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第22話 みっつのおだんご

【速報】赤ちゃんつむぎ、お世話難易度MAX!?


― 望月茜、“かわいくするだけ”のはずが赤ちゃんと全面対決!! ―


赤ちゃんになってしまったつむぎ。


お風呂も完了。

手作りの服も完成。

あとはかわいくしてあげるだけ――


のはずが。


服を着てくれない。

髪も結ばせてくれない。

そしてなぜか――


走る!登る!飛ぶ!逃げる!!


追いかける茜、先に体力限界。


一方、中瀬はコーヒー片手に超冷静。

しかも、まさかの方法でつむぎをあっさり確保!?


果たして茜は、

無事に赤ちゃんのお世話を終えられるのか――!?


望月VS赤ちゃん、予想外の大苦戦!!


タオル。


 


準備完了。


 


中瀬の机。


 


正式に。


 


超・繊細な。


 


手術室へ。


 


変わっていた。


 


望月。


 


気合い。


 


入りすぎ。


 


エプロン。


 


鼻には。


 


洗濯ばさみ。


 


髪。


 


ひとつ結び。


 


ゴム手袋。


 


完璧。


 


本人の中では。


 


つむぎ。


 


赤ちゃん。


 


タオルの上。


 


ころん。


 


天井。


 


じーっ。


 


何が起きるか。


 


知らない。


 


でも。


 


全然。


 


気にしていない。


 


「ベビーパウダー!」


 


望月。


 


振り向かない。


 


手だけ。


 


すっ。


 


まるで。


 


メスを要求する。


 


外科医だった。


 


中瀬。


 


部屋の外。


 


目。


 


閉じたまま。


 


「ありません」


 


「……」


 


「あなたの方が」


 


「持ってそうですけど」


 


「その足なら」


 


「!!」


 


望月。


 


ゆっくり。


 


振り向く。


 


「……」


 


「どういう意味?」


 


中瀬。


 


「あ」


 


思い出す。


 


ポケット。


 


ごそごそ。


 


小さなチューブ。


 


一本。


 


取り出す。


 


「これ」


 


望月。


 


受け取る。


 


じーっ。


 


中瀬を見る。


 


上から。


 


下まで。


 


じーーっ。


 


中瀬。


 


「?」


 


何も。


 


していない。


 


望月。


 


ラベルを見る。


 


「……」


 


「賞味期限」


 


「切れてる」


 


中瀬。


 


少しだけ。


 


考える。


 


「少なくとも」


 


「お尻は」


 


「さらさらになりますよ」


 


「ならない!」


 


「紫色になる!」


 


「アレルギーも!」


 


「じゃあ」


 


「使わないでください」


 


「でも必要なの!」


 


「使ったら」


 


「体に悪いです」


 


「でも」


 


「おむつかぶれが――」


 


望月。


 


途中で。


 


止まる。


 


「……」


 


「よし!」


 


場面。


 


変わる。


場面。


 


変わる。


 


望月。


 


掃除用のバケツ。


 


抱えていた。


 


その中。


 


つむぎ。


 


ちゃぷちゃぷ。


 


お風呂中。


 


望月。


 


手際。


 


意外といい。


 


「ふふん♪」


 


鼻歌。


 


歌いながら。


 


赤ちゃん。


 


きれいに。


 


洗っていく。


 


つむぎ。


 


水。


 


ぱしゃぱしゃ。


 


楽しい。


 


ものすごく。


 


足。


 


ばたばた。


 


小さく。


 


笑う。


 


「えらいねぇ」


 


望月。


 


優しく。


 


頭。


 


なでる。


 


「今日は」


 


「ごほうびだからね」


 


少しだけ。


 


笑う。


 


「……うん」


 


「さっきは」


 


「さすがに」


 


「大変だったもんね」


 


つむぎ。


 


意味は。


 


分からない。


 


でも。


 


笑顔。


 


きゃっ♪


 


小さく。


 


笑った。


 


望月。


 


心臓。


 


どきっ。


 


『かわいい……』


 


危なかった。


 


抱きしめそうだった。


 


数分後。


 


望月。


 


部屋へ。


 


戻る。


 


つむぎ。


 


ふわふわのタオル。


 


くるまれていた。


 


望月。


 


