↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
28/46

第28話 社長は今日もご機嫌。

【緊急速報】「二番目でよかった」――中瀬、突然の意味深発言!?

― つむぎちゃんの極秘マニュアル作成中、望月秋音の感情だけが最後に大渋滞!! ―

 


「すごいね!」


 


「秋音ちゃん!」


 


「本当にありがとう!」


 


栞。


 


とても。


 


感謝していた。


 


本当に。


 


とても。


 


秋音が淹れた。


 


お茶に。


 


ちなみに。


 


そのお茶は。


 


決して。


 


完璧ではなかった。


 


「あ、あはは……!」


 


「そんな!」


 


「大したことじゃ……!」


 


秋音。


 


照れる。


 


栞。


 


立ち上がる。


 


帰る準備。


 


「あれ?」


 


「しおりちゃん!」


 


「もう帰るの?」


 


「うん!」


 


「今日はありがとう。」


 


「お邪魔しました。」


 


栞。


 


みんなへ。


 


ぺこり。


 


丁寧に。


 


お辞儀。


 


つむぎも。


 


よちよち。


 


玄関まで。


 


歩いていく。


 


両手を広げて。


 


「やー!」


 


栞。


 


ふふっと笑う。


 


そのまま。


 


つむぎを抱っこ。


 


ぎゅっ。


 


「またね。」


 


「つむぎちゃん。」


 


その頃。


 


秋音。


 


ふと。


 


思い出す。


 


「あっ!」


 


「そういえば!」


 


「しおりちゃん!」


 


「今日来た理由って!」


 


「スーパーのことだけ!?」


 


中瀬。


 


心の中。


 


(……。)


 


(いや。)


 


(来なかったら。)


 


(たぶん。)


 


(死んでた。)


 


栞。


 


少し考える。


 


「うーん。」


 


「そう言われると。」


 


「それだけかも!」


 


にこっ。


 


笑う。


 


「秋音ちゃんが。」


 


「元気かどうか。」


 


「見たかったの。」


 


それから。


 


部屋を見回す。


 


秋音を見る。


 


中瀬を見る。


 


つむぎを見る。


 


安心したように。


 


笑った。


 


「うん!」


 


「元気そう!」


 


「よかった!」


 


「またね!」


 


「秋音ちゃん!」


 


「う、うん!」


 


「またね!!」


 


ぱたん。


 


ドアが閉まる。




 


玄関。


 


静かになる。


 


中瀬。


 


ぽつり。


 


「……。」


 


「家まで。」


 


「送った方が。」


 


「よくなかったですか。」


 


秋音。


 


首を振る。


 


「大丈夫!」


 


「しおりちゃん。」


 


「見た目より。」


 


「ずっと。」


 


「たくましいから!」


 


中瀬。


 


「……。」


 


(強いのか。)


 


そう。


 


思った。


 


その頃。


 


つむぎ。


 


ソファ。


 


体育座り。


 


目。


 


きらきら。


 


頭の中。


 


勝手に。


 


想像。


 


 


――夜道。


 


悪者。


 


現れる。


 


栞。


 


静かに。


 


立ち止まる。


 


風。


 


ふわっ。


 


髪が揺れる。


 


次の瞬間。


 


一瞬で。


 


全員。


 


倒れる。


 


完璧。


 


かっこいい。


 


まるで。


 


映画。


 


「やー!」


 


大興奮。


 


……。


 


実際。


 


画面の中では。


 


『ピポとゼラチン星』。


 


忍者の女の子が。


 


悪者を。


 


倒していた。


 


全部。


 


テレビだった。


 


中瀬。


 


立ち上がる。


 


「さて。」


 


「続きを……」


 


机を見る。


 


固まる。


 


「……。」


 


「え?」


 


ノート。


 


開いたまま。


 


そこには。


 


秋音が。


 


さっき。


 


考えながら。


 


書き込んだ。


 


メモ。


 


中瀬。


 


ゆっくり。


 


ノートを持つ。


 


秋音を見る。


 


「望月さん。」


 


「ページの使い方には。」


 


「あれだけ。」


 


「こだわるのに。」


 


秋音。


 


胸を張る。


 


「うん!」


 


中瀬。


 


ノートを。


 


見せる。


 


「この字は。」


 


「どうなんですか。」


 


静寂。


 


