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20/25

第20話 なんでここ!?

【緊急速報】ただ車を取りに行くだけだったのに!?


― 望月アカネ、自分でも理解できないままナカセの家へ到着!! ―


ナカセと二人きりのドライブ。


緊張。


沈黙。


そして、


心の中だけ大騒ぎ。


「仕事が恋しい。」


その何気ない一言に、


アカネの心は大混乱!?


歌って。


叫んで。


勝手に将来を想像して。


気づけば――


なぜかナカセの家に到着。


……え?


私、


帰る家を間違えました!?

中瀬。


 


車。


 


高級車だった。


 


きれい。


 


整理整頓。


 


いい匂い。


 


望月。


 


助手席。


 


座る。


 


背筋。


 


ぴんっ。


 


膝。


 


きっちり。


 


揃える。


 


両手。


 


膝の上。


 


前だけ。


 


見る。


 


ものすごく。


 


緊張していた。


 


中瀬。


 


エンジン。


 


かける。


 


静かに。


 


走り出す。


 


いつも通り。


 


急がない。


 


焦らない。


 


静か。


 


しーん。


 


沈黙。


 


望月。


 


耐えられない。


 


「……」


 


「道」


 


「覚えてます?」


 


中瀬。


 


「覚えてます」


 


即答。


 


「……」


 


「そっか」


 


また。


 


静か。


 


十秒。


 


十五秒。


 


望月。


 


もう一度。


 


勇気。


 


出す。


 


「今日は……」


 


「ごめんね」


 


「いっぱい」


 


迷惑かけちゃった」


 


中瀬。


 


少しだけ。


 


考える。


 


望月。


 


返事を待つ。


 


その間――


 


『あぁぁぁぁ!!』


 


『迷惑だった!?』


 


『私』


 


『変だった!?』


 


『寝顔』


 


『ひどかった!?』


 


『よだれ!?』


 


『いや』


 


『もっと最悪なのは……』


 


『寝言!!』


 


『もし』


 


『中瀬くんの夢』


 


『見てたら!?』


 


『声に出してたら!?』


 


『やぁぁぁぁぁ!!』


 


頭の中。


 


大爆発。


 


その時。


 


中瀬。


 


ぽつり。


 


「別に」


 


「迷惑じゃ」


 


「なかったですよ」


 


――爆発。


 


終了。


 


望月。


 


「はは……」


 


「よかったぁ……」


 


心から。


 


安心した。


沈黙。


 


また。


 


少しだけ。


 


続く。


 


その時。


 


中瀬。


 


前を見たまま。


 


ぽつり。


 


「……」


 


「仕事」


 


「恋しいですか?」


 


望月。


 


びくっ。


 


『えっ!?』


 


『中瀬くんが!?』


 


『話しかけてきた!?』


 


『うそぉぉぉ!?』


 


『しかも雑談!?』


 


『落ち着け私!!』


 


心臓。


 


ばくばく。


 


ものすごく。


 


「わ、私……」


 


少し。


 


考える。


 


老人ホーム。


 


思い出す。


 


毎日の騒ぎ。


 


おじいちゃん。


 


おばあちゃん。


 


笑い声。


 


走り回る毎日。


 


全部。


 


浮かんだ。


 


「……」


 


「恋しい」


 


小さく。


 


答えた。


 


沈黙。


 


五秒。


 


その一言だけが。


 


少しだけ。


 


重かった。


 


望月。


 


はっ。


 


我に返る。


 


「あっ!!」


 


「ち、違うの!!」


 


両手。


 


ぶんぶん。


 


振る。


 


「向こうの方が」


 


「いいって意味じゃなくて!!」


 


「その……!」


 


「私はただ――」


 


中瀬。


 


少しだけ。


 


肩の力。


 


抜ける。


 


「……」


 


「私もです」


 


望月。


 


ぴたっ。


 


止まる。


 


「え?」


 


中瀬。


 


静かに。


 


続ける。


 


「私も」


 


仕事は。


 


恋しいですよ」


 


『!!!!!!』


 


望月。


 


頭の中。


 


