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戦国大戦  作者: ワンコインランチ
第1章 遠江国編
2/9

転生



あれからどれくらい時間が経ったのだろう


痛みはない


心地よい風が体に当たり、閉じていた瞼を開ける。



「あれ、さっき轢かれたよな

全然痛くないぞ、むしろ無傷だ」



確実にトラックと衝突した感覚はあったのに

視界に映る自分の姿は家を出た姿のまま。


何が起こったのか理解できないまま周りを見渡すと見慣れない風景。


広がる草原に青い空。


初めて見る景色に戸惑っていると後方から男性の声が聞こえてくる。




「おーい、そこでなにしているんだー!大丈夫かー?」



一矢は声に反応し後ろを振り返ると

甲冑姿の男が一人こちらに向かって走ってきてるのが見えた。


「は?甲冑?


すいませーん!何かの撮影ですか、んなことよりここはどこですか?」


一矢の問いかけの間にすぐ近くまで来ていた甲冑の男はおもむろに

腰に差していた刀を抜くと一矢に向けて振りかぶった。


「へへっ経験値ゲット」


「は? ちょっと待て!」


迷いなく振り下ろされる刀に一矢は反射的に反応し後ろに尻もちをつき

かろうじて避けることができた。


「ちっ、大人しく殺されろよ」


甲冑の男は不機嫌そうに舌打ちをし再度刀を振り上げる。


やばい、死ぬ


次は避けられないと察した一矢は目を瞑る事しかできず

トラックに続き再び死の恐怖を感じた。



だがいつまで経っても刀が振り下ろされることもなく風が吹く音だけが聞こえる。


一矢は恐る恐る目を開けるとそこには

頭部に弓矢が貫通し立ったまま絶命している甲冑の男がいた。



「うわあああああ」



目を見開き、刀を振り上げている状態の死体


ゲームとは違う(なま)の感覚が一矢を襲う。


今目の前で起きている状況が夢ではないことを実感するには充分だった。



しばらくすると視界の先から一人の男性がこちらに向かってくるのが見えた。


紺色の袴に長髪を後ろで一本に結っている、そして手には弓矢を持っていた。


きっとこの人が甲冑の男を射抜いたのだろう。


逃げなきゃ次は俺が殺される


だが極度の緊張で体がいう事を聞かず動かない。


「動け、動け」


自分の足を叩き何とか立ち上がろうとするがうまくいかない。


そうしている間に、弓の男はすぐ近くまで近寄ってきていた。


「た、助けてください!」


尻もちをつきながら後ずさる一矢の目の前まで近づいてきた弓の男は

ゆっくりしゃがむとようやく口を開いた。



「あれ、その恰好もしかして現代人?」


唐突の質問と死の恐怖から唖然としている一矢。


「どこからきたの?」


今度は優しそうに微笑みながら質問してきた弓の男に

多少緊張がほぐれた一矢は「静岡県」と返した。



「静岡県! やっぱりこの時代の人じゃないね!

ちょっと場所移して話そう!」


そう言うと一矢の手を引き強引に立たせ歩き始める弓の男。


されるがままに付いていく一矢の方を振り返り弓の男は言う。


「あ、ごめんごめん

俺の名前は大島光義(おおしま みつよし)

よろしくね!」


「あ、俺は岩森 一矢です

よろしくお願いします」


それに対し一矢が自己紹介すると光義は満足そうに前を向き

再び歩き始めた。




しばらくすると何軒かの古い建物がまばらに建っているのが見えた。

木造でかやぶき屋根。

まるでウォーステの世界で見る農民の家とうり二つだった。


「ここって・・・」


一矢がゲームと同じ光景に呆気にとられていると

光義は笑いながら言った。


「アハハ、思うことはいろいろあるだろうけど一旦俺の家に入ろう

そこで全部説明するからさ」


一矢は無言で頷き光義についていくと一軒の家に入った。


中に入ると土間があり奥に少し広い板張りの空間があり、

中心には囲炉裏がある。


光義は囲炉裏のそばに座ると一矢も座るように促し

一矢も光義の対面に腰をおろした。


「じゃあ何から説明しようかな」


光義は話す順序を考えながら丁寧に話し始めた。


一矢が転生した事によってこの世界にいること。


この世界が現実世界でプレイしていた

完全没入型VRゲーム「Warring Statesウォーリングステーツ」と

まったく同じ世界であること。


この世界には元々いる住民と一矢と同様に転生者が数多くいること。


光義も同様に転生者であること。


今いる場所は遠江国の浜名郡※現在の静岡県湖西市


そして現在は1559年5月であること。


「状況はそんなところかな

まぁなんで転生したかは誰も知らないんだけど

転生者はみんな通常のウォーステを遊ぶように生活しているね」


一通り説明を終えた光義は準備していた水を一口飲み再び話し始めた。


「実はゲームと違うところがあるんだ

俺の本名は大島光義ではないんだ」


「つまりどういうこと」


わけもわからず一矢は続きを促した。


「通常プレイヤーの名前は自由につけられたはずなんだけど

この世界では武将の名前がそのまま自分の名前になるんだ


つまり大島光義っていうのは実在した武将の名前で

織田信長の家臣だったらしいんだ」


「お、織田信長!?

でもマイナーなのかその名前は知らないな」


「確かにマイナーだよね、一応弓のスキルは使えるんだけどね」


その言葉に一矢は先ほどの出来事を思い浮かべた。


「そこで気になったのが一矢の名前・・・

結構ウォーステやり込んできたけど岩森一矢って見たことないんだよね

一矢のモデルって何者?」


一矢はそこではっとした。

ウォーステのゲーム内では自分がプレイする武将の名前で呼び合うのだが

先ほど本名を伝えてしまった事に気づいた。


「そういえば自分のモデル武将まだわからない

ステータスってどうやって見るんだ」


一人だけ本名を言ってしまった事で少し赤面している一矢に向かって

光義は身振り手振りで説明した。


「頭の中でステータスって唱えるだけで目の前に表示されるよ」


それを聞いた一矢はすぐさま頭の中でステータスと唱えた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

名前 :岩森 一矢

モデル:石川五右衛門

レベル:1

HP :30

SP :10

ATK :15

DEF :10

アクティブ【盗賊の首長】…手に触れたものの所有権を自分に変える

・パッシブ【抜忍の弟子】…俊敏性の上昇

―――――――――――――――――――――――――――――――――――



■現在地

1559年5月 浜名郡※現在の静岡県湖西市


■大島光義のステータス

名前 :大島光義 レベル:15 HP:120 SP:38 ATK:65 DEF:33

アクティブ【雲穿つ弓】…岩をも貫通する弓を放てる

パッシブ【百発百中】…50m以内の定めた標的に必ず命中 ただし盾などで防御可能

■史実の大島光義

安土桃山時代から江戸時代初期の大名。弓の名手。美濃国関藩初代藩主。姓は大嶋とも記される。通称は複数伝わるが、大島(大嶋)雲八おおしま うんぱちの名で知られる。

坂本の戦いで、信長に「白雲をうがつような働き」と賞され、命により通称を雲八と改めた。

(引用元:ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典)


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