第27話 たぶん大丈夫です。
【緊急速報】誘拐・事故・トラック脱出!?それでも一番大事なのはパン!!
― 天宮栞、命がけの大移動の末に秋音の家へたどり着く!? ―
「し……」
「しおりちゃん!?」
秋音。
ドアが。
勢いよく開いた音より。
大きな声だった。
玄関。
立っていたのは。
天宮栞。
「えっ?」
「ごめんね。」
「お邪魔だった?」
普通だった。
あまりにも。
普通。
たった今。
ドア一枚で。
三人くらい。
心臓を止めかけた人とは。
思えない。
「い、いや……。」
「どうして……?」
「え?」
「ドア。」
「開いてたから。」
秋音。
停止。
ゆっくり。
中瀬を見る。
「…………」
「鍵。」
「閉めてなかったの!?」
完全に。
中瀬へ。
八つ当たり。
ちなみに。
家の持ち主は。
中瀬だった。
「いや。」
「それは置いといて!」
秋音。
栞を見る。
疑いの目。
「なんで!」
「私がここにいるって!」
「分かったの!?」
「あっ。」
「それはね。」
栞。
にこっ。
笑う。
「さっき。」
「変な人たちに。」
「追いかけられてたの。」
静寂。
「帰り道だったんだけど。」
「後ろを見てたら。」
「前を見てなくて。」
「車にはねられちゃって。」
静寂。
さらに。
静寂。
「でも!」
「すごく恥ずかしくて!」
「謝ろうと思ったら。」
「その人たちに。」
「車へ乗せられちゃったの。」
静寂。
「実は。」
「トラックだったんだけど。」
「その時ね。」
「秋音ちゃんを思い出したの!」
静寂。
「パンを食べながら。」
「スマホを見てたら。」
「ニュース速報が出てて。」
「スーパーが。」
「ふくらんだって。」
「秋音ちゃんかなって。」
中瀬。
秋音。
誰も。
止めない。
もう。
どこから。
聞けばいいのか。
分からなかった。
「それでね。」
「トラックで。」
「ずーっと。」
「運ばれてたんだけど。」
「途中で。」
「パンを食べ終わって。」
「暇になったから。」
「ニュースを見てたの。」
「そしたら。」
「スーパーが。」
「ふくらんだって。」
「ニュース速報。」
「秋音ちゃんだ!」
「って思って。」
静寂。
「なんだか。」
「怪しいなぁ。」
って思ったの。
少しだけ。
間。
そして。
栞。
真顔。
「二日間。」
「二回続けて。」
「秋音ちゃんのこと。」
「思い出さなかったの。」
「初めてだったから。」
「きっと。」
「会いに行けって。」
「ことなんだなって。」
沈黙。
中瀬。
秋音。
完全停止。
「だから。」
「走ってる途中で。」
「飛び降りたの。」
「パンが。」
「落ちなくて。」
「よかったぁ。」
にこっ。
笑う。
「…………」
誰も。
誘拐から。
パンへ。
話題が変わるとは。
思っていなかった。
「それから。」
「電車に乗って。」
「ここまで来たら。」
「秋音ちゃんの。」
「軽トラックが。」
「あったから。」
秋音。
ようやく。
口を開く。
「……。」
「それで。」
「私が。」
「この家にいるって。」
「思ったの?」
「ううん。」
栞。
首を振る。
「一軒ずつ。」
「回ろうと思ってた。」
「一軒目で。」
「見つかって。」
「よかったぁ。」
えへへ。
笑う。
静寂。
中瀬。
ゆっくり。
秋音を見る。
「……。」
「そこなんですか?」
秋音。
「え?」
「今。」
「聞くところ。」
「そこなんですか?」
「誘拐されて。」
「車にはねられて。」
「トラックから飛び降りて。」
「ここまで来たんですよ?」
「一番最初に。」
「確認することが。」
「それですか?」
長かった。
中瀬が。
秋音へ話した。
一番長い。
