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18/25

第18話 プロ

【超緊急速報】絶景ショックで救急車出動!?

― 望月茜、人生で一番恥ずかしい救急搬送が始まる!! ―


絶景を目指して登った山。


待っていたのは、


絶景ではなく――


まさかの気絶。


そこから始まる、


人生最大級の救助劇!!


救急隊は山を駆け抜け、


お年寄りたちは全力疾走。


高橋さんはイケメン隊員に夢中。


そして救急車は、


堂々と町を走り抜ける。


その姿を見た高校生たちは――


「望月さんだーーー!!」


まさかの大歓声!?


本人だけが知らないところで、


望月茜の知名度は、


今日も順調に更新中!!

 


「……」


 


「死んだ?」


 


つむぎ。


 


ぽつり。


 


二分。


 


完全な静寂。


 


茜。


 


墓の前。


 


大の字。


 


口。


 


半開き。


 


髪。


 


ぐしゃぐしゃ。


 


汗。


 


びっしょり。


 


完全に。


 


終わっていた。


 


つむぎ。


 


隣。


 


しゃがむ。


 


じーっ。


 


茜を見る。


 


中瀬。


 


心の中。


 


『……』


 


『この静けさ』


 


『少しだけ』


 


『楽しもう』


 


そう思った。


 


でも。


 


無理だった。


 


ため息。


 


ひとつ。


 


立ち上がる。


 


「……」


 


「救急車」


 


「呼びましょう」


 


その瞬間。


 


「きゃあああああっ!!」


 


藤原。


 


大絶叫。


 


「きゅ、救急車ぁ!?」


 


最後まで。


 


聞いていなかった。


 


宮本。


 


胸。


 


押さえる。


 


中瀬。


 


もう一度。


 


ため息。


 


「救急車が」


 


「一番安全です」


 


みんな。


 


「……」


 


冷静になる。


 


確かに。


 


その通りだった。


 


中瀬。


 


茜を見る。


 


もう一度。


 


じっと見る。


 


「一応」


 


「診てもらいましょう」


 


「この」


 


「極度の運動不足ですから」


 


高橋。


 


ぷっ。


 


田中。


 


肩。


 


震える。


 


宮本。


 


笑い。


 


我慢。


 


つむぎ。


 


ぽつり。


 


「運動不足……」


 


茜。


 


つん。


 


指で。


 


つつく。


 


反応。


 


なし。


 


中瀬。


 


スマホ。


 


取り出す。


 


その前に。


 


つむぎ。


 


てとてと。


 


近付く。


 


お年寄りたち。


 


くるっ。


 


反対を見る。


 


絶景。


 


探し始めた。


 


せっかく来たのだから。


 


何か。


 


一つくらい。


 


見つけたかった。


つむぎ。


 


中瀬の前。


 


ちょこん。


 


立つ。


 


中瀬。


 


見下ろす。


 


つむぎ。


 


両手。


 


口元へ。


 


こそこそ。


 


内緒話の形。


 


「中瀬さん」


 


小さな声。


 


「茜を起こすために」


 


「能力」


 


「使ってもいい?」


 


「寝てるから」


 


「きっと」


 


「気付かないよ?」


 


中瀬。


 


少し考える。


 


しゃがむ。


 


同じように。


 


両手。


 


口元へ。


 


こそこそ。


 


つむぎと。


 


全く同じ格好。


 


誰も。


 


真似したつもりはなかった。


 


でも。


 


そうなった。


 


「ダメです」


 


小さな声。


 


「でも」


 


「今週だけは」


 


「能力を使わなくても」


 


「きっと大丈夫」


 


「みんなで助けよう」


 


つむぎ。


 


「……」


 


少しだけ。


 


しょんぼり。


 


でも。


 


分かった。


 


こくっ。


 


頷く。


 


また。


 


茜の隣へ。


 


ちょこん。


 


座る。


 


見守る係。


 


任命された気分だった。


 


中瀬。


 


スマホ。


 


取り出す。


 


電話。


 


かける。


 


「もしもし」


 


「救急です」


 


「場所は――」


中瀬。


 


電話。


 


続ける。


 


「はい」


 


「○○町の山です」


 


「ええ」


 


「一名」


 


「意識を失っています」


 


落ち着いていた。


 


驚くほど。


 


その頃。


 


高橋。


 


ふと。


 


下を見る。


 


「あら?」


 


「あそこ」


 


「宮村さんじゃない?」


 


宮本。


 


身を乗り出す。


 


「あっ!」


 


「本当だ!」


 


二人。


 


大きく手を振る。


 


「宮村さーーん!!」


 


山の下。


 


一人の女性。


 


顔を上げる。


 


「あら!」


 


「こんにちはー!」


 


元気だった。


 


高橋。


 


ぽつり。


 


「不思議ねぇ」


 


宮本。


 


町を見る。


 


「この景色……」


 


「見覚えあるわ」


 


山の上から。


 


町。


 


全部。


 


見えていた。


 


古い家。


 


商店街。


 


細い道。


 


自転車で走る高校生。


 


スーツ姿の会社員。


 