大歓声。


 


『やばいやばいやばい!!』


 


『今の!!』


 


『ちゃんと覚えて!!』


 


『中瀬くん情報!!』


 


『初めて!!』


 


『好きなこと話してくれたぁぁぁ!!』


 


一字一句。


 


絶対。


 


忘れないと。


 


決めた。


望月。


 


じーーーっ。


 


中瀬を見る。


 


ものすごく。


 


真剣な顔。


 


『覚えた』


 


『完璧』


 


『中瀬くんは』


 


『仕事が好き』


 


『よし』


 


『メモしたい』


 


心の中だけ。


 


何度も。


 


復唱する。


 


中瀬。


 


視線は。


 


前。


 


運転。


 


そのまま。


 


でも。


 


気付いていた。


 


「……」


 


「その顔」


 


「何ですか?」


 


望月。


 


びくっ。


 


「え?」


 


中瀬。


 


少しだけ。


 


首をかしげる。


 


「……」


 


「トイレですか?」


 


沈黙。


 


一秒。


 


二秒。


 


望月。


 


真っ赤。


 


「なっ――」


 


「ちがぁぁぁう!!」


 


ぽかっ!


 


助手席から。


 


腕。


 


軽く叩く。


 


もちろん。


 


痛くない。


 


中瀬。


 


「?」


 


本当に。


 


分からない。


 


望月。


 


ぷいっ。


 


窓の外。


 


向く。


 


「もう!」


 


「この!」


 


「鈍感!」


 


「おバカ!」


 


「……」


 


ぶつぶつ。


 


小さな声。


 


中瀬。


 


聞こえなかった。


 


「何か言いました?」


 


望月。


 


さらに。


 


顔。


 


赤くなる。


 


「何でもない!!」


 


外。


 


見る。


 


絶対。


 


もう。


 


顔は見ない。


 


そう決めた。


 


三秒後。


 


ちらっ。


 


見た。


 


『あぁぁぁぁ!!』


 


『また見ちゃったぁぁぁ!!』


 


心の中。


 


今日。


 


何回目か分からない。


 


一人反省会。


 


開催。


それから――


 


車の中。


 


望月。


 


ラジオ。


 


ぽちっ。


 


つける。


 


音楽。


 


流れる。


 


「!」


 


知ってる曲。


 


「これ!」


 


「好き!」


 


嬉しそう。


 


ものすごく。


 


そして。


 


歌う。


 


全力で。


 


「~~~~♪」


 


「~~~~♪」


 


音程。


 


どこかへ。


 


旅に出ていた。


 


リズム。


 


自由。


 


ものすごく。


 


自由。


 


望月。


 


楽しそう。


 


それだけは。


 


本物だった。


 


二曲目。


 


「この曲も!」


 


歌う。


 


全力。


 


三曲目。


 


「懐かしい!」


 


また歌う。


 


中瀬。


 


運転。


 


そのまま。


 


表情。


 


変わらない。


 


でも。


 


心の中。


 


『……』


 


『音楽って』


 


『こんなに』


 


『自由だったかな』


 


少しだけ。


 


考えた。


 


望月。


 


気付かない。


 


最後まで。


 


熱唱。


 


完全に。


 


一人ライブだった。


 


目的地。


 


到着。


 


望月。


 


エンジンを切る前に。


 


にこっ。


 


「楽しかった!」


 


中瀬。


 


「……」


 


「そうですか」


 


それだけだった。


 


たぶん。


 


少しだけ。


 


耳は。


 


疲れていた。


到着。


 


望月。


 


軽トラック。


 


乗る。


 


キー。


 


回す。


 


ぶるるん。


 


一発。


 


かかった。


 


「よかったぁ……」


 


思わず。


 


安心する。


 


中瀬。


 


窓を開ける。


 


軽く。


 


手を振る。


 


「それじゃ」


 


「望月さん」


 


「また明日」


 


望月。


 


にこっ。


 


「はい!」


 


「また明日!」


 


中瀬。


 


先に。


 


走り出す。


 


望月。


 


その後ろ。


 


軽トラック。


 


