マタイによる福音書第2章 イエス幼少期02
こうして三人は、長い旅の末にエジプトの地へとたどり着いた。
異国の言葉、異なる風習。
すべてが見慣れぬものであった。
それでもヨセフは、小さな住まいを見つけ、仕事を始めた。
木を削る音が、静かに響く。
トン、トン――
マリアが言う。
「……少し、安心しましたね」
ヨセフは手を止め、うなずく。
「ああ。ここなら、しばらくは大丈夫だろう」
マリアは幼子を見つめる。
「この子も……穏やかに眠っています」
ヨセフはその様子を見て、やさしく微笑む。
「よかった」
その頃、ユダヤの地では――
王であった
ヘロデ大王が、ついに息を引き取った。
その死とともに、彼の怒りもまた終わりを迎えた。
ある夜。
ヨセフは再び夢を見る。
光の中に、御使いが現れた。
大天使ガブリエルである。
「ヨセフ」
ヨセフはすぐに応じる。
「……御使い……」
御使いは静かに告げる。
「起きなさい」
「幼子とその母を連れて、イスラエルの地へ帰りなさい」
ヨセフは息をのむ。
「……帰るのですか」
御使いはうなずく。
「幼子の命を狙っていた者たちは、すでに死んだ」
ヨセフは深く頭を下げる。
「……分かりました」
翌朝。
ヨセフはマリアに告げた。
「帰ろう」
マリアは静かに驚く。
「イスラエルへ……?」
「ああ。もう危険は去った」
マリアは微笑みながらうなずく。
「……はい」
こうして三人は再び旅に出る。
エジプトを離れ、イスラエルの地へ――
だがその途中、ヨセフはある知らせを聞く。
「……ユダヤの地は、まだ安心できないかもしれない」
マリアが尋ねる。
「どういうことですか?」
ヨセフは答える。
「ヘロデの後を継いだのは、その子――」
それは
アルケラオスであった。
「彼もまた、厳しい統治をしているらしい」
マリアは少し不安げに言う。
「……では、どうするのですか?」
ヨセフは考え込む。
その夜。
再び夢の中で御使いが告げる。
「ユダヤを避け、ガリラヤへ行け」
ヨセフはうなずく。
「……はい」
翌朝。
ヨセフは言った。
「行き先を変える」
「ガリラヤ地方へ向かおう」
マリアは静かに答える。
「あなたに従います」
やがて三人は、小さな町へとたどり着いた。
その名は――
ナザレ。
ヨセフは周囲を見回す。
「ここに住もう」
マリアは穏やかに微笑む。
「……はい」
こうして幼子はナザレで育てられた。
人々は彼を、やがてこう呼ぶようになる。
――ナザレの人。
そして幼子は成長し、強くなり、知恵に満ちていった。
神の恵みは、その上にあった。
学校がキリスト教で俺はそういった行事を取り仕切る委員会の副委員長だから若干一般人よりも聖書を読んだことがある。




