
茜。
つむぎを見る。
にやっ。
つむぎ。
首をかしげる。
「もちろん!!」
「今から行きます!!」
「待っ――」
「じゃあねぇぇぇぇ!!」
ぴっ。
通話終了。
茜。
椅子から飛び降りる。
玄関へ。
だだだだだっ。
靴。
履く。
「予定変更!!」
「つむぎちゃん!!」
「?」
まだ。
椅子の上。
「お買い物だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「お買い物!」
「お買い物。」
「お買い物ぉぉぉぉぉぉっ!!」
「やぁぁぁぁぁぁっ!!」
ぴょんっ。
つむぎ。
椅子から飛び降りる。
二人。
急いで靴を履く。
茜。
車の鍵。
ひょいっ。
そのまま。
外へ。
だだだだだっ。
軽トラック。
到着。
茜。
運転席へ。
鍵。
回す。
「……」
ぶるっ。
止まる。
もう一回。
ぶるるっ。
止まる。
「……」
メーター。
じーっ。
「あ。」
「つむぎちゃん。」
「軽トラにガソリン入れられる?」
「んー。」
つむぎ。
目を閉じる。
近くのガソリンスタンド。
思い浮かべる。
集中。
しーん。
数秒後。
ぱちっ。
目を開ける。
「できた!」
「えっ。」
「ほんとに?」
「冗談だったんだけど!?」
「お金も。」
「ちゃんと置いてきた。」
「……」
茜。
一番気になるところ。
「字。」
「読める?」
「うーん。」
少し考える。
「ナメクジさん。」
「書いた。」
「あっ。」
「終わった。」
茜。
確信。
絶対。
読めない。
その頃――
近くのガソリンスタンド。
店員さん。
固まる。
レジの上。
突然。
現れた。
お金。
その上には。
一枚の紙。
じーっ。
読む。
読めない。
もう一回。
読む。
やっぱり。
読めない。
「……」
肩。
すくっ。
「まぁ。」
「いっか。」
現金。
あるし。
問題なし。
ぶるるるるっ!!
軽トラ。
復活。
「茜さん!」
「何を買うの?」
「その前に!」
茜。
にこっ。
つむぎを見る。
「うちに寄る!」
「見せたいものがあるの!」
「!」
つむぎ。
ぱぁっ。
目。
きらきら。
まだ。
何も知らない。
でも。
茜が。
嬉しそうだから。
それだけで。
嬉しかった。
「うん!」
その瞬間。
髪。
さくら色。
ふわっ。
茜。
硬直。
「えっ。」
「えっ!?」
「つつつつつつつむぎちゃん!!」
「お腹すいたの!?」
「?」
「違うよ?」
「……」
茜。
ほっ。
本気の安堵。
胸の奥から。
ふぅぅぅぅぅ。
深呼吸。
そして――
軽トラ。
出発。
満タン。
読めないメモ。
支払い完了。
そして。
茜の家では。
小さなサプライズが。
二人を待っていた。
軽トラ。
ごとごと。
山道を走る。
窓の外。
夏。
緑。
空。
全部。
きらきら。
つむぎは。
助手席。
外を眺める。
ずっと。
楽しそう。
「ねぇ。」
「茜さん。」
「ん?」
「お買い物って。」
「楽しい?」
茜。
即答。
「最高!!」
「必要な物を買うだけじゃないの!」
「出会いがあるの!」
「出会い?」
「そう!」
「かわいい文房具!」
「かわいい服!」
「かわいい雑貨!」
「全部!」
「運命の出会い!!」
「おぉ……」
つむぎ。
なんだか。
すごそう。
そう思った。
「だからね。」
茜。
にやっ。
「今日は。」
「つむぎちゃんの。」
「運命の日です!!」
「運命の日!」
その言葉だけで。
わくわく。
止まらない。
やがて――
軽トラ。
到着。
茜の家。
「着いたよ!」
「うん!」
二人。
車を降りる。
玄関へ。
とことこ。
茜。
鍵。
がちゃっ。
扉。
開く。
「ただいまー!」
元気いっぱい。
返事。
……ない。
「まだ誰も帰ってないかぁ。」
少しだけ。
残念そう。
でも。
すぐに。
にこっ。
「つむぎちゃん!」
「こっち!」
ぱたぱた。
廊下を走る。
つむぎも。
後ろから。
とことこ。
ついていく。
そして――
茜。
ある扉の前で。
ぴたり。
止まった。
「ふふふ。」
「覚悟してください。」
「?」
つむぎ。
きょとん。
茜。
勢いよく。
ばんっ!!
扉を開ける。
「じゃーーーーーん!!」
部屋の中。
そこには。
ぬいぐるみ。
ぬいぐるみ。
またぬいぐるみ。
棚にも。
机にも。
ベッドにも。
ぎゅうぎゅう。
「わぁぁぁぁ……」
つむぎ。
目。
きらきら。
一歩。
また一歩。
吸い寄せられる。
「かわいい……」
ぽつり。
その一言だけだった。
茜。
えっへん。
胸を張る。
「でしょ?」
「この子たちは。」
「みーんな。」
「私のお友達です!」
「お友達……」
つむぎ。
部屋を見渡す。
くまさん。
うさぎさん。
ねこさん。
いぬさん。
みんな。
笑ってる。
なんだか。
あったかい部屋だった。
茜。
一番大きなくまを抱える。
「この子!」
「小学校一年生から一緒なの!」
「へぇ……」
つむぎ。
そっと。
くまさんを撫でる。
その瞬間。
髪。
また。
ふわっ。
さくら色。
茜。
「あっ。」
一秒。
止まる。
そして――
「よかったぁぁぁぁぁ!!」
「今度はお腹じゃなかったぁぁぁ!!」
ぎゅぅぅぅっ。
思わず。
つむぎを抱きしめる。
「?」
つむぎ。
抱きしめられたまま。
首をかしげる。
理由は。
最後まで。
分からなかった。
でも。
茜が笑っているから。
きっと。
いいことなんだ。
そう思った。
そして。
二人は。
学校へ向かうため。
もう一度。
軽トラへ乗り込む。
今度こそ。
本当のお買い物へ。
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