発進。


 


もちろん。


 


帰る方向は。


 


別々。


 


そのはずだった。


 


望月。


 


運転しながら。


 


『あぁぁぁぁ!!』


 


『私のバカぁぁぁ!!』


 


頭の中。


 


また。


 


大騒ぎ。


 


『なんで』


 


『あんなに』


 


『意識してるの!?』


 


『落ち着け!!』


 


『落ち着け私!!』


 


大きく。


 


深呼吸。


 


ひとつ。


 


「よし!」


 


気合い。


 


入れる。


 


「もう!」


 


「考えない!」


 


「中瀬くんのことなんて!」


 


ぐっ。


 


拳。


 


握る。


 


「嫌なところ!」


 


「思い出そう!」


 


「えっと……」


 


考える。


 


「タバコ吸う」


 


「無愛想」


 


「ちょっとおじさん」


 


「……」


 


沈黙。


 


一秒。


 


二秒。


 


『……』


 


『あれ?』


 


『意外と』


 


『悪くない?』


 


「……」


 


「いやいやいや!!」


 


「違うぅぅぅ!!」


 


「望月茜ぇぇぇ!!」


 


一人で。


 


全力。


 


ツッコミを入れた。


考え事。


 


続く。


 


ものすごく。


 


真剣に。


 


「……」


 


『でも』


 


『もし』


 


『つむぎちゃんが』


 


『ちゃんと』


 


『普通の生活ができたら』


 


『海にも行けたら』


 


『あのおじさんに』


 


『私たちでも』


 


『育てられるって』


 


『証明できる』


 


望月。


 


ぱあっ。


 


笑顔。


 


「できる!」


 


「絶対できる!」


 


二秒。


 


嬉しかった。


 


本当に。


 


でも。


 


その笑顔。


 


少しずつ。


 


消える。


 


「……」


 


『そしたら』


 


『つむぎちゃん』


 


『もう』


 


『帰っちゃうのかな』


 


『……』


 


『中瀬くんも』


 


『また』


 


『一人』


 


『私は』


 


『老人ホーム』


 


『いつもの毎日』


 


「……」


 


「やだ」


 


ぽつり。


 


小さな声。


 


「やだぁぁぁぁぁ!!」


 


急ブレーキ。


 


きぃぃっ!!


 


車。


 


止まる。


 


ごんっ。


 


危うく。


 


ハンドルに。


 


頭。


 


ぶつけるところだった。


 


「いったぁ……」


 


前を見る。


 


「……」


 


「え?」


 


見覚えのある家。


 


見覚えのある車。


 


見覚えのある玄関。


 


「…………」


 


『なんで?』


 


『なんで!?』


 


『ここ!?』


 


『えぇぇぇぇぇ!?』


 


気付けば。


 


中瀬の家。


 


だった。


 


「うそぉぉぉぉ!!」


 


その時。


 


玄関。


 


がちゃっ。


 


開く。


 


中瀬。


 


出てくる。


 


望月。


 


「!!」


 


『終わった』


 


『私』


 


『終わったぁぁぁぁ!!』


 


ゆっくり。


 


シートへ。


 


ずるずる。


 


沈んでいった。


中瀬。


 


軽く。


 


首をかしげる。


 


望月の車へ。


 


歩いてくる。


 


一歩。


 


また一歩。


 


望月。


 


『来る』


 


『来る』


 


『来るぅぅぅ!!』


 


シート。


 


ずるっ。


 


もう少し。


 


沈む。


 


窓。


 


少しずつ。


 


閉める。


 


うぃぃぃん。


 


中瀬。


 


車の横。


 


到着。


 


望月。


 


目だけ。


 


見える。


 


じーーっ。


 


見つめ合う。


 


数秒。


 


「……」


 


『怒ってる?』


 


『絶対怒ってる』


 


『私』


 


『終わった』


 


コンコン。


 


窓。


 


叩く。


 


望月。


 


動かない。


 


完全停止。


 


コンコン。


 


もう一回。


 


深呼吸。


 


ひとつ。


 


ゆっくり。


 


身体を起こす。


 


