第29話 その笑い方、絶対なんかあったでしょ。
【緊急速報】紬ちゃんの能力、ついに人体実験へ!?
― 謎だらけの能力を徹底検証! そして中瀬、なぜか実験台に決定!! ―
その頃。
明音。
まだ。
混乱中。
「え……。」
「えっ。」
「えええええ……。」
「も、もももも……。」
「もっ。」
「望月さん?」
中瀬。
首をかしげる。
返事がない。
いや。
返事はある。
「は、はははは……!」
「はいっ!!」
ものすごく。
ぎこちない。
ここで。
重要なお知らせ。
望月明音が。
「はい。」
この二文字を言うまでに。
七回以上。
どもり始めたら――
だいたい。
頭の中が。
大惨事である。
「望月さん。」
「大丈夫ですか?」
「だだだだだだ……!」
「だ、大丈夫です!!」
「すっごく!!」
「元気です!!」
「世界で一番!!」
「元気です!!!」
「あははははは!!」
そう言うと。
ぴょん。
ぴょん。
ぴょん。
なぜか。
スキップしながら。
キッチンへ。
コップを持つ。
水。
ごくっ。
ごくっ。
二杯。
一気飲み。
理由は。
本人にも。
よく分からない。
中瀬。
ぽつん。
立ったまま。
天井を見る。
床を見る。
テレビを見る。
紬を見る。
紬。
サングラス。
ポップコーン。
ソファ。
完全に。
組の若頭。
誰にも。
説明する気はない。
「よ……。」
「よーち。」
明音。
戻ってくる。
まだ。
笑っている。
「マニュアル!」
「続きを!」
「あはは……。」
ここで。
もう一つ。
重要なお知らせ。
望月明音が。
理由もなく。
ずっと笑っていたら――
それは。
心の中で。
六回目くらいの。
大パニックが。
発生している証拠である。
席に座る。
マニュアルを見る。
しかし。
頭の中は。
別世界。
(だだだだだ……。)
(第二候補!?)
(え!?)
(ええええ!?)
(私!?)
(今!!)
(第二候補って!!)
(そういう意味!?)
(つまり!!)
(私の方が!!)
(隣にいてほしいって!!)
(きゃああああああ!!)
心の中。
七回目。
突入。
(あっ!!)
(違う!?)
(政府の第一候補より!!)
(私の方が!!)
(って意味!?)
(きゃあああああ!!)
もし。
中瀬が。
話しかけなければ。
このまま。
永遠に。
暴走していた。
たぶん。
「ところで。」
中瀬。
軽く。
咳払い。
「紬ちゃんの。」
「親友の話なんですが。」
明音。
「はっ!!」
現実へ。
帰還。
「そ、そうだった!」
そして。
一秒後。
「宇宙人です。」
中瀬。
「……。」
「宇宙人です。」
中瀬。
「……。」
「何がですか?」
「紬ちゃんの親友!」
「絶対に宇宙人!」
「違います。」
即答。
「まだ何も言ってないのに!?」
「言わなくても分かります。」
明音。
机を叩く。
「だって!」
「あの時!」
「宇宙人の話をしたら!」
「紬ちゃん!」
「すっごく反応してたもん!」
リビング。
紬。
自分の名前が聞こえて。
ぴくっ。
振り向く。
(レスマの話?)
耳だけ。
しっかり。
こっち。
「緑色で!」
「頭が変わってて!」
「すごく賢くて!」
「特徴もぴったり!」
「宇宙人しかない!」
中瀬。
首を横に振る。
「違います。」
「普通の反応でした。」
「普通じゃない!」
「絶対そうだった!」
「私には分かる!」
中瀬。
少し考える。
「望月さんが。」
「大声で。」
「手を振り回しながら。」
「話していたので。」
「気になっただけだと思います。」
「うっ……。」
反論。
できない。
「じゃあ!」
「宇宙人じゃないなら!」
「何なの!?」
明音。
腕を組む。
真剣。
三秒。
考える。
「……。」
「幽霊です!」
「どうして。」
「そうなるんですか。」
「だって!」
「私!」
「あの子の声!」
「聞こえたり!」
「聞こえなかったり!」
「するもん!」
「待って。」
「中瀬くんは!」
「聞こえるの!?」
「……。」
「聞こえません。」
「ほらぁ!!」
「やっぱり!」
「幽霊!!」
「違います。」
「望月さん。」
「それ。」
「ただ能力を。」
「使ってるだけです。」
「…………。」
明音。
固まる。
「…………。」
「……あ。」
中瀬。
小さく。
うなずく。
「なるほど。」
「って顔ですね。」
「……。」
「うん。」
「なるほど。」
「だった。」
リビング。
紬。
ポップコーン。
もぐもぐ。
(また。)
(明音さん。)
(変なこと言ってる。)
テレビ。
ジェラチンプラネット。
今日も。
平和。
紬も。
平和。
「よーち!」
明音。
気を取り直す。
ペンを持つ。
舌。
ちょこん。
集中。
「候補!」
「幽霊!」
「または宇宙人!」
カリカリ。
書き終える。
数秒後。
自分の字を見て。
満面の笑み。
「やったぁ!」
「かわいい!」
中瀬。
横から。
のぞく。
「……。」
読めない。
さっきより。
ほんの少し。
丸くなった。
それだけだった。
「中瀬くん!」
「色ペンある!?」
中瀬。
真顔。
