マタイによる福音書第二章 イエスの誕生秘話07
それから数刻たった時のことである。
遠い東の国。
夜空を観測していた学者たちがいた。
人々は彼らを「博士」あるいは「賢者」と呼んでいた。
その一人が空を見上げて言う。
「……見えるか?」
隣の博士が目を細める。
「新しい星だ」
もう一人がゆっくり頷く。
「ただの星ではない」
三人は星図を広げる。
「この位置……」
「ユダヤの方角だ」
「つまり……」
最年長の博士が静かに言った。
「王が生まれた」
若い博士が驚く。
「ユダヤの王ですか?」
年長の博士は空を見上げる。
「星がそれを告げている」
そして決意したように言う。
「行こう」
「どこへ?」
「王に会いにだ」
数週間の旅ののち、
博士たちはエルサレムへとたどり着いた。
そこにはユダヤを治める王がいた。
それが
ヘロデ大王である。
宮殿で博士たちは尋ねた。
「ユダヤ人の王として生まれた方はどこにおられますか」
宮殿の空気が一瞬止まる。
ヘロデはゆっくり聞き返す。
「……何だと?」
博士は続ける。
「私たちは東でその方の星を見ました」
「そして拝みに来たのです」
ヘロデの目がわずかに細くなる。
「……星だと?」
博士はうなずく。
「はい」
ヘロデはしばらく黙り込む。
そして側近に命じた。
「祭司長たちと律法学者を呼べ」
やがて学者たちが答えた。
「救い主は――」
「ダビデの町、ベツレヘムで生まれると預言されています」
その町は
ベツレヘムであった。
ヘロデは博士たちを呼び戻す。
そして穏やかな声で言った。
「その子を見つけたら、私にも知らせてくれ」
博士たちは頭を下げる。
「はい、王よ」
だがヘロデの目には、冷たい光が宿っていた。
夜。
博士たちは町を出た。
すると再び――
あの星が現れた。
若い博士が驚く。
「見てください!」
「星だ!」
年長の博士は静かに言う。
「我々を導いている」
星はゆっくりと進み、
やがて一つの家の上で止まった。
博士たちは互いに顔を見合わせる。
「ここだ」
扉を開ける。
中にはマリアとヨセフ、そして幼子がいた。
三人の博士はひざまずく。
「お会いできて光栄です」
一人が箱を差し出す。
「黄金を」
もう一人が言う。
「乳香を」
最後の博士が静かに置く。
「没薬を」
ヨセフは驚きながら言う。
「あなた方は……」
年長の博士は微笑む。
「遠い東から来ました」
そして幼子を見つめる。
「この子は王です」
マリアは静かにその言葉を聞いていた。
博士は最後に言った。
「星が私たちをここへ導いたのです」
その夜、博士たちは夢を見る。
そこに御使いが現れ、告げた。
「ヘロデのもとへ戻ってはならない」
博士たちは翌朝、別の道を通って帰っていった。
だがその頃――
ヘロデの心には、暗い怒りが燃え始めていた。
幼子イエスを巡る物語は、
ここからさらに大きく動き始めるのであった。
こんな一瞬で東の国から移動できる博士化け物やろ




