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婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~  作者: みみみ.com


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EP:6☆レイヴン公爵家の騎士様!

☆.*˚


リリィside



目の前で意地悪に笑うギル様に、私は引き攣った笑みを浮かべる。



このままじゃ、変装がバレちゃう……どうしよう……っ!



目の前のギル様に、ドキドキはらはらしていると



───コンコンッ



扉を叩く音が聞こえてきた。



その音に、私の顔を覗き込んでいたギル様の身体がすっと離れていく。



た、たすかったぁ……っ!!

誰だかわかんないけどありがとううう。



私は心の中で部屋に来た人へこっそり感謝して、小さく胸をなでおろした。



「……入れ」



ギル様の声だけが部屋に響き渡る。



「ギル、例のお嬢様の件、まだみつから……おっと失礼。お客さんがいたとは、申し訳ございません」



入ってきたのは、プラチナブロンドの髪の毛をサラサラと靡かせる綺麗な男性だった。



ギル様とはまた違うタイプで、その人はとても優しい微笑みを浮かべている。



騎士服を着こなしスラッとした身体は、しっかりと鍛え抜かれていて、流石騎士様って感じ。



ギル様の周りって美形しかいないのかな?みんなイケメンすぎない?



そんなことを考えていると目が合ってしまった。


わぁ……ジロジロ見すぎちゃったかな?なんて思っていると


とても魅力的な優しい微笑みを浮かべる騎士様。



「……っ」



女性に慣れていそうなその姿に、前世の記憶がモラハラ注意!と私に警告する。



この優しそうな見た目と微笑みは警戒するべきっ!優しい人ほどモラハラ率はとても高いんだからねっ!



勝手にメラメラと警戒モードになっていると




「いいところにきたな、アル」



彼にそう言ったギル様は、私の肩にぽんっと手を置いた。



「今日から俺の専属執事になったリオだ。こいつに部屋の案内と仕事を教えてやってくれ。頼んだぞ」


「は?専属執事……ですか?」



アルと呼ばれた騎士様は、驚いたように綺麗な瞳を丸くして、じっと私を見つめてくる。



ギル様はそんな彼の反応を気にもせずに、淡々と答えていた。



「俺は忙しい。アル、後は頼む」


「はぁー…かしこまりました」



目の前でギル様に大きなため息を吐く騎士様は、私をチラリと見ると「おいで」と扉を開けてくれた。



話がようやくまとまって、やっとこの地獄から抜け出せると思ったら小走りなる。



彼の背中を追って、ギル様から逃げるように執務室を出た。



大きな扉が静かに閉まる。




廊下に出た瞬間、私はやっと緊張感から解放されて自分の胸を押さえて思いっきり息を吐いた。



「はぁぁぁー……あぶなかったぁ……」



あんな至近距離でギル様に見つめられたら、生きた心地がしないよぉ。

バレちゃうかと思ったけど、なんとかなったみたい、よかったぁ〜。



不意に、男性の声が降ってきて、一人じゃなかったことを思い出す。



「ふふっ、そんなに俺の主人が怖かったかい? 新人さん」



そうだった……!この人がいるんだった!



と、顔を上げると騎士様が、サラサラの前髪をさらりとかき上げながら、優しく笑って私を見下ろしていた。



やばいやばい……独り言聞かれちゃった?!

変に思われちゃった?!



今更おそいかもしれないけれど、慌ててピシッと姿勢を正すと


そんな私を見てクスクスと笑う騎士様。



「え、えと……ご、ごめんなさいっ……ちょっと安心しちゃったというか……なんていうか……」


「気にしてないよ、ギルはいつも不機嫌そうだからね〜

じゃあ、改めて自己紹介するよ。俺の名前はアルフレッド。気軽にアルって呼んで」



彼は何も気にして無さそうな顔で、優しく笑うと綺麗な手を私に差し出してきた。


女性なら誰でも、喜びそうな極上のスマイルつきで。



だけれど、私はそんな笑顔のことよりもその手をじっと見て悩んでいた。



えーと……、これは手を握り返せばいいのかな?片手じゃ失礼……?両手かな?


やばい、前世はモラハラ男のせいで人との交流絶たれてたし……、今世は自由とはいえ屋敷からあまり出なかったから……わかんないっ!


