戦うために生まれた。
ここから筆を進めるのが辛い。それでも本当の鎖切を知って欲しいから心を鬼にします。僕のことは嫌いなっても僕のキャラは嫌いにならないで下さい。
夜の誰もいない街。いるのは160体ほどのルーザーのファントムの集団。そしてサキとアスカと復帰したばかりのミコト。ルーザーの見た目は本当に醜悪だ。
「もぉ〜!! 復帰早々これはないでしょ!!」
「仕方ないじゃないですか! 今日しかないって言ってたんだし 」
何故、街中に人が誰もいないのか。これ程までルーザーのファントムの群れがいるのか。
これは約半年に1度、行われる掃除だ。
ルーザーのファントムは自我を失った殺人マシーンであり、いつもは人気のない地中の中や廃墟などで何もせずただじっとしている。だがふとスイッチが入るといきなり人通りに現れて、通り魔的な大量殺戮を行う。
他の動物とは違い捕食の目的などは無い。目的は一つ・・・【殺戮】 、ただそれだけ。空腹感も感じないため、放っておいても彼らは1年もすれば餓死する。
しかしファントムになる人間の数は年々増えている。こうやって夜に掃除しなければ街はファントムで溢れかえってしまう。自我が残ったギアとテイマーとジェミニならまだしも、これが街に溢れかえるのは非常にまずい。
そのため予め人間達を別の場所に避難させておき、このポイントにファントムを呼び寄せる匂いのするガスを充満。寄ってきたルーザーを処理する。
「それで!! なんで俺たち3人だけなのよ! もっと呼べなかっかたの!?」
「人手不足!!ってだけ言われました」
「そこで納得しちゃダメでしょアスカちゅん!!」
「やっぱり粘った方が良かったですか?」
「そりゃそうでしょ!! 絶対明日の朝までかかるよこれ!! 俺これでもまだ完治してないんだけど!」
そう言いつも次々とルーザーを薙ぎ払っていくミコトと、高速の動きで置き去りにして背後からの一撃で次々とルーザーを仕留めていくアスカ。
「はぁー・・・ゲームクリア」
ボウガンモードの彼女の武器から放たれる黒い光線は何匹もの敵を通り抜け、喰らったもの達は氷漬けになる。サキはかなり退屈そうだ。さっきからこの技ばかり出している。彼女は手早く終わらせたいらしい。
街の被害を考えて大技を出さずに1匹ずつ仕留めていくミコト達を尻目にサキは効率よく1度に5、6匹程仕留めていく。
「ちぇっ・・・あいつのおかげで案外早く終わりそうだな」
「ミコトくん、いい加減サキさんの事、毛嫌いするの止めませんか。きっとミコトくんが完治してないのが気になって僕らに付いてきてくれたんですよ」
「アスカちゅん考え過ぎ! あいつにそんな素敵な良心があってたまるかっての」
「はァ〜 もういい加減僕怒りま・・・」
感覚器官の鈍いミコト以外の二人は気づいた。
逃げ遅れた人間がいる。
「ミコトくん!! 東の方に人がいる!! 人間の匂いがする!」
「はァァ!!? 嘘だろ!? 1ヶ月前から告知してたし、今日の昼間だってあんなに放送してたじゃん!! 何やってんだよクソ!!
アスカちゅん案内して! 俺が通路開けるから!」
3人は東側に向かう。先頭にはサキ。スタミナを考えずに飛ばし過ぎだ。しかも明らかに二人から離れ過ぎている。
「サキさん!! 先行し過ぎです!! 一人で突っ込まないで!! 」
「おいバカ!! 俺らから離れんな!!
おい!! お前聞いてんのかよ!!」
「…………………………………!!」
戦いを子供のように楽しむ顔、
平常時をつまらなそうにしている顔、
今の顔はそのどれでもない。
彼女は焦っている。顔に余裕がなく、冷静さを欠いている。
「あーもう!! 言っても聞かねぇなあいつ!」
ミコトが前方の敵を銃撃で始末して、道を開ける。
「ミコトくんいた! あそこ!!」
囲まれている。独り身の老婆だ。腰が抜けたのか立ち上がれずに震えているだけだ。
「ブレイガン! ブルータスだ!」
銃口からの6つの青の光弾が老婆を囲んでいた。ルーザーを蹴散らす。弾丸の発生源にルーザー共が一斉に向かう。ミコトは上手く奴らの注意をこちらに仕向けさせた。
「アスカちゅん。俺一人で十分だ。アイツと一緒にあのばあちゃんを安全なとこまでよろしく!」
「はい!!」
アスカとサキは大きく跳躍しルーザーの群れを飛び越え老婆の元へ向かう。
「荒くれ者共。まとめて料理してやるよ 」
ルーザーではキラーホエールから受けたダメージが完治していない、と言えどもミコトの相手にならない。まるで赤子扱いされるように蹴散らされていく。
「焼き加減言えよ? ま! ウェルダンしかないがな!!(笑) もっかいブルータスだ!!