胸を張る。


 


「よぉぉぉし!」


 


「赤ちゃん!」


 


「聞こえてるか」


 


「分からないけど!」


 


つむぎ。


 


じーっ。


 


ちゃんと。


 


見ていた。


 


「今日は!」


 


「赤ちゃんが」


 


「一番かわいくなる日だよぉぉぉ!!」


 


つむぎ。


 


少しだけ。


 


嫌な予感がした。


つむぎ。


 


まだ。


 


知らない。


 


これから。


 


何が起こるのか。


 


望月。


 


押し入れ。


 


ごそごそ。


 


探す。


 


「……」


 


「ない」


 


「やっぱり」


 


「ない」


 


赤ちゃんサイズ。


 


服。


 


一着も。


 


なかった。


 


望月。


 


腕。


 


組む。


 


考える。


 


三秒。


 


「……」


 


「よし!」


 


何か。


 


ひらめく。


 


つむぎ。


 


びくっ。


 


その「よし」。


 


なんとなく。


 


嫌だった。


 


望月。


 


古い服。


 


一枚。


 


取り出す。


 


小さな頃の。


 


つむぎが。


 


着ていた。


 


お気に入り。


 


だった。


 


ワンピース。


 


はさみ。


 


しゃきっ。


 


布。


 


ちょき。


 


ちょき。


 


ちょき。


 


リボン。


 


ぬいぬい。


 


糸。


 


きゅっ。


 


五分後。


 


望月。


 


両手。


 


高く上げる。


 


「じゃじゃーーーん!!」


 


小さな着物。


 


完成。


 


手作り。


 


百パーセント。


 


つむぎ。


 


じーーっ。


 


新しい服を見る。


 


少しだけ。


 


首。


 


かしげる。


 


そして。


 


にこっ。


 


笑った。


 


望月。


 


「かわいいでしょーー!」


 


ものすごく。


 


得意そう。


 


その時。


 


望月。


 


ふと。


 


気付く。


 


「……あれ?」


 


つむぎの髪。


 


茶色。


 


昨日と。


 


同じ。


 


望月。


 


少しだけ。


 


考える。


 


『機嫌は』


 


『良さそうなのに……』


 


『なんで』


 


『髪の色』


 


『変わらないんだろう?』


 


手。


 


止まる。


 


「……」


 


「中瀬ぇぇぇぇぇ!!」


中瀬。


 


ベランダ。


 


一人。


 


コーヒー。


 


苦い。


 


いつもの味。


 


新聞。


 


ぱらっ。


 


タバコ。


 


すぅ。


 


静かだった。


 


車。


 


何台か。


 


通り過ぎる。


 


風。


 


少しだけ。


 


吹く。


 


「……」


 


『平和だ』


 


中瀬。


 


そう思った。


 


その瞬間。


 


「なかせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」


 


びくっ。


 


タバコ。


 


危うく。


 


落としかける。


 


『何だ』


 


『今度は』


 


頭の中。


 


一瞬で。


 


いくつもの可能性。


 


浮かぶ。


 


『つむぎが』


 


『転んだ?』


 


『落ちた?』


 


『ケガした?』


 


『溺れた?』


 


『何か食べた?』


 


『……まさか』


 


『死んだ?』


 


立ち上がる。


 


ものすごく。


 


速い。


 


新聞。


 


そのまま。


 


放置。


 


コーヒー。


 


放置。


 


ベランダ。


 


飛び出す。


 


廊下。


 


小走り。


 


書斎の前。


 


到着。


 


髪。


 


少し。


 


ぼさぼさ。


 


タバコ。


 


口で。


 


少し。


 


曲がっていた。


 


目。


 


珍しく。


 


少しだけ。


 


見開いている。


 


完全に。


 


最悪の報告を。


 


覚悟していた。


 


望月。


 


その顔を見て。


 


固まる。


 


「……」


 


『かっこいい』


 


『……じゃない!!』


 


『今じゃない!!』


 


頭。


 


ぶんぶん。


 


振る。


 


強制終了。


 


「中瀬!」


 


「はい」


 


「見て!!」


 


指。


 


つむぎへ。


 


ちょこん。


 


座っていた。


 


布巾を。


 


おむつ代わりに。


 


巻いただけの。


 


