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転魔教師~異世界転移した魔王、元の世界に戻るため召喚者の家庭教師になる~  作者: d-side
第2章 海洋国家オルヴァート編

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117限目「試練⑦」

「何をなさるのです!」

「お前は奴の……、アルバレイの恐ろしさを知らぬのだ。あやつは劣勢に傾こうとする現状すら❝遊び❞の一つほどにしか捉えてはいまい。私でも心の底が読めぬ。

 このような状況ではお前にどれほどの危険が及ぶかと思うと、力ずくでもこれ以上旅を続けさせるわけにはいかんのだ。分かってほしい」


「父上のお考えよくわかりました。が、私の決意は変わりませぬ!

 『自分の道は自分で切り開く』、そう教えて下さったのもまた父上なのですから!」力強く言葉を言い放ったクシナの手には、5枚の呪符が。


「我を害する邪を払え、《五行守賢陣ごぎょうしゅけんじん》!!」呪符が手を離れ、光輝く五芒星を形成しクシナの周囲を包み込む。すると、クシナを縛っていた鎖はぐずぐずと崩れていきやがて消滅した。


「クシナ、そなた符術を習得したのか」

「グレン様から教えて頂きました。オルヴァートの柱となる心構えを、己を守るための術を」

「ただ守られるだけのか弱い存在というわけではなくなったのだな。

 だが、付け焼刃の術では意味はないぞ!」ザナンが再び印を組み換え術を発動させると、周囲から紫紺色の狼が大量に召喚された。


「行け!結界を食い破れ!」召喚された狼が遠吠えをすると、一斉にクシナ目掛けて群がり、その牙と爪で結界の突破を試みる。牙で噛みつき、爪で引っ掻く度に結界が大きく揺れる。


「覚えたての術ではこの数は捌き切れまい。降参するなら今の内だぞ、クシナ」しかし、クシナは新たに呪符を携え毅然と父と対峙する。

「私の決意は揺るぎません!必ずこの試練打ち勝って見せます!

 光の化身よ!仇なす者にいかずちの裁きを!《鳳羽閃雷ほううせんらい》!!」呪符が上空へと駆け上ると強い光を放ち、巨大な鳳凰が轟く程の鳴き声を放ちながら姿を現す。


「蹴散らしなさい!」クシナの言葉に呼応し大きく羽ばたきをすると、瞬く間に上空が雷雲に覆われ無数の雷光が駆け巡る。

 そして鳳凰が再び大きく羽ばたくと、轟音と共に羽へと形を変えた雷が、地上の狼達へ一斉に降り注ぐ!

 おびただしい数の雷の羽を前に、狼達は避ける暇すら許されずにその場で崩壊していく。


「まさかここまでとは」ザナンが娘の成長に思わず嘆息を漏らす。

「ならばクシナの成長に敬意を表して、私も全力を尽くさねばならぬな」印を激しく組み換え、パンと大きい音がするほど掌を合わせる。

「英霊に祈りを捧げ奉る。強大な敵を屠る力を!」勢いよく掌を地面に叩きつけると、三体の黒い影が地面より現れ出る。


「あれは、父上の秘術《三傑招来さんけつしょうらい》!!」瞬きを一度した次の瞬間には、侍の姿をした三体のうちの一人がクシナの結界を一刀で切り裂いていた。そして二刀目でクシナを切り裂いてしまった。


 しかし、クシナの姿は歪み霞みの如く消え去る。幻影であった。別の場所に移動していたクシナは大量の呪符を用いて幾重もの結界を張り直しつつ、上空の鳳凰に攻撃を命じる。二度目の《鳳羽閃雷》が辺りに降り注ぐが、ダメージは負っていない。どうやら魔術師がいるらしく、闇属性魔法を放ち器用に攻撃を相殺している。

 そして最後の一人、重装兵が大きな盾を天にかざし降り注ぐ雷の羽から自分と侍を守っていた。


 だがクシナはそれには目もくれず、次の一手を繰り出す。

「我を守る盾を!《鋼兵招来こうへいしょうらい》!!」クシナの呼びかけに応じ、鋼の兵士達が召喚され三傑への対応に向かう。


「そんな小兵こひょうでは三人を倒すことはできないぞ」確かに三傑の対応に向かった兵士達の幾人はすぐに倒されている。しかし無傷とはいかないようだ。

 三傑の身体に傷がつき始めていた。

「ばかな!何故傷が!?まさか!!」鋼の身体に降り注ぐ雷の魔力が身体を巡り、兵士達を強化した結果攻撃力が上がっていたのだ。


 だが、それでも三傑の力は遥かに上回っていた。侍が一薙ひとなぎする毎に兵士が消え去っていく。周囲の兵士がいなくなると、瞬時に一閃の斬撃を飛ばし、上空の鳳凰が力を失い墜落していく。


「クシナよ、ここまでよくやった。だがオルヴァートを支えてきた先人達の力には敵わぬようだ。さぁ、これが最後だ。降参するんだ」ザナンは最後通牒を突きつける。その間にも侍、重装兵、魔術師が結界を攻撃し、守りを一枚ずつ剥がしていく。


「私は勝てないかもしれません。しかし、戦いとは必ずしも勝つ必要はありません。❝負けない❞ことが重要な場合もある、そう私はグレン様から教わりました。


 今がその時です」クシナは静かに目を閉じ、手を組み合わせ静かに言葉を紡ぐのであった。

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