青空になる
きた・・・、来たんだよこの時が、こいつをつくるために配色の勉強をして造形と能力も徹底的に考え込んで作り上げた。
あと出したいキャラは一人。だがこいつの為に作りこんだ演出をやりきる為にこの一人に集中する。
彼は自らの欲に縛りを設けない。ファントムとなり力を得た彼は縛りを嫌いルールの鎖をすべて切ってしまった。
彼は自分は究極の自由の中に存在するのだ思っているのだ。
だが……、自由とは他人に害を与えない範囲内での行動であり、彼がもしこれからどのような存在になろうと尊い命を踏みにじるなど絶対に許される訳はない。
彼に命を奪われた人達、
彼によって大切な人を奪われた人達、
彼らはこの悪行を許す事は決してありえない。
そう、彼女もだ。
「!! 何んで!!?」
カナタがファントム体になる事によって生まれた副産物の黒い煙から小さな光が一瞬顔を出した。
そしてその小さな光は彼の瞬きが終わり切る前に
煙を、消し去る。そしてカナタの手からいつの間にか所長が消えている。
煙の中から現れる長い白髪の車椅子の少女。
牙をむき出しにし長い髪の毛は逆立っていく。その目には闘志が宿る。
彼女を包む夜の空に浮かぶ星のようないくつもの光はまるでダイヤモンドダストだ。
いつカナタの手から取り戻したのか、所長が星の輝きを吹き出す少女のすぐ横に立っていた。
皆様はきっとお気づきだろう。
彼女もまた人を外れた存在、彼女の正体は……
「サイガアァァァァァァァー!!!! 」
「!! か、カナちゃん?」
サイガからあの光が消え元のあどけない少女の顔に戻った。
「何馬鹿な事してるんだよ! 所長もマナも、
お前も!!!! 早く逃げるぞ!! 」
カナが、サイガを怒鳴りつけたかと思えばそのまま車椅子の彼女を荒々しくカナタの元から遠ざけた。所長とマナもカナ達に付いていく。所長の足元がおぼつかない。足を怪我したのかもしれない。
カナタが4人を追いかけもせず一人で考え込み始めた。
「テイマーのファントム・・・か。 ふん!
三種族中、最弱。弱点だらけの出来損ないのファントムになるなんて、何とも哀れな少女だね。
でも、随分と可愛らしかったな・・・ウフフフ
綺麗な顔だ。しかも両足が不自由なんて素晴らしいじゃないか。彼女の苦しむ声が聴きたいなぁー。今日は良作に出会えて僕は上機嫌だよ(笑)
どうせギアの僕には勝てないんだ・。
飽きたら、そうだなぁー・・・まあいいや捕まえてから考えようか (笑) 」
※※※※
「ねえカナちゃん」
「…………」
全力で廊下を走る3人。カナはサイガの応答には答えない。
「カナちゃん……………、私なら、アイツに勝てる」
目に涙を浮かべるカナ。車椅子側からこちらを見つめるサイガとは目を合わせようとはしない。
「私思うんだ。嫌な人だったけど、お父さんを殺して、児童施設に連れかれた。でも神様は私に力をくれた。
きっとこれは罰なんだよ。
お父さんを殺したのは私の消えない罪。
私が今、化物として生きてるいるのは罰なんだ 」
車椅子の手押しハンドルを握る力が強くなっていくカナ。目に滾る熱い物を留めておくことが出来ない。
「私は人間じゃない」
「…………………………………、違う! 」
「私は人を殺して、それでものうのうと生きている」
「違う!」
「でも、この力は誰かを守る事だって出来るんだよ。だから私は!」
「うるさいィ!!! もう黙ってろ!!!! 」
涙を堪え、溜め込んだ感情が吹き出し、声を荒げるカナ。
その瞬間、すぐ前方の間仕切り壁が砕ける。
本当に醜悪な男だ。壁の中からカナタが出てきた。無論不快極まりない満面の笑みでだ。
「やあ!可愛いお人形さん。ねえおじいちゃん?その子達、僕に頂戴よ?」
「止めなさい!! カナタ!もうこれ以上! 」
「は〜いはいはいはい!老害は〜黙る!(笑) 」
当然だが、人間とはかけ離れた速さで自分の肉親である所長に蹴りを入れる。膝を崩して倒れてしまった。気を失っている。
「言っとくけど僕はおじいちゃんの辛い辛〜いしてる顔が好きなんだよねぇ〜。今の幸せボケしてるあんたになんてなんて何の関心もモテないね(笑)」
「お前!! 私達の所長をいじめなよ!!」
「まじ最低・・・Butterflyから出ていけ!
