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弱さ

ちょっとした普通の回です。特に展開が動く訳でも無い。ただただ普通の回です。






 

「なんじゃこりゃ? どんな無茶したらこうなるんだよ。あと石で腹の穴塞ぐなんてどこで習ったんだ?」



 町医者のタクマ。 かなり嫌味な面倒な男だ。


 ここは小さな病院でありながらも地下にそれなりの医療器具を隠し持っているため高度な治療ができる。もちろんタクマの腕もあるが。因みに医者とは思えない強面の髭面で、白衣を脱げばそっち側の人間と思われても仕方がない風貌。


「タクマさん? アイツはどんぐらいで退院できるん? 」


「あ? そうだな。お前の骨までこんがりしてた全身火傷が6日で治ったから、まあ半日位で治るのが普通だな。ギアのファントムならそんなもんだ」


「あ〜やっぱそんなもんなんのね」


「なんっ、だ・け・ど・・・ちと問題があってな。まあ後で話すわ。おいアスカ! 」


「えっ、あっはい!」


 急に話しかけられたアスカは少し詰まって返事をした。


「お前、合法戦闘許可試験一級試験受かったらしいな? 」


「はい、ミコトくんのおかげで」


「よし、じゃあ分かるな? ファントムの他の生物にはない最大の特徴はなんだ?」


「はい・・・、






【精神状態の変化で戦闘能力が上下する】です」




「正解だ。まあほぼ一般常識だけどな」


 タクマは、アスカとミコトとサキのファントムとしての情報などがかなりこと細かく書いた資料を机の上に広げた。


「あのサキって子の怪我はファントムからすれば大したことねぇ。なんで・・・ついでにお前らの健康診断の結果と、ファントム情報の更新結果。あの子の取り扱い書のまとめをこの場で全部伝えるから耳の穴かっぽじって聞けよ。ほら綿棒やるから」


 タクマは二人に綿棒を渡す。


「あ、まじで今から耳掃除するのね 」


 アスカとミコトは言われた通りに綿棒で念入りに掃除してからタクマの話を聞く体制に入った。


「とりあえずお前らはくそ【腹立つ】くらい健康そのものだ」

「タクマさんその、【腹立つ】が余計だって」

「うるせぇなぁ。黙って聞けよ。これに関しては特に言うことねぇから省略するぞ」


 医者を名乗っている人間とは思えないほどの大雑把で細かい所を省いた簡単な話で健康診断の結果を説明し終わる。


「次にあれか・・・ミコトはまあアレとして、アスカはまだ自分のファントムの情報ちゃんと聞いた事ねぇだろ?」


「はい。自分のは詳しくは聞いたことないです」


「よし、ミコトのと比べながら短く話すぞ。よく聞けよ?1回しか言わねぇからな。めんどくせぇから」


 タクマは、アスカとミコトの資料を指さしながら話を続ける。


「まずお前らの攻撃性だ。これはシンプルに筋力なり能力の出力なりに直結してる。数値はアスカとミコトは同じぐらいだな。


 だがモチーフの動物が全身筋肉の塊なワニなだけにパワーはミコトの方が上だがな。


  だが能力の出力はアスカの方が上だ。よって技の火力はアスカの方が上 」


 ミコトが少し不満げな顔をし、アスカがミコトに得意げな表情を見せる。


「次に意志の強さだ。こいつは皮膚の硬さに直結してる。これも数値は大体一緒だな。勿論ワニの方が皮膚が硬いに決まってるからミコトの方が頑丈だ」


 ミコトがアスカに得意げな表情で胸を張る。だが当の本人は特に相手にしていない。


「最後に生への執着。これは自己再生能力に直結してる。は? なんだお前ら。仲良すぎて気持ち悪いぞ。これもほぼほぼ一緒だな」


 そのあと二人は自分達の、技の特徴、戦う時の立ち回り方、得意不得意などをわかりやすくも大雑把な説明で教えられた。

 

「取り敢えずこんなもんだろ。さてと・・・


  今の踏まえてサキって子の資料をみてみろ。







 



攻撃性がお前らの1.5倍。


意志の強さはお前らの3分の2。


生への執着に至ってはお前らの半分以下だ。



 そもそも皮膚の硬いギアがルーザーの攻撃で怪我するなんてそうそうないんだよ。お前らなら、ただのちょっと痛い腹パン程度のダメージで済んだはずだ。後、さっき半日って言ったがあの子の場合は丸々1日はいる。これはかなり遅いぞ」


 二人はかなり驚いている。中でも生きる意欲が自分達よりも大分低い事が、二人にとってかなりショックだった。



「サキの技だが、当たれば即死級の技が二つもある。かなりおっかねぇな。だがもう一つの技がとんでもない欠陥技だ。いくらパワーとスピードが大幅に上がるとは言えども、手足があんな事になるんだからな」


 タクマが、サキの技の概要欄の一番下。




【トリダクナ・マキシマム】を指さして強い口調で二人に伝える。




「いいか、この技は【ハイリスク・ハイリターン】だ。受ける恩恵はデカいがその分反動がバカでかい。なんせ、手足の血液が沸騰するほど体温が上がるんだからな。しかもあれでもまだリミッターをかけてる方だ。もし本気で使えばもっと酷いことになってるぞ。




 この子は、タダでさえ再生能力が低いし皮膚も脆い。この技は2度と使わせるな。冗談抜きで自分の技に殺されるぞ 」



「・・・、分かった。2度と使わせない」


「あーそうだ、おいミコト」


「・・・? 何タクマさん?」


「レンから聞いたが、サキを勧誘してたらしいな」


「勧誘したのは俺じゃないよ・・・」


「ふーんそうか。で、この子はどうするんだ?面接試験は不合格か?」


「いや・・・、








 取り敢えずお試し期間って事で受け入れるよ。終身雇用にするかはわかんねぇけどね。



 まあ俺はこいつ嫌いだけど、ほっとけないしね」


 アスカが嬉しそうにしている。横目でミコトを見ながら笑うアスカは少し子供に戻っているようだ。



「よし、よく言った。なんかあったら責任とれよ」


「いや〜責任は取れないけどね(笑)」


「クソだな 」




  ※※※※※



 

後日サキが退院した。付き添いに二人が迎えに来た。相変わらずミコトは素直ではなく、アスカを使ってサキに壁を作って3人並んで家路を通って行った。



 サキが元々使っていたネットカフェは、


【何故か】休業したので、取り敢えずその日はミコト達の家で過ごす事になった。


 


長くなりそうだな。

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