忠次の覚悟
「相変わらず凄まじいな忠勝」
忠勝の一撃に感心する元康とは裏腹に
一瞬で10人もの人間を切り殺した忠勝を前にした織田軍は
たじろいでいた。
「これが、本田忠勝か・・・すごい」
また初めて戦に参戦する康政も忠勝の姿に圧倒されて呆然と立ち尽くしていた。
忠勝に続けと松平軍が次々に堀切を超え
砦内へなだれ込む。
「おい康政!そこで突っ立ってるなら邪魔だどけ!」
返り血に染まった忠勝が康政に怒鳴りつける。
忠勝なりの檄であろう。
我に返った康政は堀切を超え砦内に進入、
眼前に立ちふさがった織田軍の兵士達に攻撃を仕掛けた。
「僕も負けてられないな
どれどれ確かスキルの使い方はっと...
こうか!アクティブスキル【正宗・裂空断】」
康政の固有武器正宗によるアクティブスキル【正宗・裂空断】
前方広範囲に真空の斬撃を放つ技は立ちふさがる兵を切り裂いた。
見えない斬撃によって倒れていく味方に織田軍の兵士は
完全に戦意喪失していた。
「ひいいいい!こやつも化け物じゃ!
化け物が二人もおるぞ!」
戦意喪失し座り込む織田軍兵士達の前に次は元康が現れた。
「降伏しろ、もうこの砦は落ちる
俺たちに殺されるくらいなら俺の元へ来い」
元康のパッシブスキル【厭離穢土欣求浄土】が発動。
降伏させた敵を配下にすることができることにより
織田軍の兵士であった者がたった今松平の兵士へと心変わりした。
「わしらは松平元康様に忠誠を誓った
元康様をお守りしろおおお!!」
「「おおおおおお!」」
織田軍の格好をしたものが元康を守る異様な光景が誕生した。
「いやいや俺はいいから忠勝と康政に加勢してくれ」
「はっ!」
この調子で忠勝と康政達が敵を切り
元康は次々に味方を増やしながら前進していた。
一方数正、忠次サイド
大高城を包囲する織田軍に変化が表れたことを察知した。
「兵が・・・減ってる」
「ほっほ、元康様の作戦通りじゃな
もはや大高城は落城寸前と見た織田軍が大高城を包囲している兵達を
丸根砦の援軍に駆り出しておる
それほど丸根砦を奪われたくないという事だ
ほれそろそろ準備しておくか」
「準備、ですか?」
状況がいまいち掴めない忠次に数正は
元康の意図を伝えた。
「元康様自らが囮となり大高城の兵を丸根砦に引き付けておられる
その隙に我々が大高城へ兵糧を運べということじゃ
そのためにここに200の兵が残っておる」
「なっ!しかしそれでも織田軍の兵はまだこちらより多いですよ!
今兵糧を運ぶのは無茶です!」
「それでもやるのじゃ!
それが戦国の武士として生きるという事だ
忠次殿、元康様は以前の忠次殿を家臣でありながら兄の様に慕っており
度々助言などを貰い頼り切っていた
だがあなたが転生してきたことによってその存在はいなくなった
そのおかげか、元康様は自分で考えこの策を思いついた
結果うまく動きこの丸根砦攻略はもはや勝利目前
次は我らが大高城へ兵糧を無事に運び入れる番!
忠次殿!覚悟を決められよ!」
「数正殿・・・」
私は以前、親から継いだ会社の社長を仕方なくしており
親の代から在籍している社員からは使えないと思われ
こんな弱気な性格ゆえに若い社員からも舐められていた。
社長が私に変わってからは業績も落ち借金だけが膨らみ
会社を支えていたベテランの社員は全員辞めていった。
妻子供にも見放され残ったのは借金だけになり
遂に私は電車へと飛び込んだ。
気が付いたらこの世界におり酒井忠次として生きている。
いい機会だ、この世界でやり直そう
そう思ったが性格はそう簡単には変えられない
この弱気な性格は戦国の世では死活問題だ
ましてや一軍を預かる将としてはリーダーシップを取らなければならない
私にできるのか
いややらねばならない
次こそは私に付いてくるものを絶対に守るんだ
「忠次殿!いかがした」
「数正殿・・・ありがとうございます
ようやく目が覚めました
酒井忠次参ります!」
「これより大高城兵糧入れを行う!
左右に隊列を組み荷駄兵を守りながら入城する
数正殿、右は私が率いますので左はお任せします」
「ほっほ、お任せを忠次殿」
忠次と数正は200の兵を二つに分け
右側100を忠次、左側100を数正が受け持ち
500の荷駄兵を中央に配置し守るような陣形をとった。
「みなさんいきますよ!元康様の為に絶対にこの作戦成功させる!」
忠次の号令で戦闘兵200と兵糧を運ぶ荷駄兵500が
大高城へ動き出した。