所長に謝れ!!! 」
「…………………………………ふざけるなよ。
黙れガキ!!! 一人きりじゃ生きていけない癖に、この僕に指図するな!!!! 」
器の小ささを証明するように、少女達に罵倒されただけで感情が爆発するカナタ。
「生きて持って帰るのは止めだ・・・2匹と、そこのテイマーのファントムも一緒に僕の考えた1番惨たらしい殺し方でおじいちゃんの真横に置いてあげるよ!!! 気分が悪い!!」
激怒したカナタは腕の爪をカナ達に向けてゆっくり歩き出した。その顔は先程の笑みとは程遠い怒りの表情。
「何がファントムだよ……ファントムはお前だけだ 」
カナが下を向いたままそう呟く。
「ん?何言って、
ああ〜なるほどね。 そういう事か(笑) 」
突如カナタに余裕の表情が見えた。
「何がおかしい!」
「そこの車椅子の子はね……それはそれは醜悪なテイマーファントムさ。テイマーってのは本当に気持ち悪い見た目してるからね。ルーザー並に(笑)。おまけに弱い。出来損ないのクズ……」
「サイガは人間だ!!! クズはお前だろォ!!」
思わぬ反撃を浴びる。再び彼の顔から薄気味悪い笑が消えた。
「…………………………………、君は本当に可愛くないな。イライラする。いいよ、まずは君からだ」
彼の顔に影が落ちた。ゆっくりとカナに歩み寄る。
だがそれを決して許さない勇敢な少女が一人。
「私の友達に………………近づくな!」
カナタに右手を飾し光る粒子の光弾を放つ。
光弾が直撃したその体は外壁を突き破り、建物の外に吹き飛ばされた。
「痛い!!痛い痛い痛い!! クソ!!雑魚のテイマー如きが!! この僕に傷を!!」
完全に沸点に達したカナタの次の行動は一つ。自分の思い通りにならはない物すべて吹き飛ばす。子供を通り越したその幼稚な思考故にこの行為にたどり着くのに数秒もかからなかった。
カナタの頭が蕾が花開くように開き、巨大な赤の光弾が作られていく。この男、目の前の物すべて吹き飛ばす気だ。
サイガはゆっくりと車椅子を進めそのまま豪雨が降りしきる曇天の空の下に出てきた。
雨に濡れる純粋無垢な少女。それを視界に入れた瞬間、カナタは怒りの一撃を放った。
その刹那、後ろを振り向く。
優しい笑みでその決意と想いを二人に伝えた。
「カナちゃん!! サナちゃん!!
だぁぁぁぁぁぁい好きぃ!!!!!
こんな私だけど・・・アイツに勝つ!!
私は負けない。 負ける気がしない!
だから大丈夫! 心配なんかしないで!!
戻ってくるから!! 必ず!!」
赤の光弾は着弾し、上がる黒煙。
全てを飲み込む。何も見えない。
まるで太陽を隠すこの曇天のよう。
「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ。
あっはハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!
ザァァあぁぁぁぁあぁぁぁコォォォォォォ!!
テイマー如きが!! ギアの僕に勝てるわけないだろうぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
歓喜の雄叫びを上げる3歳児。雨に振られ髪の毛はいつも以上に見るに耐えない。
その雄叫びも雨の音でかき消されている。
だが、ーー雨とは、いつか消え去り。
そのあとは……、青空になる。
曇天に裂けみが生じ、日の光が黒煙に降り注ぐ。
初めに見えたのは、ダイヤモンドダストの巨大な壁。次に見えたのは無傷の彼女が帰る場所【Butterfly】。
3歳児の顔は無言のまま驚愕へと変わって行く。
雨は、顔を出した太陽を前に消え失せる。
日の光が降り注ぐ空の下、現れたのは守護者。
「そんな、馬鹿な!!? こんな、
こんな形状のテイマーはありえない!! 」
一瞬言葉を失うカナ。だが視界に入る彼女にその感じた感慨は無意識に外に出ていた。
「サイガ………………………………綺麗 」
西洋龍……。
そしてその背を制する勇士のように女性の上半身のシルエットが融合している。そのカラーは漆黒だ。深い闇のよう。
だが、それを青と白が交差する獅子の鎧が包む。
重量に逆らう長い髪は白に変わりまるでライオンの鬣のようだ。黒のバイザー奥の瞳に目が合うものを焦がすような熱い魂が宿っている。
「よ、鎧のテイマーだと!!!? そんなの!!
そんなの聞いたこともない!!!!!」
竜騎士と言うイメージを持つかもしれない。だがそれは違う。
彼女はおとぎ話のように世界を守るのではなく、もっと身近な物の為に戦おうとしているのだ。
カナとマナの目には彼女は、テレビの中で現実にいないことは分かっていても憧れてしまったヒーローのように見えた。
何故なら彼女の体は金でもなければ銀でもない。
青空の色をしているのだから。
文字数そんなに多くないのに疲れたぜ(汗)
でもヒーローの登場はやっぱりかっこよくないと・・・、




