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戦国大戦  作者: ワンコインランチ
第1章 遠江国編
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10/30

開戦

そして1週間が経ち、

いよいよ戦がはじまろうとしていた。


遠江国のほぼ中央。

井伊軍から見て左手には山が連なり、正面は盆地、右手には川と山がある。


こここそがこの戦の決戦場所である。


左側は山は伏兵を潜ませて、奇襲に使えるがその逆に奇襲を受けるリスクがある。


右側にも山はあるが川を渡る必要があるため、奇襲には不向きだ。


真っ向勝負では兵数が劣っている為、井伊軍はなにかしらの策を要さなければ

勝ち目の薄い戦いになってしまう。



そんな中一矢はギリギリまで特訓を行い、

モデル石川五右衛門と大島光義の全く違う戦い方を体に覚えさせ

更にレベルも21から23まで上げていてもう一か月前の一矢とは

全くの別人の様に成長していた。





決戦の地には約5千もの兵が集い、先頭には総大将 井伊直政

そしておよそ2キロメートル先には敵の今川軍約1万が布陣している。

兵数も装備も明らかに劣っている井伊軍の兵士たちは戦う前から不安になり、

今にも逃げだしそうな者たちが現れ、そしてその不安は波の様に他の兵にも伝わっていた。



「みな聞け!」


直政は馬の向きを反転させ自軍の兵たちの顔を見渡した。

直政のその行動に逃げだしそうな者、震えている者

全員が彼の言葉を聞こうと耳を傾けた。



「今川の兵は我らの倍、決して簡単に勝てる数ではない

だが、我ら一人一人の強さは奴らの何倍もあると信じている


我らがここで逃げれば土地、家族、財産、全ての物を奪われる

そんなことは絶対にさせない

我らの故郷、そして大切な者を守るために必ず勝たねばならない!


皆、力を貸してくれ!

死んでもここから先へは誰一人通さん!」


直政の激にこれまで混乱していた軍が一まとまりになるのがわかった。

そしてそれと同時に地響きがするくらいの雄たけびが上がった。



「全軍突撃だああああ!」


「おおおおおおおおおおお!」


直政の掛け声とともに5千もの兵が一斉に走り始めた。


「すごい、これが井伊直政」


一矢は直政のリーダーシップ、大将の器を感じ呆気にとられた後

少し遅れる形で進軍を始めた。




一方、今川軍は左右にVの字型に展開した鶴翼の陣で井伊軍を迎え撃つ形をとった。



「きましたな」


今川軍の最後方には小高い所で井伊軍を見つめる黒衣の僧 太源雪斎と

総大将 今川義元がいた。


「たかがあの程度の数でこの義元に挑むとは阿呆ばっかじゃの、ホッホッホ」


扇子を片手に余裕の表情の義元はまるでリビングでテレビを見るようにくつろいでいた。


「はい、先日井伊軍幹部の大島光義含む数人を暗殺し事前に敵戦力の低下を確認

幹部が減った井伊軍は少しつつけば敵は一気に壊滅するでしょう」


雪斎の言葉に反応した義元は先ほどまでリラックスした表情とは真逆の

鋭い眼光を雪斎に向けた。

その威圧感は手練れの雪斎ですら体が硬直するほどであった。


「雪斎、壊滅ではだめに決まっておろう

殲滅じゃ、一人残らず殺せ」


「はっ」


雪斎はその場を離れ、軍の指揮官の元に向かった。

鶴翼の陣、Vの字のちょうど下の部分

そこに重臣、岡部(おかべ) 元信(もとのぶ)がいた。


「これは雪斎殿、いかがなされた

雪斎殿がわざわざ出張らなくともこの岡部元信が井伊直政を

討ち取ってみせますぞ」


「殿が殲滅をご希望されておる

敵は魚鱗の陣、先陣が総大将井伊直政だ

頃合いで合図を出し左右の隊は中央に寄り敵を挟撃する形を取れ


わしは300を率い山に入る」



「殿のご希望であれば必ず叶えねばなりませぬな

ここは私のお任せを」


元信の返事を受けると雪斎は後方から300の兵を連れ、

向かって右側の山へと姿を消した。



「ふふ、井伊直政、誰一人生きて帰れると思うなよ」


元信は雪斎の後姿を横目に不敵に笑った。



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