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聖剣に転生したんだけど  作者: たぬたろう
第三章 物語が動き始めるんだけど
20/26

第二話 魔物大発生なんだけど

*前回のあらすじ*


 アルフとマリオが帰ってきたけどなんかお客さんが来て嫌な予感がするんだけど

 ホタルの案内で現れたのはギルドの職員だった。

 あの時のおねーさんではなく別の人だ。

 何度かギルドで会った事はある。

 そういやあの時のおねーさん名前なんつぅんだろ?


「お寛ぎの中、申し訳ありませんアルフ・カグラザカ様、マリオ・ウルト様、ササ・アースガルズ様。私はギルド職員のメリー・クラウドと申します。」

「えぇ。それで今日はどういう御用で?」


 アルフちゃんが軽く聞いているが凄い神妙な顔をしている。

 うん、これ結構危険で重要なものだな。

 その表情を見てマリオとホタルが緊張してる。


「緊急クエストが発令されました。」

「「緊急クエストだって!?」」


 うへぇ!?

 そんな大声出したらご近所に迷惑・・・にならないか。

 結構この家敷地広いし。

 しかし緊急クエストか、嫌な予感が凄いするなぁ・・・。

 主にお約束的な感じで・・・。


「二人共突然大声出さないでくれよ。あーびっくりした。」

「いやササ!緊急クエストって何かわかってるの!?」

「滅多な事じゃ発令されないんだよ!?最近発令されたのは確か四年前に街五つを滅ぼした魔物大発生(モンスター・パニック)だよ!?」


 魔物について調べた時、見つけたなぁ・・・。

 確かその時は竜種が何体か存在して魔族、亜人に救援を求めたけど間に合わなかったって話だったな。

 魔物大発生(モンスター・パニック)は一ヶ月続いて死者、行方不明者の数は五百万人を超えて現在でも完全に把握出来なかったそうな。

 それでも過去最悪と言えず、比較的軽微で住んでるとかなんとか。

 一番酷かったのは確か二百年前で、その時は確か亜人大陸で五つの種族が絶滅したとかなんとか。

 なんでその時に俺(聖剣ネオガイア)を求めなかったのかねぇ?


「それ位の情報は持ってるよ。内容聞く前に驚くなっての。それで、今回のも同様のケースだと?」

「いえ今回は過去類を見ない状態です。情報を持ち帰った者の話から、魔物が組織立って行動を起こし、武器・兵糧を用意していると。」

「そ、そんな事・・・。」

「ありえない・・・。」

「上級冒険者の斥候数名、並びに帝国の偵察部隊と確認を終えております。残念ながらこれは事実です。」


 上級冒険者と帝国が調べたのなら事実だろう。

 そういう力と権力を持ってる奴がそんな冗談言うと思えないし、普通ならパニックになる前に握りつぶす。

 けど話を聞いただけでも自体は深刻だ。

 今回の魔物大発生(モンスター・パニック)は過去最大の被害が出る可能性がある。

 ヘタしたら大陸どころか世界が滅ぶぞ?

 聖剣を求めないのか?


「なるほど、了解しました。こちらも準備がありますがすぐ行動を起こします。クエストの内容を。」

「こちらになります。」


 渡された紙を見ると討伐地点はここから近いな。

 馬で四日ほどの距離だ。

 報酬はかなり高い、金貨十枚か・・・。

 けど最後に書いてある一文が二の足を踏ませるだろうな。

 [予測生還率5%、予測任務達成確率10%。]

 低すぎる・・・。

 せめてこの倍は無いと厳しいだろう・・・。

 隣で内容に二人が青ざめているが受けないという選択肢は取れないだろう。

 こんだけ近いんだ、確実にこの街に被害が出る。

 少々問題があるが全力全開で行くしか無いだろうな。

 でなければ可愛い義妹や、その大事な義妹に偏見や差別意識を持たず、非常に良くしてくれたみんなの家族に危害が及ぶ。

 そんな事を許したら俺はホタルの兄だなんて、恥ずかしくて名乗れない。

 むしろすぐに溶鉱炉に飛び込んで鉄くずと一緒にリサイクルされた方がましだ。

 目立たないように自重などと言っていられる状況じゃないのだが・・・本当にお約束と言うやつには腹が立つ・・・。


「確認しました。ギルドには受けると伝えてください。ホタル、すぐカーティを呼んできてくれ。」

「わかりました!お兄ちゃん!」

「よろしくお願いします」


 ホタルがメリーさんを案内し、そのままカーティちゃんを呼びに行った。

 そういえば俺リーダーじゃないのに勝手に受けると言ってしまったな。

 こういう事はリーダーであるアルフちゃんがしっかりと決めないといけないのに余計なことしてしまったなぁ・・・。


「すまんね、アルフ。君がリーダーなのにさ。」

「別に良いわよ、ササが居れば怪我をする事はあっても死ぬような事はそうそうなさそうだし。けど、その代わり今度からあんた参謀ね。それより問題はなんでこんな魔物大発生(モンスター・パニック)が起こったかよね・・・。」


