マタイによる福音書第二章 イエス幼少期01
すいませんボランティア活動してたら話かくの遅れました…
数日後、エルサレムの宮殿。
王座に座る
ヘロデ大王の前に、家臣がひざまずいていた。
「陛下……」
「……博士たちは、戻りません」
ヘロデの表情がゆっくりと歪む。
「戻らない……だと?」
「はい……別の道を通って帰ったようです」
沈黙。
やがて低い声が響く。
「……騙したな」
側近が恐る恐る言う。
「いかがなさいますか……?」
ヘロデはゆっくり立ち上がる。
その目には冷たい怒りが宿っていた。
「その子を……見逃すわけにはいかぬ」
「しかし、場所は――」
「分からぬなら、すべて消せばよい」
側近が息を呑む。
「……すべて、ですか……?」
ヘロデは冷たく言い放つ。
「ベツレヘムとその周辺の――二歳以下の男の子を、全てだ」
空気が凍りつく。
「それで、王は一人も残らぬ」
そのころ――
夜の静けさの中、ヨセフは再び夢を見ていた。
光の中に御使いが現れる。
それは
大天使ガブリエルであった。
御使いは急ぐように告げる。
「ヨセフ」
ヨセフは目を見開く。
「……御使い……?」
「起きよ」
その声は以前よりも鋭かった。
「幼子とその母を連れて、すぐに逃げなさい」
ヨセフの表情が変わる。
「逃げる……?」
御使いは続ける。
「エジプトへ行け」
「ヘロデが幼子を探し出して、殺そうとしている」
ヨセフは息を呑む。
「……そんな……」
御使いは強く言う。
「ためらうな。今すぐだ」
ヨセフは力強くうなずく。
「……分かりました」
ヨセフは飛び起きる。
「マリア!」
マリアが目を覚ます。
「……ヨセフ……?」
「すぐに出発する」
彼の声は落ち着いているが、緊張がにじんでいた。
「どうしたのですか?」
「夢で告げられた。危険が迫っている」
マリアは幼子を抱きしめる。
「……この子が……?」
ヨセフは静かに言う。
「ああ。狙われている」
一瞬の沈黙。
マリアは強くうなずく。
「……行きましょう」
ヨセフはロバの準備をしながら言う。
「夜のうちに町を出る」
「なるべく人に見られないように」
マリアは子を包みながら答える。
「はい」
外はまだ深い夜。
ヨセフは手綱を握り、振り返る。
「準備はいいかい?」
マリアはしっかりと答える。
「大丈夫です」
ヨセフは小さく微笑む。
「必ず守る」
そして静かに付け加える。
「あなたと、この子を」
こうして三人は、誰にも知られぬまま
闇の中へと旅立っていった。
行き先は――エジプト。
その頃、
ベツレヘムでは、
静かな夜が破られようとしていた。
兵士たちの足音。
泣き声。
そして――
取り返しのつかない悲劇。
だがその中で、一つの命は守られた。
小さな命、やがて世界に光をもたらす存在。
その歩みは、まだ始まったばかりであった。
赤子は親の手の中で、優しさにつつまれて眠りへと誘われた。
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