文章だった。
秋音。
固まる。
(怒られた。)
そう。
思った。
「ご、ごめんなさい!!」
半泣き。
勢いよく。
頭を下げる。
中瀬。
「え。」
「いや。」
「違っ……」
もう。
遅かった。
秋音。
栞へ。
全力疾走。
「しおりちゃぁぁぁぁん!!」
「大丈夫!?」
「ケガしてない!?」
「痛いところある!?」
栞。
きょとん。
「えっ?」
「あ。」
「秋音ちゃん。」
「ごめんね。」
「来るって。」
「連絡しなくて。」
「そんなの!!」
「どうでもいいからぁぁ!!」
中瀬。
その場で。
立ち尽くす。
(……。)
(望月は。)
(親友が。)
(誘拐されて。)
(はねられたことより。)
(質問の順番を。)
(気にしていたのか。)
そして。
栞を見る。
(……。)
(この人も。)
(どうして。)
(男の家に。)
(望月がいるのか。)
(気にしないんだ。)
深く。
息を吐く。
(今どきの高校生は。)
(本当に。)
(分からない。)
その頃。
リビング。
つむぎ。
さっき。
落とした。
中瀬の高いペン。
無事。
回収。
もう一度。
かじかじ。
テレビ。
じーっ。
今日も。
誘拐も。
交通事故も。
何一つ。
経験していない。
とても。
平和だった。
「それでね。」
「秋音ちゃん。」
「ここで。」
「何してるの?」
ようやく。
まともな。
質問だった。
秋音の足元。
ちょこん。
つむぎ。
「やー!」
栞。
びくっ。
秋音を見る。
赤ちゃんを見る。
知らない男を見る。
もう一回。
赤ちゃんを見る。
静寂。
秋音。
慌てる。
「ち、違うの!」
「しおりちゃん!」
「今!」
「変なこと考えたでしょ!?」
栞。
優しく。
微笑む。
「赤ちゃんのお世話?」
「秋音ちゃん。」
「あんまり。」
「赤ちゃん。」
「得意じゃなかったのに。」
「よかったね。」
「できるようになったんだ。」
にこっ。
そのまま。
知らない男へ。
ぺこり。
丁寧に。
頭を下げる。
中瀬も。
反射的に。
ぺこり。
頭を下げ返す。
訂正。
しない。
「違うのーー!!」
秋音。
栞の肩を。
がしっ。
掴む。
「前に!」
「話したでしょ!?」
「つむぎちゃん!!」
栞。
少し考える。
「……。」
「つむぎ?」
「あっ!」
「あの超常現象の女の子!」
「そう!!」
「名前。」
「つけたの!」
栞。
ぱあっと。
笑う。
「つむぎちゃん。」
「かわいい名前。」
「すごく。」
「似合ってるね。」
秋音。
嬉しそう。
「でしょーー!?」
「でも。」
栞。
首をかしげる。
「その子。」
「どこにいるの?」
秋音。
固まる。
「えっと……。」
「その……。」
「この人が。」
「一緒に。」
「面倒を見てくれてる。」
「中瀬くん。」
少しだけ。
照れながら。
紹介する。
栞。
「あっ!」
「そうだったんですね!」
「失礼しました。」
「勘違いしちゃって。」
もう一度。
ぺこり。
頭を下げる。
中瀬。
その光景を。
見つめる。
(……。)
(この二人。)
(どうやって。)
(会話が成立してるんだ。)
それ以上に。
驚いたこと。
望月が。
こんな大事な秘密を。
栞へ。
話していたこと。
こんなにも。
優しく。
礼儀正しい人が。
機密事項だと。
まったく。
思っていない。
そんな様子だった。
中瀬。
立ち上がる。
「初めまして。」
「中瀬駿介です。」
ぺこり。
頭を下げる。
栞も。
笑顔で。
お辞儀を返した。
「天宮栞です。」
「よろしくお願いします。」
中瀬。
玄関を見る。
さっきの話を。
思い出す。
「……。」
「とりあえず。」
「中へどうぞ。」
「外より。」