秋音。


 


「…………」


 


「きれい。」


 


真顔。


 


言い切った。


 


中瀬。


 


即答。


 


「違います。」


 


「僕の。」


 


「一番字が下手な生徒でも。」


 


「ここまでじゃ。」


 


「ありませんでした。」


 


秋音。


 


停止。


 


心。


 


深く。


 


傷付く。


 


「ひどい!!」


 


「私への!」


 


「人格否定だよ!!」


 


「だから。」


 


「先生じゃなくて。」


 


「よかったです。」


 


秋音。


 


「!!」


 


頭の中。


 


突然。


 


ありえない。


 


想像。


 


 


(せ、先生……!?)


 


(だ、だめ!!)


 


(先生なんて!!)


 


(絶対好きになっちゃうじゃん!!)


 


真っ赤。


 


限界。


 


「中瀬ぇぇぇぇぇ!!!」


 


ぱぁん!!


 


平手打ち。


 


中瀬。


 


横へ。


 


ぐらっ。


 


「……。」


 


「またですか。」


 


ぽつり。


 


つぶやいた。


 


「じゃあ。」


 


「続きを書きましょう。」


 


秋音。


 


腕を組む。


 


さっき。


 


叩いたことを。


 


少しだけ。


 


後悔。


 


でも。


 


少しだけ。


 


後悔してない。


 


「はい……。」


 


中瀬。


 


頬をさする。


 


ちょうど。


 


平手打ちが。


 


命中した場所。


 


秋音。


 


その様子を見て。


 


ほんの少し。


 


心配になる。


 


「……。」


 


「中瀬くん。」


 


「大丈夫……?」


 


少しだけ。


 


身を乗り出す。


 


頬を。


 


見ようとする。


 


その時。


 


中瀬。


 


くるっ。


 


振り向く。


 


近い。


 


近すぎる。


 


「冗談です。」


 


秋音。


 


停止。


 


その顔。


 


その距離。


 


全然。


 


どきどき。


 


しなかった。


 


むしろ。


 


腹が立った。


 


「……。」


 


「えい。」


 


ごんっ!!


 


下から。


 


あごへ。


 


きれいな。


 


アッパー。


 


中瀬。


 


もう一度。


 


飛んだ。


 


リビング。


 


今日も。


 


平和だった。


 


……たぶん。


 


その頃。


 


つむぎ。


 


ソファ。


 


さっきまでとは。


 


まったく違う。


 


姿勢。


 


どっしり。


 


偉そうに。


 


座っていた。


 


いつの間にか。


 


サングラス。


 


装備。


 


さらに。


 


ポップコーンまで。


 


食べている。


 


もちろん。


 


誰も。


 


用意していない。


 


どこから。


 


出てきたのか。


 


誰も。


 


知らない。


 


つむぎ。


 


二人を見る。


 


正確には。


 


大声ばかり出している。


 


秋音だけを。


 


見ていた。


 


その目は。


 


完全に。


 


組長だった。


 


(……。)


 


(困りましたね。)


 


(番組に。)


 


(集中できません。)


 


(教育が。)


 


(必要でしょうか。)


 


完全に。


 


裏社会の。


 


ボス。


 


だった。


 


でも。


 


その威厳は。


 


五秒も。


 


続かない。


 


かじっ。


 


また。


 


中瀬の高いペンを。


 


かじり始めた。


 


社長。


 


退勤。


 


「よし!」


 


「今度は!」


 


「私が書く!」


 


秋音。


 


ノートを。


 


取り返す。


 


中瀬。


 


床から。


 


ゆっくり。


 


起き上がる。


 


「……痛い。」


 


ぼそっ。


 


秋音。


 


すぐ。


 


反応。


 


「だから!」


 


「痛いって言ってるの!」


 


「もう!」


 


「二度と!」


 


「心配なんか――」


 


「はいはい。」


 


いつの間にか。


 


中瀬。


 


秋音の後ろ。


 


椅子へ。


 


手を添える。


 


秋音。


 


気配で。


 


気付く。


 


(……。)


 


(近い。)


 


(また。)


 


(近い。)


 


熊。


 


そんな言葉が。


 


頭をよぎる。


 


(く、熊さんみたい……。)


 


中瀬。


 


静かだった。


 


さっきの。


 


言葉。


 


『もう心配しない。』


 


何度も。


 


聞いてきた。


 


でも。


 


本当に。


 


一番。


 


傷付いているのは。


 


そんな言葉を。


 


無理に口にしている。


 


秋音自身だと。


 


もう。


 


分かっていた。


 


だから。


 


何も。


 


言わない。


 


否定もしない。


 


ただ。


 


いつも通り。


 


隣にいるだけ。


 


「さて。」


 


「次は。」


 


「何を書きますか。」


 


秋音。


 


耳まで。


 


真っ赤。


 


(ち、近い近い近い!!)