ぎこちない笑顔。


 


「は、はは……」


 


「こんばんは」


 


中瀬。


 


「こんばんは」


 


普通だった。


 


いつも通り。


 


望月。


 


少しだけ。


 


安心する。


 


次の瞬間。


 


中瀬。


 


ぽつり。


 


「今日は」


 


「うちに泊まるんですか?」


 


望月。


 


「えっ!?」


 


顔。


 


真っ赤。


 


「ち、ち、ちが――」


 


その時。


 


中瀬。


 


すっと。


 


手を伸ばす。


 


望月の口。


 


軽く。


 


ふさぐ。


 


「んむっ!?」


 


望月。


 


固まる。


 


心臓。


 


今日一番。


 


速かった。


 


中瀬。


 


小さな声。


 


「……」


 


「静かに」


 


望月。


 


ぱちぱち。


 


瞬き。


 


「?」


 


中瀬。


 


少しだけ。


 


笑う。


 


「冗談です」


 


「まだ」


 


八時にも。


 


なってませんから」


 


望月。


 


「…………」


 


『笑った』


 


『今』


 


『笑った?』


 


『えぇぇぇぇぇ!?』


 


頭の中。


 


今日。


 


何度目か分からない。


 


大爆発だった。


望月。


 


口。


 


やっと。


 


動く。


 


「わ、私……」


 


「あの……」


 


「その……」


 


中瀬。


 


首をかしげる。


 


「それで?」


 


「どうして」


 


「ここに?」


 


望月。


 


目。


 


泳ぐ。


 


「あっ!」


 


「考え事!」


 


「してて!」


 


「気づいたら!」


 


「ここで!」


 


「ははは……」


 


乾いた笑い。


 


ものすごく。


 


中瀬。


 


「……」


 


「二十分くらい」


 


「考え事ですか?」


 


望月。


 


「……」


 


「はい」


 


小さく。


 


認めた。


 


中瀬。


 


ため息。


 


ひとつ。


 


車のドア。


 


開ける。


 


「危ないですよ」


 


「降りてください」


 


望月。


 


ぺこっ。


 


頭。


 


下げる。


 


「ご、ごめんなさい……」


 


車。


 


降りる。


 


ふらっ。


 


少しだけ。


 


よろけた。


 


家の中。


 


入る。


 


テレビ。


 


まだ。


 


ついていた。


 


『ピポとゼリーのほし』


 


ちょうど。


 


流れている。


 


ソファ。


 


つむぎ。


 


ちょこん。


 


座る。


 


髪。


 


まだ少し。


 


濡れていた。


 


「……」


 


寝ていた。


 


ものすごく。


 


幸せそうに。


 


よだれ。


 


少しだけ。


 


たらり。


 


望月。


 


自然に。


 


抱き上げる。


 


片腕。


 


膝の下。


 


もう片方。


 


背中。


 


大事そうに。


 


そっと。


 


中瀬。


 


洗面所へ。


 


歩く。


 


途中。


 


止まる。


 


少し考える。


 


戻る。


 


「望月さん」


 


「お風呂」


 


「終わったら」


 


「呼んでください」


 


「片付けますから」


 


望月。


 


「は、はい!」


 


また。


 


顔。


 


真っ赤。


 


その夜。


 


中瀬。


 


リビング。


 


ソファで寝る。


 


望月とつむぎ。


 


中瀬の部屋。


 


つむぎ。


 


くまのぬいぐるみを抱いて。


 


すやすや。


 


髪。


 


もう。


 


茶色。


 


穏やかな寝顔。


 


望月。


 


その隣。


 


天井を見つめる。


 


「……」


 


考えない。


 


そう。


 


決めた。


 


でも。


 


無理だった。


 


全然。


 


無理だった。







読んでいただきありがとうございます!♡


もしよければ、ポイントを入れていただけると、とても励みになります~!


(´▽`)


キャラクターデザインやイラストはPixivにも投稿しています!

ぜひ遊びに来てください!


Pixiv:

https://www.pixiv.net/en/users/121622272


また次回もよろしくお願いします!♡

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