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戦国大戦  作者: ワンコインランチ
第2章 桶狭間編
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それぞれの思惑


少しして忠勝のみが戻ってきた。


「呼び戻してすまんな忠勝」


「いや、俺は大丈夫だけど

忠次殿が何で俺だけ呼ばれるんだって怒ってましたよ」


「はは・・・あとで謝っておこう」


元康は後で面倒ごとが起こることが確定し肩を落とした。



「して元康

そやつを呼んだという事は転生者か」


義元の問いに元康が頷く。


「やはりか、氏真以外のここにいる者は転生者だ

腹を割って話そうではないか」


義元は先ほどとは打って変わってどこか柔らかい表情になった。



「父上、転生者とはなんのことでしょうか」


聞き馴染みのない言葉に唯一現地人としてこの場に残った氏真は困惑した。


「氏真様、わしが説明いたします」


雪斎は転生者とは未来の日本からおよそ500年前であるこの地に生まれ変わった者であること

義元、雪斎、元康、忠勝が本当の人格でない事、

これから起きる歴史上の出来事を知っている事を話した。



「つ、つまり父上達は影武者ということで、元康は私より年上で

先ほどの2万5千の軍が3千の軍に敗れるというのは

今川家が織田家に負けるということですか」



突然の現実離れした話に氏真は完全にパニックになった。



「落ち着け氏真、まろは転生者だがお前のことを本当の子供だと思っている

それに今川の当主として今川の為に尽くしてきた

それでもまろを信用できなければ斬るがいい」


義元は氏真の肩にそっと手を添え語り掛けた。


「父上が今までしたことは私も知っております

私にとってはただ一人の父、人格が変わっていようとも私は付き従います


それに元康!お主の歳がたとえ私より上でもお前の事は

弟の様に思っている!これからも私を・・・

今川家を支えてくれ、頼む」


氏真の目にはうっすらと涙が浮かんでいたが、覚悟が宿っていた。


「そうかそうか!それでこそ我が息子だ」


「氏真様は当主として更にご立派なされてわしは嬉しい限りです」


「もちろんです氏真様」


全ての事を信じるきることは難しいが、氏真はそれを飲み込み消化、

最終的には慌てふためくことなく理解することで当主としての器を成長させた。



「では本題に入ろうか」


少し落ち着いて後、義元は本題に入った。


「これから織田と戦うという事は桶狭間の戦いを起こすという事だ」


※桶狭間の戦い(おけはざまのたたかい)

1560年6月12日に尾張国桶狭間での織田信長軍と今川義元軍の合戦。

2万5千人の大軍を率い尾張に侵攻した今川義元に対し、

織田信長が本陣を奇襲し、今川義元を討ち取った。



「甲斐、相模との同盟がある以上敵は織田しかいない

そしてこのまま歴史通りに織田を攻めれば

まろは信長に討たれ、今川は大敗する」


義元は自らの首をさするように撫でながら氏真の事を見つめた。


「負けた後の今川家は衰退の一途を辿り

この戦国時代の生き残りから脱落する事になる」


「父上、仮に父上が討たれたとしても私が残った家臣と共に織田を討ちまする

それに雪斎と元康もおるゆえ・・・」


「松平は今川家が敗れた後独立して織田と同盟を結ぶ」


元康は氏真の言葉を遮り、実際に起こる出来事を話した。


「元康貴様!今川を裏切るのか!

ならばここで叩き斬ってやる」


元康の言葉に氏真は怒り、鞘に手をかけた。


「早まるな氏真よ

今のはこのまま普通に攻めたらの話をしたまで

まろに考えがある、その為に元康を呼んだのだ」


義元は一呼吸を置き、皆の顔を見渡してから

再び話し始めた。



「歴史通り5月に織田を攻める

そして桶狭間で信長を誘い込み返り討ちにする


史実では油断していた今川は軍として機能していなかったが今度は陣を敷き待ち構える」


義元は不敵に笑うと雪斎も釣られて笑った。


「それは楽しそうですな

しかし義元様、一つ懸念事項があります

織田側に転生者がいるとしたら当然桶狭間の事も知っているはず

逆にこちらに転生者がいる事が知られれば迎え撃たれる

もしくは尾張には攻めてこないと考えるはずです

そうなれば史実通りの桶狭間が起きる可能性は低くなるでしょう」


「そうだな、十中八九転生者はいるだろうが、

まずは間者を忍ばせつつ戦の準備を始める

陣触れを出せ、例え桶狭間が起きなければ我が大軍でそのまま織田を滅ぼすのみよ


元康、織田の調査を頼む

転生者の素性を調べるのだ」



「わかりました、では早速準備します

行こう忠勝」



義元から指示を受けた元康は忠勝と一緒にその場を去っていった。



「義元様、松平に任せてよかったのですか?」


「転生者である元康を生かしておくのは危険だ

あいつはこのまま史実通りに事を進めればいずれ自分が天下を取れると思っている

このまま素直に従っているはずがない

次の戦中に暗殺し三河の領土と厄介な家臣どもだけ

いただくとしよう」


その言葉を聞いた雪斎と氏真は義元の圧を察知し、恐怖した。

この男には決して逆らってはいけないと再認識するのであった。


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