赤ちゃん。


 


ものすごく。


 


元気だった。


 


中瀬。


 


少しだけ。


 


肩の力。


 


抜ける。


 


「……」


 


「元気そうですね」


 


少しだけ。


 


安心したような。


 


少しだけ。


 


拍子抜けしたような。


 


そんな声だった。


「違う!」


 


望月。


 


ぶんぶん。


 


首を振る。


 


「もう一回!」


 


「よーく見て!」


 


中瀬。


 


もう一度。


 


つむぎを見る。


 


五秒。


 


じーっ。


 


「……」


 


「分かりません」


 


望月。


 


深呼吸。


 


一回。


 


二回。


 


三回。


 


我慢。


 


ものすごく。


 


我慢。


 


そして。


 


つむぎの前。


 


しゃがむ。


 


にこっ。


 


「つむぎちゃーん」


 


赤ちゃん。


 


望月を見る。


 


にこっ。


 


笑う。


 


望月。


 


頭。


 


なでなで。


 


ほっぺ。


 


つんつん。


 


つむぎ。


 


嬉しそう。


 


きゃっ♪


 


小さく。


 


笑った。


 


望月。


 


くるっ。


 


振り返る。


 


「ほら!」


 


「見た!?」


 


中瀬。


 


「……」


 


「見ました」


 


「でしょ!?」


 


「はい」


 


「髪です」


 


望月。


 


「そう!!」


 


「髪!!」


 


「色!!」


 


中瀬。


 


つむぎを見る。


 


髪。


 


茶色。


 


昨日と。


 


同じ。


 


「……」


 


少しだけ。


 


考える。


 


ぽつり。


 


「なるほど」


 


望月。


 


目。


 


きらっ。


 


『さすが!!』


 


『中瀬くん!!』


 


『気付いた!!』


 


次の瞬間。


 


中瀬。


 


真顔。


 


「望月さんでは」


 


「赤ちゃんを」


 


「喜ばせられないみたいですね」


 


沈黙。


 


二秒。


 


望月。


 


「…………」


 


顔。


 


ぴくっ。


 


ぴくぴくっ。


 


「な」


 


「中瀬ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


 


ぶぉんっ!!


 


完成したばかりの。


 


小さな着物。


 


一直線。


 


中瀬。


 


命中。


 


「……」


 


そのまま。


 


隣の部屋まで。


 


押し戻された。


 


「ばかぁぁぁぁぁ!!」


 


ばんっ!!


 


ドア。


 


勢いよく。


 


閉まる。


 


中瀬。


 


廊下。


 


ぽつん。


 


一人だった。


中瀬。


 


廊下。


 


立ったまま。


 


「……」


 


少しだけ。


 


考える。


 


『髪の色』


 


『変わらない……』


 


今朝。


 


自分が。


 


言ったことを。


 


思い出す。


 


『説明書は』


 


『ありません』


 


「……」


 


やっぱり。


 


説明書。


 


欲しかった。


 


小さく。


 


ため息。


 


ひとつ。


 


そのまま。


 


ベランダへ。


 


戻る。


 


コーヒー。


 


まだ。


 


少しだけ。


 


温かい。


 


タバコ。


 


もう一度。


 


くわえる。


 


新聞。


 


ぱらっ。


 


読む。


 


「……」


 


『平和』


 


だった。


 


たぶん。


 


部屋の中。


 


「つむぎぃぃぃ!!」


 


「お願いぃぃぃ!!」


 


「着ようよぉぉぉ!!」


 


どたどたっ。


 


ばたばたっ。


 


ごろごろっ。


 


中瀬。


 


新聞。


 


一枚。


 


めくる。


 


「……」


 


『負けてるな』


 


そう思った。


 


どうやら。


 


望月。


 


苦戦中。


 


らしい。


 


八分後。


 


ようやく。


 


部屋。


 


静かになる。


 


望月。


 


つむぎを。


 


ちょこん。


 


座らせる。


 


じーーっ。


 


眺める。


 


即席の。


 


小さな着物。


 


とても。


 


かわいい。


 


まんまる。


 


もちもち。


 


でも。


 


望月。


 


腕を組む。


 


「……」


 


「何か」


 


「足りない」


 


三秒。


 


考える。


 