 


(落ち着いて!!)


 


「え、えっと!」


 


「つ、次!」


 


「何書こうか!」


 


「年齢……。」


 


中瀬。


 


ノートを見る。


 


「最初に会った時。」


 


「つむぎちゃんは。」


 


「二歳でしたよね。」


 


秋音。


 


「う、うん!」


 


「でも!」


 


「毎週。」


 


「二歳ずつ。」


 


「成長してるわけじゃないし……。」


 


「待ってください。」


 


中瀬。


 


姿勢を正す。


 


何か。


 


気付いた。


 


「つむぎちゃんは。」


 


「生まれて。」


 


「まだ二週間です。」


 


「体だけ。」


 


「五歳になっても。」


 


「経験まで。」


 


「五歳になるわけじゃない。」


 


秋音。


 


はっとする。


 


「そうだ!」


 


「五歳なのは!」


 


「理解する力だけ!」


 


「経験は!」


 


「まだ二週間!」


 


「そうですね。」


 


中瀬。


 


うなずく。


 


「つまり。」


 


「能力を使い続けたら……」


 


秋音。


 


同時に。


 


続ける。


 


「今月中に!」


 


「もっと成長しちゃう!?」


 


静寂。


 


二人。


 


同じ。


 


考え。


 


そのまま。


 


続いて。


 


秋音。


 


固まる。


 


「……。」


 


「え?」


 


「ということは。」


 


「私も。」


 


「早く年取るの!?」


 


中瀬。


 


「……。」


 


(戻った。)


 


(普通だったのは。)


 


(ここまでか。)


 


秋音。


 


大混乱。


 


「やだぁぁぁ!!」


 


「もし!」


 


「ずっと一緒にいたら!」


 


「私まで!」


 


「早く!」


 


「おばあちゃんに!!」


 


「なりたくなーーい!!」


 


家中。


 


走り回る。


 


中瀬。


 


冷静。


 


「三十五歳くらいまでは。」


 


「十分若いですよ。」


 


秋音。


 


ぴたり。


 


止まる。


 


振り向く。


 


「若くないもん!!」


 


「中瀬くんだって!!」


 


「十分おじさんじゃん!!」


 


「この!」


 


「おじさん!!」


 


「バカ!!」


 


中瀬。


 


自分の顔。


 


そっと。


 


触る。


 


確認。


 


(……。)


 


(そんなに。)


 


(老けてますか。)


 


答え。


 


老けていない。


 


むしろ。


 


年齢より。


 


若く見える。


 


でも。


 


秋音は。


 


今。


 


勢いだけで。


 


生きていた。


 


七分後――


 


事件。


 


解決。


 


つむぎ。


 


テレビの前。


 


大騒ぎする秋音へ。


 


ていっ。


 


乾いた。


 


きれいな。


 


前蹴り。


 


命中。


 


秋音。


 


沈黙。


 


中瀬。


 


その一部始終を。


 


見届ける。


 


静かに。


 


つむぎへ。


 


ぺこり。


 


頭を下げた。


 


「助かりました。」


 


つむぎ。


 


満足。


 


中瀬。


 


秋音を。


 


ひょい。


 


椅子へ戻す。


 


何事も。


 


なかったように。


 


席へ着く。


 


「では。」


 


「続きを。」


 


何も。


 


起きていない。


 


そんな顔だった。



 


「そういえば。」


 


秋音。


 


ふと。


 


大臣が。


 


言っていたことを。


 


思い出す。


 


「ねぇ。」


 


「もしかして。」


 


「あの大臣って。」


 


「私たちより。」


 


「もっと。」


 


「知ってること。」


 


「あるのかな。」


 


中瀬。


 


考える。


 


でも。


 


答えは。


 


もう決まっていた。


 