いつもの町。


 


でも。


 


少しだけ。


 


違って見えた。


 


中瀬。


 


電話。


 


終わる。


 


「ありがとうございました」


 


ぴっ。


 


通話終了。


 


スマホ。


 


しまう。


 


そのまま。


 


煙草。


 


一本。


 


火をつける。


 


高橋。


 


振り返る。


 


「どうだった?」


 


「来てくれる?」


 


中瀬。


 


こくり。


 


「はい」


 


「もう来ます」


 


相変わらず。


 


落ち着いていた。


 


救急車を呼んだ人とは。


 


思えないくらいに。


しばらくして。


 


宮本。


 


首を傾げる。


 


「中瀬くん」


 


「住所は」


 


「どこを伝えたの?」


 


「ここ」


 


「道路から」


 


「近そうだけど……」


 


その頃。


 


山の入口。


 


救急車。


 


止まる。


 


その横。


 


茜の軽トラック。


 


ちゃんと。


 


停まっていた。


 


救助隊。


 


五人。


 


担架。


 


医療バッグ。


 


装備。


 


完璧。


 


隊長。


 


山を見る。


 


一言。


 


「行くぞ」


 


「はい!」


 


「救助開始!」


 


「1!」


 


「2!」


 


「1!」


 


「2!」


 


一斉に。


 


走り出す。


 


迷わない。


 


止まらない。


 


姿勢。


 


ぴしっ。


 


動き。


 


無駄なし。


 


まるで。


 


毎日。


 


こんな山を走っている人たちだった。


 


一方。


 


山の上。


 


中瀬。


 


頭。


 


ぽりぽり。


 


少しだけ。


 


申し訳なさそう。


 


「……」


 


「最初に車を停めた場所の住所を」


 


「伝えました」


 


宮本。


 


「あらぁ……」


 


少しだけ。


 


同情した。


 


救助隊に。


 


その瞬間――


 


ざさっ。


 


ざざざっ。


 


茂み。


 


揺れる。


 


全員。


 


振り向く。


 


「到着!」


 


救助隊だった。


 


でも。


 


さっきの道じゃない。


 


完全に。


 


森の中。


 


新しい道。


 


自分たちで。


 


作っていた。


 


全身。


 


葉っぱ。


 


枝。


 


いっぱい。


 


なのに。


 


息。


 


まったく乱れていない。


 


「きゃああああっ!!」


 


みんな。


 


同時に。


 


飛び上がった。


隊長。


 


茜を見る。


 


一瞬。


 


状況。


 


全部。


 


把握。


 


「よし」


 


「担架」


 


「運べ!」


 


「はい!」


 


隊員。


 


二人。


 


すぐ。


 


茜の横。


 


ひょいっ。


 


持ち上げる。


 


軽かった。


 


たぶん。


 


茜だから。


 


担架。


 


乗せる。


 


一秒。


 


終了。


 


「よし!」


 


「戻るぞ!」


 


「はい!」


 


高橋。


 


ぽかん。


 


藤原。


 


ぽかん。


 


宮本。


 


ぽかん。


 


みんな。


 


同じ顔。


 


救助隊。


 


向かった先。


 


さっき。


 


自分たちで。


 


切り開いた道。


 


もちろん。


 


今まで歩いてきた。


 


山道ではない。


 


もっと急。


 


もっと険しい。


 


高橋。


 


指。


 


びしっ。


 


下の道路。


 


何度も。


 


指差す。


 


「あっち!」


 


「あっちの方が!」


 


「近いでしょう!?」


 


必死だった。


 


でも。


 


隊長。


 


振り返らない。


 


完全無視。


 


その時。


 


一人の若い隊員。


 


みんなの前で。


 


止まる。


 


背。


 


高い。


 


腕。


 


太い。


 


爽やか。


 


笑顔。


 


きらっ。


 


「皆さん」


 


「こちらからどうぞ」


 


高橋。


 


一秒。


 


見つめる。


 


そして。


 


ぽつり。


 


「……」


 


「イケメン」


 


誰にも。


 


止められなかった。


 


「案内します」


 


若い隊員。


 


もう一度。


 


優しく笑う。


 


高橋。


 


即答。


 


「はい♡」


 


ものすごく。


 


元気になった。


 


中瀬。


 


その様子を見る。


 


「……」


 


「信じられない」


 


ぼそっ。


 


つむぎ。


 


手。


 


ぎゅっ。


 


佐伯。


 


反対の肩。


 


ひょいっ。


 


また。


 


歩き始めた。


若い隊員。


 


中瀬を見る。


 


「その方は」


 


「私が運びます」


 


佐伯を見る。


 


中瀬。


 


きょとん。


 


「……?」


 


「いえ」


 


「大丈夫です」


 


「私が」


 


「支えられます」


 


若い隊員。


 


にこっ。


 


「お任せください!」


 


爽やかだった。


 


眩しいくらい。


 


中瀬。


 


心の中。


 


『……』


 


『私じゃ』


 


『無理だと思われた?』


 


少しだけ。


 


納得いかない。


 


でも。


 