そして。


 


ぱぁっ。


 


顔。


 


明るくなる。


 


「よぉぉぉし!!」


 


つむぎ。


 


びくっ。


 


嫌な予感。


 


大当たりだった。


望月。


 


胸を張る。


 


びしっ。


 


「よぉぉぉし!!」


 


「作戦変更!!」


 


つむぎ。


 


「……?」


 


きょとん。


 


望月。


 


ものすごく。


 


真剣。


 


「名付けて――」


 


びしっ。


 


指。


 


天井へ。


 


「おだんご大作戦!!」


 


つむぎ。


 


「……」


 


言葉は。


 


分からない。


 


でも。


 


「髪」


 


その一言だけ。


 


聞き取れた。


 


「!」


 


嫌な予感。


 


急上昇。


 


望月。


 


小さなゴム。


 


一本。


 


取り出す。


 


「かわいくするからねぇ~♪」


 


つむぎ。


 


じりっ。


 


少しだけ。


 


後ろへ。


 


望月。


 


にじり。


 


一歩。


 


近付く。


 


「逃げないよ~」


 


つむぎ。


 


もう一歩。


 


後ろへ。


 


望月。


 


ひょいっ。


 


捕まえた。


 


「つかまえた♪」


 


つむぎ。


 


「むぅ……」


 


頭。


 


ちょいちょい。


 


髪。


 


きゅっ。


 


片側。


 


ひとつ。


 


完成。


 


望月。


 


満足そう。


 


「よし!」


 


「次!」


 


反対側。


 


きゅっ。


 


もう一つ。


 


完成。


 


望月。


 


少しだけ。


 


離れる。


 


じーーっ。


 


見る。


 


「……」


 


沈黙。


 


二秒。


 


「……あれ?」


 


左右。


 


ある。


 


でも。


 


後ろ。


 


髪。


 


ぴょこん。


 


余っていた。


 


望月。


 


腕。


 


組む。


 


「……」


 


「よし!」


 


迷い。


 


ゼロ。


 


三本目。


 


きゅっ。


 


完成。


 


頭の後ろ。


 


ちょこん。


 


謎の。


 


三つ目。


 


望月。


 


ぱぁっ。


 


笑顔。


 


「かわいいぃぃぃ!!」


 


本人だけ。


 


大満足。


 


つむぎ。


 


「……」


 


明らかに。


 


納得していなかった。


望月。


 


腕。


 


組む。


 


何度も。


 


うなずく。


 


「うん」


 


「完璧」


 


「世界一かわいい」


 


つむぎ。


 


じーーっ。


 


望月を見る。


 


無言。


 


ものすごく。


 


無言。


 


「……?」


 


望月。


 


首。


 


かしげる。


 


その瞬間。


 


ぴょんっ。


 


つむぎ。


 


飛んだ。


 


机の上から。


 


そのまま。


 


床へ。


 


とんっ。


 


きれいに。


 


着地。


 


望月。


 


「えっ」


 


「えぇっ!?」


 


赤ちゃん。


 


だった。


 


はず。


 


でも。


 


普通に。


 


飛んだ。


 


つむぎ。


 


くるっ。


 


振り向く。


 


望月を見る。


 


じーーっ。


 


その顔。


 


言葉は。


 


なくても。


 


全部。


 


伝わった。


 


『もう』


 


『いや』


 


だった。


 


次の瞬間。


 


たったったったっ!


 


小さな足。


 


全力疾走。


 


部屋。


 


飛び出す。


 


リビング。


 


一直線。


 


望月。


 


一拍。


 


遅れて。


 


「つむぎぃぃぃぃぃ!!」


 


追いかける。


 


たったったっ!