「あるでしょうね。」


 


「それは。」


 


「前から。」


 


「思っていました。」


 


秋音。


 


首をかしげる。


 


「どうして?」


 


中瀬。


 


ノートへ。


 


目を落としたまま。


 


静かに。


 


話し始める。


 


「説明が。」


 


「うますぎました。」


 


「え?」


 


「それって。」


 


「いいことじゃないの?」


 


「いいえ。」


 


中瀬。


 


首を振る。


 


「学校でも。」


 


「よくあります。」


 


「何か問題を起こした生徒ほど。」


 


「事前に。」


 


「説明を。」


 


「きちんと準備してくる。」


 


「質問されそうなことも。」


 


「先回りして。」


 


「全部。」


 


「話してしまうんです。」


 


秋音。


 


ぱち。


 


ぱち。


 


何度も。


 


瞬きをする。


 


(すごい……。)


 


(中瀬くんって……。)


 


中瀬。


 


続ける。


 


「大臣の話は。」


 


「間違ってはいません。」


 


「でも。」


 


「目的は。」


 


「それだけじゃない。」


 


「一か月という期間にも。」


 


「理由があるはずです。」


 


「彼らは。」


 


「僕たちが。」


 


「何か答えを見つけることを。」


 


「期待している。」


 


「もしかすると。」


 


「自分たちでも。」


 


「分からないことが。」


 


「あるのかもしれません。」


 


静かだった。


 


秋音は。


 


話の内容よりも。


 


別のことを。


 


考えていた。


 


(すごい……。)


 


(中瀬くん。)


 


(本当に。)


 


(すごい……。)


 


中瀬。


 


視線を感じる。


 


顔を上げる。


 


「……。」


 


「望月さん?」


 


秋音。


 


びくっ。


 


「あっ!!」


 


「ご、ごめん!!」


 


「あはは……。」


 


「ちゃんと!」


 


「聞いてたよ!!」


 


「……。」


 


「それで?」


 


中瀬。


 


小さく。


 


息を吐く。


 


「今は。」


 


「このマニュアルを。」


 


「続けましょう。」


 


ノートを。


 


閉じない。


 


まだ。


 


書くことは。


 


たくさんある。


 


そして。


 


リビングを見る。


 


つむぎ。


 


また。


 


いつの間にか。


 


サングラス。


 


社長。


 


復活。


 


腕組み。


 


偉そう。


 


「……。」


 


中瀬。


 


少しだけ。


 


笑う。


 


「この子が。」


 


「どう育つのか。」


 


「ちゃんと。」


 


「見届けましょう。」


 


「どんな能力があっても。」


 


「政府にも。」


 


「理解できなくても。」


 


「この子の成長だけは。」


 


「止めさせません。」


 


秋音。


 


その横顔を。


 


見つめる。


 


胸の奥が。


 


少しだけ。


 


あたたかくなる。


 


(中瀬くん……。)


 


その時。


 


中瀬。


 


ふと。


 


秋音を見る。


 


「望月さん。」


 


「はい?」


 


「やっぱり。」


 


「二番目の方が。」


 


「よかったですね。」


 


秋音。


 


停止。


 


頭の中。


 


真っ白。


 


一秒。


 


二秒。


 


三秒。


 


感情だけが。


 


大渋滞。


 


何一つ。


 


言葉にならない。


 


中瀬は。


 


もう。


 


ノートへ。


 


視線を戻していた。


 


まるで。


 


何でもない。


 


一言だったように。


 


リビングでは。


 


つむぎ。


 


中瀬の。


 


高いペンを。


 


今日も。


 


幸せそうに。


 


かじっていた。


 


『ピポとゼラチン星』も。


 


ちょうど。


 


一話。


 


終わったところだった。







読んでいただき、本当にありがとうございます~!!♡♡


もしこの作品で少しでも笑顔になっていただけたら、★で応援していただけると、とっても嬉しいです!


皆さんからいただく評価は、

「もっともっと面白い作品を作りたい!」

と思える大切な励みになっています


(´▽`)


Pixivではキャラクターデザインやイラストも投稿しています!



最近、この作品の日常を描いた四コマ漫画をPixivに投稿しました!ぜひぜひ遊びに来てください~!!♡


Pixiv:

https://www.pixiv.net/en/users/121622272


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。