佐伯。


 


そっと。


 


若い隊員の背中へ。


 


ひょいっ。


 


軽々。


 


背負われる。


 


佐伯。


 


「……」


 


ちょっとだけ。


 


嬉しそう。


 


中瀬。


 


複雑だった。


 


ものすごく。


 


その二分後――


 


「行くぞ!」


 


隊長。


 


叫ぶ。


 


「はい!」


 


全員。


 


一斉に。


 


走る。


 


下り坂。


 


全力。


 


「1!」


 


「2!」


 


「1!」


 


「2!」


 


担架。


 


揺れる。


 


ぶんっ。


 


ぶんっ。


 


茜。


 


ゆらゆら。


 


口。


 


開いたまま。


 


よだれ。


 


そのまま。


 


全然。


 


起きない。


 


「もっと速く!」


 


「はい!」


 


「1!」


 


「2!」


 


「1!」


 


「2!」


 


お年寄りたち。


 


慌てる。


 


「待ってぇぇぇ!!」


 


必死。


 


走る。


 


救助隊。


 


速すぎた。


 


つむぎ。


 


中瀬と。


 


手。


 


ぎゅっ。


 


繋いだまま。


 


走る。


 


速い。


 


速すぎる。


 


足。


 


ほとんど。


 


地面についていない。


 


ぴょん。


 


ぴょん。


 


飛んでいた。


 


佐伯。


 


若い隊員の背中。


 


すごく安定。


 


全然。


 


揺れない。


 


高橋。


 


その隣。


 


走りながら。


 


ぽつり。


 


「……」


 


「シャツ」


 


「脱いだ方が」


 


「もっと素敵かも」


 


若い隊員。


 


聞こえた。


 


でも。


 


何も言わない。


 


そのまま。


 


走った。


三十分も。


 


かからなかった。


 


救助隊。


 


あっという間に。


 


山を下りる。


 


救急車。


 


目の前。


 


隊長。


 


先に乗り込む。


 


「急げ!」


 


「はい!」


 


担架。


 


そのまま。


 


車内へ。


 


高橋。


 


へとへと。


 


肩で息。


 


「茜ちゃん……」


 


「かわいそう……」


 


藤原。


 


苦笑い。


 


「恥ずかしい夢でも」


 


「見てそうね」


 


宮本。


 


空を見る。


 


「元気になるといいわぁ」


 


その時。


 


若い隊員。


 


佐伯を。


 


そっと降ろす。


 


高橋。


 


じーーっ。


 


見つめる。


 


そして。


 


ぽつり。


 


「私も……」


 


「倒れそう」


 


宮本。


 


「あらあら」


 


すぐ分かった。


 


理由も。


 


全部。


 


後ろのドア。


 


開く。


 


別の隊員。


 


「皆さんも」


 


「どうぞ!」


 


全員。


 


「え?」


 


思わず。


 


顔を見合わせる。


 


でも。


 


乗った。


 


みんな。


 


一緒に。


 


救急車。


 


出発。


 


サイレン。


 


鳴る。


 


町を走る。


 


老人ホーム。


 


通過。


 


茜のアパート。


 


通過。


 


学校の近く。


 


急ブレーキ。


 


ちょうど。


 


部活帰りの高校生たち。


 


振り向く。


 


「あっ!」


 


「茜さん!?」


 


「本当だ!!」


 


「すげぇ!!」


 


「救急車乗ってる!!」


 


「いいなぁ!」


 


「全然よくないでしょ」


 


一人。


 


近付く。


 


じーーっ。


 


茜を見る。


 


「……」


 


「寝たふりじゃない?」


 


「違うよ」


 


「電車にはねられた顔してる」


 


「それはそれですごい」


 


救急車。


 


また走り出す。


 


高校生たち。


 


見送る。


 


その中。


 


転校してきたばかりの男子。


 


ぽつり。


 


「……」


 


「あの人」


 


「誰?」


 


一番人気の男子。


 


胸を張る。


 


「知らないのか?」


 


「望月さんだぞ!」


 


「……?」


 


別の男子。


 


割り込む。


 


「めっちゃいい人!」


 


「運動部のボランティアも来てくれるし!」


 


「この前の大会も!」


 


「茜さんの特訓のおかげで優勝したんだ!」


 


「遠足も最高だったよな!」


 


「学校のより面白かった!」


 


「ちょっと変だけど!」


 


「うん」


 


「すごく変」


 


「いつもパジャマで走ってるし」


 


「毎回」


 


「恥ずかしそうにしてる」


 


みんな。


 


笑う。


 


夕方。


 


少しずつ。


 


空。


 


赤くなる。


 


でも。


 


今日という日は。


 


まだ。


 


終わっていなかった。


 


特に――


 


望月茜にとっては。






読んでいただきありがとうございます!♡


もしよければ、ポイントを入れていただけると、とても励みになります~!


(´▽`)


キャラクターデザインやイラストはPixivにも投稿しています!

ぜひ遊びに来てください!


Pixiv:

https://www.pixiv.net/en/users/121622272


また次回もよろしくお願いします!♡

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