 


赤ちゃん。


 


キッチン。


 


到着。


 


椅子。


 


よいしょ。


 


ぴょん。


 


流し台。


 


ぴょん。


 


食器棚。


 


よじよじ。


 


カーテン。


 


しゅるるっ。


 


上まで。


 


登る。


 


望月。


 


「なんでぇぇぇぇ!?」


 


「赤ちゃんなのにぃぃぃ!!」


 


つむぎ。


 


カーテンから。


 


ぴょん。


 


床へ。


 


するっ。


 


椅子の下。


 


くぐる。


 


リビングへ。


 


また。


 


全力疾走。


 


望月。


 


息。


 


切れていた。


 


「まっ……」


 


「待ってぇぇぇ!!」


 


三歩。


 


走る。


 


「はぁ……」


 


「もう」


 


「疲れたぁぁぁ……」


 


完全に。


 


赤ちゃんより。


 


先に。


 


バテていた。


ベランダ。


 


中瀬。


 


コーヒー。


 


まだ。


 


飲んでいる。


 


新聞。


 


もう半分。


 


読み終わった。


 


家の中。


 


「つむぎぃぃぃ!!」


 


「待ってぇぇぇ!!」


 


「お願いぃぃぃ!!」


 


「着替えようよぉぉぉ!!」


 


どたどたどたっ。


 


ばたんっ。


 


がたっ。


 


ごとんっ。


 


家。


 


揺れていた。


 


中瀬。


 


新聞を。


 


一枚。


 


めくる。


 


「……」


 


『まだ』


 


『捕まらないか』


 


静かに。


 


思う。


 


その時。


 


「中瀬くーーん!!」


 


望月。


 


キッチンから。


 


顔だけ。


 


ひょこっ。


 


中瀬。


 


少しだけ。


 


振り向く。


 


「はい」


 


「"はい"じゃない!」


 


「手伝ってぇぇぇ!!」


 


「どうして」


 


「そんなに」


 


落ち着いてるの!?」


 


中瀬。


 


コーヒー。


 


一口。


 


飲む。


 


「何を」


 


「すれば?」


 


「どういうこと!?」


 


「その子!」


 


「捕まえて!!」


 


中瀬。


 


ゆっくり。


 


立ち上がる。


 


背中。


 


ぽきっ。


 


まだ。


 


少し。


 


痛い。


 


リビングへ。


 


歩く。


 


つむぎ。


 


たったったっ。


 


まだ。


 


逃走中。


 


望月。


 


ソファ。


 


座っていた。


 


「はぁ……」


 


「はぁ……」


 


息。


 


切れている。


 


手には。


 


いつの間にか。


 


クッキー。


 


もぐもぐ。


 


食べていた。


 


「……」


 


中瀬。


 


少しだけ。


 


見る。


 


『走って』


 


『疲れたんだな』


 


そう。


 


思った。


 


テレビの前へ。


 


歩く。


 


リモコン。


 


手に取る。


 


ぴっ。


 


テレビ。


 


つく。


 


♪~♪


 


「ピポとゼリーのほし」


 


オープニング。


 


流れ始めた。


 


つむぎ。


 


壁を。


 


登ろうとしていた。


 


ぴたっ。


 


止まる。


 


「!」


 


振り向く。


 


テレビ。


 


きらきら。


 


見つめる。


 


世界中。


 


消えた。


 


その番組だけ。


 


残った。


つむぎ。


 


テレビ。


 


じーーっ。


 


目。


 


きらきら。


 


オープニング。


 


始まる。


 


♪~♪


 


「……」


 


完全に。


 


夢中。


 


中瀬。


 


ソファ。


 


ぽん。


 


ぽん。


 


隣。


 


軽く。


 


二回。


 


叩く。


 


「おいで」


 


つむぎ。


 


テレビから。


 


目。


 


離さない。


 


でも。


 


ちゃんと。


 


分かった。


 


たったっ。


 


小さな足。


 


ソファへ。


 


よいしょ。


 


「……」


 


登れない。


 


もう一回。


 


よいしょ。


 


「んっ」


 


あと少し。


 


もう一回。


 


よいしょっ。


 


ぽすん。


 


成功。


 


ちょこん。


 


中瀬の隣。


 


座る。


 


望月。


 


クッキー。


 


もぐもぐ。


 


「……」


 


「え?」


 


「捕まった」


 


信じられない。


 


さっきまで。


 


家中。


 


逃げ回っていた。


 


赤ちゃん。


 


今は。


 


ぴくりとも。


 


動かない。


 


テレビ。


 


じーーっ。


 


中瀬。


 


つむぎを見る。


 


「……」


 


止まる。


 


少しだけ。


 


眉。


 


動く。


 


『かわいそうに』


 


思った。


 


『あの髪』


 


『痛そうだ』


 


望月。


 