 気にしていないようなので良いとしておこう。

 しかし参謀か・・・、きっとこういう非常事態時に矢面に立たされるんだろうなぁ・・・。

 もう自重しないから別に良いけどさ~。

 けど気づいてないのか?

 これは単純な話じゃない、何者かによる侵略だ。


「気づいてないのか?これは何者かが裏で操ってるとしか考えれないだろ?」

「・・・やっぱそうなのかな?」

「当たり前だ。こんな特殊過ぎる事件が自然界で簡単に起こってたまるか。女神様にも確認しておくから、二人はこの金で必要品を集めておいてくれ。」


 マジックボックスの中から金貨を二十枚取り出し、半分づつアルフちゃんとマリオの前に置いた。

 何が起こるかわからないのだ、ここは報酬以上の金を使ってこちらの安全を優先すべきだろう。

 赤字になるが気にしない、この程度俺にとってははした金だ。


「ちょっと・・・クエストの必需品なんて銀貨一枚で十分過ぎるほど足りるわよ?それを金貨十枚だなんて・・・。」

「何があるかわからない。その金で買えるだけ買ってきてくれ。アルフは日常関連、マリオは戦闘関連だ。」

「戦闘関連と言うとポーションや砥石、包帯なんかな?」

「防具も六人分ほど買っておいてくれ。これはそれだけの自体になりかねない。戦場に運ぶのは俺のマジックボックスだから量も重さも気にするな。」

「了解。アルフ、先に買い物行ってくるよ。」


 武器は俺が大量に用意してあるから問題はない。

 けれど医療品や防具は用意出来ていない。

 この街からも参加者は居るだろうから買い占めてはいけないが、マリオは結構そういう事にも気が回る。

 周りを良く見て行動できるというのは盾役として良い素質だ。

 マリオは将来良いディフェンダーになるだろう。

 金貨を袋に入れてそのまま買い物へと駆け出していった。


「それで私の日常関連は食料・水で良いのかしら?」

「出来れば通常の服も何十着か用意しておいてくれ。俺達以外のサイズもね。」

「わかったわ。どうせこのお金じゃ余るだろうけど、買えるだけ買ってこの家に運んでおくわ。」

「余ったら運ぶ為に使え、どうせまだグダグダしてる冒険者はいるだろうからな。」

「了解。」


 アルフも俺の考えを多少は理解してくれたのか、金貨を袋に詰めて優雅に買い物へと出かけた。

 さて・・・みんなが居なくなり一人になった家でやる事は一つ。

 現状についてお母様に確認をしないといけない。

 情報は身を守る為の武具だ、少しでも多くの情報を持っていれば生き残る事が可能になってくる。

 街を守るという目的の為にも、仲間を生きて街に返す為にも一つでも良いから多くの情報が欲しい。


「さて・・・。何を聞きたいかわかってるよねお母様?」

『ママって呼んで欲しいな~?』


 非常時だってのになんでこの人(女神様)こんなゆるふわなままなんだよ・・・。

 ヘタしたら大陸滅亡の危機じゃねぇか・・・。

 こういう時にこそ真面目に仕事してくれよ・・・。


「今は真面目にしてくれ。」

『しょうがないなぁ・・・。可愛い息子の反抗期と思います。それで魔物大発生(モンスター・パニック)だったわね?』

「そうだ。魔物調教師(モンスターテイマー)なんて職業があるらしいが・・・。推定十万なんて数を操れるとは思わない、多くて十匹位だろう。俺並みに魔力があれば別だろうが・・・。いるわけないよな?」

『ないわね~。けど出来る存在は居たわよ?』


 居た?つまりこんな馬鹿みたいな出来事を引き起こせる存在が過去にも居たというのか?

 けどギルド職員はそんな事を言ってなかった。

 世に知られる前に死んだか、それとも出来るけどしようとしなかったか、はたまた魔物との共存を訴えていた為抹消されたか・・・。


「それは誰?」

『魔王オベイロン。』


 残念魔王!お前かよ!!