「ありません。」
「えぇ~。」
「シールとか!」
「ありません。」
「かわいい付箋!」
「ありません。」
「色鉛筆!」
「ありません。」
「先生なのに!?」
「高校教師です。」
「保育園じゃありません。」
明音。
ぐさっ。
心に。
刺さる。
「……。」
「よかった。」
ぽつり。
中瀬。
首をかしげる。
「?」
「そんなに。」
「欲しかったんじゃ。」
「ないんですか?」
明音。
慌てる。
「ち、違うの!」
「もし!」
「本当に持ってたら!」
「中瀬くん!」
「すっごく可愛い先生なんだなって!」
「思っちゃうから!」
「……。」
中瀬。
数秒。
停止。
(……。)
(どういう理屈。)
理解。
できない。
明音。
気を取り直す。
ぺらっ。
ページをめくる。
「よーち!」
「次は!」
「紬ちゃんの能力!」
二人。
同時に。
止まる。
「……。」
「……。」
静か。
何も。
思いつかない。
「どうやって。」
「整理します?」
中瀬。
腕を組む。
「そのために。」
「このマニュアルを。」
「作ってるんです。」
「そうだった。」
明音。
えへへ。
笑う。
そして。
二人は。
今までを。
思い返し始めた。
「まずは……。」
明音。
指を折りながら。
数え始める。
「ぬいぐるみになった。」
「髪の色が変わる。」
「中瀬くんの心を読んだ。」
「私も。」
「読まれた。」
「物の記憶も。」
「見られるっぽい。」
「そうですね。」
中瀬。
書き留める。
「あと。」
「テレパシー。」
「物を動かす。」
「人も浮かせる。」
「スーパーを。」
「巨大な風船にした。」
「親友候補。」
「宇宙人。」
「違います。」
「候補!」
「です!」
「…………。」
中瀬。
ため息。
一応。
書かない。
リビング。
紬。
ポップコーン。
もぐもぐ。
にこっ。
(えへへ。)
(いっぱい。)
できる。
少しだけ。
胸を張る。
誇らしい。
明音。
腕を組む。
「……。」
「これだけ?」
「もっと。」
「色々あった気がする。」
中瀬。
少し考える。
「僕も。」
「そんな気がします。」
「ですよね!」
「なんか!」
「毎回!」
「事件が大きすぎて!」
「忘れちゃう!」
「…………。」
それは。
忘れていい規模では。
ない。
明音。
突然。
ぴんっ。
背筋を伸ばす。
「能力!」
「能力!」
「能力!」
「……。」
中瀬。
嫌な予感。
「中瀬くん。」
「いいこと思いついた!」
「聞きたくないです。」
「えぇ!?」
「まだ。」
「何も言ってない!」
「その顔は。」
「ろくでもないことです。」
「正解!」
「嬉しくありません。」
明音。
いたずらを思いついた。
子どもみたいな顔。
目が。
きらきら。
中瀬。
ゆっくり。
自分を指さす。
「……僕ですか?」
明音。
満面の笑み。
こくこく。
うなずく。
中瀬。
天井を見る。
「そうですか。」
諦めた。
完全に。
受け入れた。
リビング。
紬。
ポップコーンを。
一粒。
ぱくっ。
テレビ。
『ピポとゼリーの惑星』
今日も。
平和。
本人だけは。
何も知らない。
明音。
にやっ。
悪そうな笑顔。
「じゃあ。」
「明日!」
「実験しましょう!」
「実験?」
「そう!」
「紬ちゃんが!」
「本当に元気になったか!」
「ちゃんと確かめるの!」
中瀬。
もう。
嫌な予感しかしない。
「……。」
「ちなみに。」
「僕は。」
「何をするんですか。」
明音。
満面の笑み。
「それは!」
「明日のお楽しみ!」
「聞かなければ。」
「よかったです。」
「えへへ!」
中瀬。
ため息。
今日だけで。
何回目か。
もう。
数えていない。
その頃。
リビング。
紬。
テレビに夢中。
『ピポとゼリーの惑星』
いよいよ。
クライマックス。
ポップコーン。
ぱくっ。
ジュース。
ごくっ。
サングラス。
そのまま。
完全に。
くつろいでいる。
(へいわ。)
(しあわせ。)
本人は。
そんなことを。
思っていた。
もちろん。
自分が。
明日。
実験される側だとは。
夢にも思わずに。
明音。
マニュアルを閉じる。
ぱたん。
「よーち!」
「今日はここまで!」
「お疲れさまでした!」
中瀬。
小さく。
うなずく。
「お疲れさまでした。」
そして。
二人は。
まだ知らなかった。
明日。
その"実験"が。
予想以上に。
大騒ぎになることを。
読んでいただき、本当にありがとうございます~!!♡♡
もしこの作品で少しでも笑顔になっていただけたら、★で応援していただけると、とっても嬉しいです!
皆さんからいただく評価は、
「もっともっと面白い作品を作りたい!」
と思える大切な励みになっています
(´▽`)
Pixivではキャラクターデザインやイラストも投稿しています!
最近、この作品の日常を描いた四コマ漫画をPixivに投稿しました!ぜひぜひ遊びに来てください~!!♡
Pixiv:
https://www.pixiv.net/en/users/121622272
また次回もよろしくお願いします~!!♡♡