「?」


 


中瀬。


 


静かに。


 


一本目。


 


外す。


 


きゅっ。


 


二本目。


 


外す。


 


きゅっ。


 


三本目。


 


外す。


 


きゅっ。


 


つむぎ。


 


全然。


 


嫌がらない。


 


テレビ。


 


夢中。


 


中瀬。


 


今度は。


 


指。


 


くし代わり。


 


さらっ。


 


さらっ。


 


髪。


 


優しく。


 


整える。


 


絡まったところ。


 


ゆっくり。


 


ほどく。


 


最後に。


 


きれいに。


 


左右。


 


分ける。


 


ちょこん。


 


結ぶ。


 


今度は。


 


左右だけ。


 


ぴったり。


 


きれいだった。


 


つむぎ。


 


そのまま。


 


テレビ。


 


夢中。


 


何も。


 


気付いていなかった。


 


中瀬。


 


少しだけ。


 


満足そうに。


 


うなずく。


中瀬。


 


そっと。


 


つむぎを。


 


抱き上げる。


 


「……」


 


ぎこちない。


 


ものすごく。


 


ぎこちない。


 


赤ちゃん。


 


抱っこ。


 


慣れていない。


 


でも。


 


落とさないように。


 


腕。


 


しっかり。


 


支える。


 


つむぎ。


 


きょとん。


 


テレビ。


 


まだ。


 


見ていたい。


 


でも。


 


おとなしい。


 


中瀬。


 


そのまま。


 


くるっ。


 


望月の方へ。


 


向く。


 


赤ちゃん。


 


ちょこん。


 


見せる。


 


まるで。


 


賞を取った作品。


 


「……」


 


そんな顔。


 


していた。


 


望月。


 


クッキー。


 


もぐもぐ。


 


食べながら。


 


顔を上げる。


 


「……」


 


止まる。


 


つむぎ。


 


髪。


 


きれい。


 


左右。


 


ふわっと。


 


結ばれている。


 


しかも――


 


ぴんく。


 


「……」


 


「え?」


 


一秒。


 


二秒。


 


「ピンクぅぅぅぅ!?」


 


立ち上がる。


 


がたっ。


 


「ちょっと待って!!」


 


「三つ結びだけで」


 


「あんなに怒ったの!?」


 


「もしお腹すいてたら」


 


「どうなってたのぉぉぉ!?」


 


頭。


 


抱える。


 


中瀬。


 


「……」


 


理由は。


 


分からない。


 


でも。


 


望月。


 


何か。


 


納得したらしい。


 


突然。


 


車の鍵。


 


ぱっ。


 


つかむ。


 


そのまま。


 


玄関へ。


 


中瀬。


 


赤ちゃん。


 


抱えたまま。


 


見送る。


 


「?」


 


望月。


 


ドアの前。


 


ぴたっ。


 


止まる。


 


振り返る。


 


中瀬。


 


待つ。


 


望月。


 


つむぎを見る。


 


きれいに結ばれた。


 


ピンク色の髪。


 


そして。


 


ぼそっ。


 


「……」


 


「そんなに」


 


「変わらなかったもん」


 


ぷいっ。


 


玄関。


 


がらっ。


 


ばんっ。


 


閉まる。


 


静かになる。


 


中瀬。


 


「……」


 


少しだけ。


 


考える。


 


望月が。


 


何を言いたかったのか。


 


すぐに。


 


分かった。


 


肩の力。


 


ふっ。


 


抜ける。


 


口元。


 


少しだけ。


 


ゆるむ。


 


ほんの少し。


 


照れくさそうな。


 


小さな笑顔。


 


その時。


 


ぴょんっ。


 


つむぎ。


 


中瀬の腕から。


 


飛び上がる。


 


そのまま。


 


頭。


 


ぽすっ。


 


着地。


 


ぶらーん。


 


足。


 


楽しそうに。


 


ぶらぶら。


 


中瀬。


 


何も言わない。


 


小さな笑顔だけ。


 


そのまま。


 


日曜日の朝は。


 


静かに。


 


流れていった。








読んでいただきありがとうございます!♡


もしよければ、ポイントを入れていただけると、とても励みになります~!


(´▽`)


キャラクターデザインやイラストはPixivにも投稿しています!

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