よし……こういう時は両手だっ!



私は、悩んだ末に差し出されたその手を、両手でぎゅっと握りしめアル様の瞳を見上げた。



「アル様!よろしくお願いします!

僕は今日からこの屋敷で執事としてお世話になる、リオです!」


「……」



アル様は私の手を握り返したまま、不思議そうに眉を寄せ、私の手をじっと見つめていた。



何この気まずい反応!!両手はまずかった?!間違えちゃった?!


うわぁぁあ〜っ!私のバカぁあぁ!



「え、あ、あのっ……何かおかしかったですか?」



急に黙り込んでしまったアル様に慌てる私は、彼の顔を不安で覗き込む。

すると、ハッとした顔をした彼は再び微笑んだ。



「いや、なんでもないよ。

男に両手で手を握られたのが初めてだったから、ちょっとビックリしただけ、かな


それより、アル様なんて堅苦しい呼び方じゃなくてアルでいいよ」



「そ、そういうわけにはいきません!

騎士様を呼び捨てにするなんて!


…あ、あの…そう言えば、気になってたんですけど、アル様はギル様と仲良しなんですか?」



優しそうな人で安心した私は、不思議に思ってたことを質問する。



「あぁ……何?俺たちのこと気になる?」


「き、気になるというか……やけに親しげに見えたので」


「そう?まぁあいつとは幼馴染で腐れ縁だからね〜」


「なるほど、そーなんですねっ」



すると、前を歩いてたアル様がピタッと立ち止まると私に振り返る。


振り返ったアル様の目は、少しだけ鋭くて、疑うように私を見ている気がした。



……気のせいだろうか?



「……そんな事よりさ、俺からしたあいつがこんなに頼りなさそうな君を専属にした事の方が気になるけど


……本当に珍しいこともあるんだねぇ?」



やっぱり気のせいなんかじゃなくて、不審な目を向ける。


アル様は鋭い目で、私を上から下まで、品定めするように見つめてきた。



そして、私の目の前までスタスタと近寄ってきたと思ったら、アル様の顔が私にグイッと近づき、耳元で囁いた。



「もしかして、リオって何か特別な特技でもあるの?なんかいろいろ変わってるよね?」



あまりにも突然の事で、私の心臓が大きくドキンと跳ねる。



ひ、ひぃぃ……!この人距離感ちょっとおかしくない?!


……ギル様もだけどっ!!


し、しかも、気のせいかな?私を見る目が怖い気がするんだけど……


まさか……女ってバレてる?!?!



「な、何言ってるんですかっ!特技なんてないですよっ!き、気合いで認められたんですっ!」



胸の中がドクドクと嫌な音を立てて一歩下がると、アル様は楽しそうに目を細めてクスッと笑った。


そして、すぐに興味がなさそうに私からすっと離れた。



「へぇ、そっかぁー


じゃあ、とりあえず屋敷の案内をしたあと君の部屋を案内するね。

その後にでも仕事の説明をするよ」



いつもの微笑みに戻るけれど、時たまやっぱり鋭くて怖い目で見てくるアル様。



「えと……アル様、よろしくお願いしますっ!」


「ふふ、だからアルでいいのに。

まぁ、いいけど。それじゃあ行こうか。迷子にならないように、しっかり俺についておいで?」



そう言って、にこやかに笑うアル様。



この短時間で、優しかったり、怖い顔したり、鋭く睨んできたり……アル様の情緒がよく分からない。



女バレ……してないよね?



不安になりながらアル様の後ろを歩いていると、ひとつの答えにたどり着く。



……あぁ!もしかして、こういう人が情調不安定ってやつだ?



ひとり納得してほっとしていると



アル様がお城のように広い公爵邸の案内を始めてくれた。



さっきまで不安だったけれど、廊下に飾られた絵画や壺たちは、いったいいくらするんだろ?って思うほど豪華で一瞬で目を奪われる。


天井であちこちで揺れるシャンデリアもとても煌びやかでキラキラとしていた。



どこを見ても私のロゼッタ侯爵邸の屋敷とは大違いで、超一流の場所。



鋭い視線がもう見えていない私は、頭の中が不安よりウキウキに染まるのだった。



こんなお屋敷に住めるなんて最高〜っ!!








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