長期休暇の遅れを取り戻そうぜ! ブレイガン!」
ミコトがかなり生き生きし始めた。敵を始末するスピードが一気に早くなった。更にそれなりの大技を使っているのに路面に傷を入れない。
老婆の元へ向かうサキとアスカ。さっきの一撃で周りのルーザー達はミコトにしか眼中に無い。
ルーザーの数も、もうしれている。この仕事はもうすぐ終わる。
だが、予想外の事が起きた。老婆のすぐ目の前の地面から全身赤色の、目の所から腕が生え、腹から複数の眼球が覗く醜悪なルーザーが現れた。
まだ距離が離れすぎている。3人の中で1番足の早いアスカでも、とてもじゃないが間に合わない。
右腕から爪が伸び、老婆の体を引き裂かんとそれを振りかぶる。
(させるか!! 絶対助ける!!)
アスカの全力。余りの速さに路面が剥がれる。機械の足のブースターから青の炎が吹き出している。しかしそれでも・・・、間に合わない。
そしてアスカの耳の中に響く・・・、
肉が引き裂かれる音と
地に落ちる鮮血が落ちる音。
「・・・えっ?」
だがそれは老婆のものでは無い。さっきアスカが追い抜いたはずのサキだ。何をしたのか全力のアスカを追い抜いた。
そして老婆を庇った。腹を破かれルーザーの腕は手首まで入り込んでいる。彼女は吐血し、膝を付いた。
「サキさァァァん!!」
サキは腹の中で腸をも探られる感覚と、激痛を通り越した熱さに近い痛みに意識を飛ばされそうになった。だがその刹那、何故か思い出す過去の記憶・・・。
戦争と言う名の命のやり取りをテレビ画面越しに見た時、心が震え、自分もあの世界で暮らしたいと願ったあの日。
強姦にわざと襲われることによってルーザーファントムになり、そのままその男を殺した記憶。
頭の中で語り掛けてくるもう一人の自分の首をへし折り、ギアに進化したあの時。自分の姿を見た時の高揚感。
(・・・私のいる場所はここだ。私は…………………………、
戦いの世界で命をかけたい。あの場所で生きたい)
ルーザーの腕を捻り回しちぎり取る。そして片手鎌を後頭部に突き刺し、その者の命を絶つ。
彼女は腹に大穴が空いたまま立ち上がった。血を垂れ流し、腹からは腸が飛び出している。そのまま地面に・・・
バアァァァン
その行為により、夜の街に少し高い音が響いた。
訂正しよう。彼女の腸は腹の中に戻った。
あろうことか、腸を鷲掴みにし、元の場所に無理やり戻した。
そして、路面の砕いた大きめの石を避けた腹にねじ込み穴を塞いだ。
彼女はこの程度で止まるはずはない。
何故なら彼女は…、
戦う為に生まれてきたのだから。
「…………………………………ふふ、……ふ……っ……………………ははははは…………………………はははははははははは!
あぁぁぁハッハッハッハっハッハッハッハ!!!」
高笑いする彼女の欲望の器は狂気に満る。
今宵は満月・・・。月は少し赤みがかっている。
狂犬は月が満ちた夜に目覚める。
彼女の口の頬は横に開く。まるで虫のようだ。
赤みのかかった煙が彼女の右腕、右足、左足から上がる。
「ギィィィィヤァァアァアァァアァァァァ!!!」
彼女の雄叫びは街にそびえるビルの窓ガラスを割っていく。赤い煙は夜の闇を侵食していく。
「なんだよ・・・あれ。 おいお前何やってる!!?
その怪我じゃ無理だ!! もう戦うな!!」
「私に・・・、指図するなァァァ!!!
ウウオオォォォォォォォォォォ!!!!」
まるで獣だ。雄叫びを上げ、そこに理性が入り込むスキはない。命の危機を楽しみ。そこに生きる歓びを感じる。これが彼女の生き方だ。
そこからの彼女の戦いは余りに衝撃だった。
首をねじ切り、背骨を抉りとり、手刀で上半身と下半身を切り離す。容赦なく敵の腸を夜の空にぶちまけ、股から引き裂き次々とルーザー達を解体していく。虫のように開いた口が敵の肉をえぐりとる。
アスカ達は何度も止めようと手を伸ばしたが余りの速さと怪力に二人は彼女に触れることすら出来なかった。
そのまま全てのルーザーをただの肉片に変えてしまった。幾つもの命を快楽と共に奪う彼女はそこにいた誰よりも恐ろしい怪物であった。
「はァ、はァ〜はァー」
息を切らし、虫の口は元に戻り、彼女から吹き出ていた赤い煙は消えた。
地面に大の字で寝転がり、自分の手で肉を割いた感覚を思い出す。心は高揚感に溺れていく。
「ふふ、はは・・・、
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!
あぁぁハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!! 」
彼女はその夜1晩中笑い続けた。アスカはそれを尻目に救急車を呼んだ。
ミコトは彼女を哀れだと感じ、何故か・・・、
この少女の手を離してはいけない。
・・・、そう思った。
ここから鎖切の掘り下げに入ります。最初に言っておきます。
覚悟しておいて下さい。