「安全ですから。」
「あっ。」
「そうですね。」
二人。
家へ入る。
中瀬。
今度は。
ちゃんと。
鍵を閉めた。
「それでね。」
「秋音ちゃん。」
「どうして。」
「呼んでくれたの?」
秋音。
「あっ!!」
「そうだった!!」
完全に。
忘れていた。
「つむぎちゃんが!」
「赤ちゃんになったの!!」
ひょいっ。
秋音。
つむぎを抱き上げる。
まるで。
宝物。
「この子が!」
「つむぎちゃん!!」
栞。
じーっ。
赤ちゃんを見る。
少しして。
ふわっと。
笑った。
「つむぎちゃん。」
「かわいい赤ちゃんになったね。」
つむぎ。
にこっ。
嬉しそう。
それから。
中瀬を見る。
何か。
言いたそう。
無言。
でも。
十分伝わる。
秋音。
「あ。」
「抱っこしてほしいんだね。」
そのまま。
中瀬へ。
つむぎを渡す。
中瀬。
慣れた手つき。
抱き上げる。
つむぎ。
満足。
ぺたっ。
中瀬へ。
くっつく。
秋音。
そのまま。
キッチンへ。
「お茶いれるね!」
栞。
ソファへ座る。
「ありがとう。」
少しして。
思い出したように。
「あっ!」
「そうだった!」
スマホを取り出す。
ニュース画面。
秋音へ見せる。
「これ!」
「見て!」
画面には。
スーパー。
巨大な。
風船みたいに。
膨らんでいた。
秋音。
「あっ……。」
栞。
嬉しそう。
「ちょうどね。」
「お父さんが。」
「子どもの写真を。」
「撮ってたみたいで。」
「その瞬間だったの。」
「運がよかったね。」
後ろから。
ぼそっ。
「本当に。」
「運がよかったですね。」
中瀬だった。
秋音。
ぴくっ。
お茶。
少しだけ。
カップから。
こぼれる。
「中瀬くん!!」
「からかわないで!!」
「ごめんなさい。」
全然。
反省してない声だった。
栞。
まだ。
ニュースを見る。
「見た瞬間ね。」
「つむぎちゃんかな。」
って思ったの。」
「最近。」
「超常現象。」
増えてるよね。」
「もしかしたら。」
「他にも。」
「能力を持ってる人。」
「いるのかも。」
秋音。
「……。」
栞。
にこっ。
「秋音ちゃんも。」
「実は。」
「超能力者だったりして。」
秋音。
停止。
その発想は。
なかった。
中瀬。
小さく。
ため息。
つむぎを。
あやしながら。
ぽつり。
「望月さんに。」
「変なこと。」
吹き込まないでください。」
栞。
「え?」
秋音。
ぱあっ。
目が輝く。
「そっか!!」
「だから!!」
「私が選ばれたんだ!!」
中瀬。
即答。
「事故です。」
秋音。
ぎろっ。
睨む。
「事故じゃないもん。」
「最初は。」
「別の人に。」
「届く予定だったって。」
「言われてましたよね。」
「それは……。」
秋音。
一秒。
考える。
そして。
胸を張る。
「一番目が。」
「ダメだったから!」
「二番目の私が!」
「選ばれたの!!」
その理論。
今。
生まれた。
でも。
栞。
感動していた。
「……!」
「すごい。」
「運命みたい。」
秋音。
満足。
中瀬。
笑わなかった。
読んでいただき、本当にありがとうございます~!!♡♡
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(´▽`)
Pixivではキャラクターデザインやイラストも投稿しています!
最近、この作品の日常を描いた四コマ漫画をPixivに投稿しました!ぜひぜひ遊びに来てください~!!♡
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また次回もよろしくお願いします~!!♡♡