 あ~そりゃ記録に残ってないわけだ・・・。

 あの頃は人と魔族が戦争してたんだ。

 そういう状況下でそこまでの事を人間側が知れたとは思わないだろうし、魔族側もある程度情報を流しているだろうけど伏せていたんだろう。


「あの妻に浮気バレて刺されて死んだ残念魔王かよ・・・。つーことは今回の騒動の原因はそれの子孫か?」

『妻との間にも浮気相手の間にも子供は居ないし、親族も存在しないわよ。』


 過去に居たそういう奴との接点は今のところ薄いか。

 けれど残念魔王が残した研究書とかそういうのが残っててそれで・・・な可能性あり。

 血縁が存在していれば犯人が確定しそうだがここは現状不明と。

 可能性として一番高そうなのは同じ種族である魔族か。


「なるほど・・・。今回の騒動、魔族はどうしてる?」

『あっちも同じような状況になってるわねぇ。けど向こうの方が数が多いかしら?』


 魔族は白。

 ただし個人については確定ではない。

 まぁそれは魔族だけじゃなく人間にも亜人にも言える事だから今は考えないでおこう。

 一大陸による犯行じゃなさそうってだけでも良しとしよう。

 けど向こうの方が多いって大丈夫か?

 確かに魔族は亜人に比べれば肉体能力は低いが魔力は豊富だ。

 こちらの二倍位なら大陸で団結すれば問題なく処理出来るだろう。

 五倍位ならちょっとやばそうだが・・・。


「どれくらい?」

『十倍。』


 おいおい・・・。

 全包囲作戦とか、犯人どんだけ馬鹿みたいな魔力使ってるんだ?

 いや直接一匹一匹を支配しなくても、やり方はいくらでもあるか?

 ねずみ算式のようなやり方とか・・・。

 そちらの方が効率が良いか?

 まぁ今はそこを考えるのは後にしよう。

 魔族の大陸も人間の大陸と同じというなら亜人の大陸はどうだ?

 つーかそんだけの数どこから調達した!


「魔物ってどんだけ存在するんだよ・・・。亜人大陸の方はどうなってる?」

『魔竜種の群れが居るっぽいわね~。』


 おいおい魔竜ってお前・・・。

 魔物の中で最上位の超絶危険種じゃねぇか・・・。

 一匹現れただけでも一つの大陸が一丸となって討伐する様な天災だぞ?

 それが群れてるとかなんなの?

 そりゃ亜人ってのは人間や魔族より戦闘能力が高い。

 けど魔竜の群れってお前・・・。

 完全に世界の危機じゃねぇか・・・。

 誰だよこんな事しでかした頭のおめでたい奴は・・・。


「犯人がどこに居るか見える?」

『多分だけど~。大地ちゃんのクエスト予定地に居るわよ?』

「多分って・・・。もっと詳しく言えないのかよ?」

『だって~。見えない場所がそこだけなのよ~?』


 見えない?

 女神様であるお母様の力が及ばない場所とか存在しないはず・・・。

 そりゃぁ細かく見ることは出来ないだろう、せいぜい望遠鏡で覗いてる位の感覚だろうし。

 けどその女神の力を持ってしても見れないとなると・・・何かあるんだろう。

 それが事実だとすれば・・・。


「そこだけ見えないって事は限りなくこっちに犯人が居る可能性がデカいな。」

『そういうこと~♪』

「とりあえず纏めると、全大陸で同じことが起こっている。同じことが出来そうなのは三百年前に死んだ魔王と同クラス。原因が居そうなのは人類大陸と。嫌な予感しかしないのにこの程度の情報しかないとかうんざりするぜ・・・。」


 八百年はずっと平穏で洞窟に暮らしていたっつのに・・・。

 洞窟から出た途端こんな未曾有の危機が起こるって皮肉ですかねぇ?

 あ゛ー・・・。やってらんねぇ・・・・。

 俺の退屈してた時間を返せこのやろう!


「とりあえずお母様はレネ爺に今の話を通達、皇帝さんにも通しておいてくれ。俺が洞窟から出たってのはもう世界にバラしていい。俺は仲間の到着を待っている間に武器を用意しておく。」

『は~い♪』


 この二週間ほどで仲良くなったクロバルトの街の住人は多いんだ。

 魔物如きが調子に乗んじゃねぇぞ・・・!!

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