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婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~  作者: みみみ.com


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EP:4☆婚約発表と男装執事爆誕!



気がつけば、あの衝撃のギル様の訪問から数日がたち夜会当日を迎えた。




そんな私は今……



キラキラと笑う甘いマスクを被るギル様に完璧なエスコートを受けている。



社交界で人気の美しく完璧な彼が、私なんかを連れてるせいで、ものすごい注目を浴びている。



だけれど、私にとってはそんな事は重要ではないっ!



チラチラとギル様の様子を見て、私は逃げれるタイミングを見計らっていた。



うふふふ……ねぇ、ギル様?

私がここで大人しくすると思っているの?!

パートナーに選んだこと、絶対後悔させてやるんだからっ!!



隣でいつものように偽物の笑顔を貼り付けて挨拶をするギル様を見ながら、私は怪しく笑うのだった。



そして……時が来た!


ぴったりとくっついてたギル様が、少し私から離れた瞬間に


今なら行ける!!と一歩を踏み出す。




だけれど……、私の行動なんてギル様には全てお見通しだった。




おしゃべりを楽しんでいたはずの彼は、少しの私の動きに咄嗟に反応する。



こちらを見ていない彼から距離をとった私に、すっと伸びてくる長い手。


どこに目つけてんのよ?!


ってほど、自然に伸びてきた手によって、ギル様の元へと呆気なく引き寄せられた。




まさかすぎて驚く私は、あわあわとバランスを崩していく。



「はわっ!……きゃっ……っ!!!」



ギル様は、そんな私を上手に胸の中に引き寄せると、ふっと笑い耳元で甘い声で囁く。




「リリィどこへ行くつもりだ?お前の居場所は、俺の隣だ。わかっているのか?」


「……!!に、逃げようなんて、そんな……き、気のせいじゃないですか?!?!」




気のせいよ気のせいっと視線を泳がす私に、綺麗な顔で笑うギル様は、さらに私に近寄ると



「へぇ……逃げようとしていたのか……

この俺を池に落とした度胸は、やはり流石だなぁ?」


「なっ…!!ま、また脅す気?!」


「くくっ…本当にお前は可愛いらしいな、嘘も上手につくことができないんだからな」




慌てる私に喉を鳴らして笑うギル様の笑顔は、いつもと違い心から笑っているように見えた。



その姿は、まぁ……いつもよりはかっこいいんじゃないですか……!!



なんて、悔しいながらも隣で楽しそうに笑うその笑顔に、少しだけ私の胸がドキッと音を鳴らす。



な、なにドキドキしてんのよっ!騙されちゃだめよ!!こんな顔だけがいい男!!


裏はとんでもないじゃないっ!


こんな奴に騙されたらモラハラルート突入確定なんだからっ!!



一瞬でもかっこいいと思ってしまった自分に悔しくなった私は、一人でギル様の綺麗な笑顔と戦っていた。




するとそんな私の腰を、急にギル様が引き寄せる。


「……へっ?」


突然のことにキョトンと、ギル様の目を見つめると



くすっと怪しく笑い、私の腰を引き寄せたままステージまでエスコートする。



えっと……これはなに……?

なんで、ステージ……??

全然意味がわからないんだけど……え?



混乱したまま隣のギル様を見上げるけれど、そこには社交界用の甘いマスクで微笑むギル様がいるだけだった。



どーゆー事よ?!と念を送る私の顔を、やっと見たかと思うと、にやりと怪しく笑う。



はい……?



不思議な顔をする私を無視する彼は、正面を見据える。


そして、とても美しい顔で恐ろしいことを言ったのだ。




「皆様、今日はこの場を借りて嬉しい報告があります。

私ギル・レイヴンは、ロゼッタ侯爵家令嬢、リリィ・ロゼッタと正式に婚約しました。


既に、国王からの許可も得ています。


こちらが私の婚約者です。

今後は、私の婚約者としてお見知り置きを」




意味のわからないことを言ったギル様は、満足気に私を見下ろすと、とてもとても嬉しそうに美しく微笑む。



「……え?」



頭の中が追いつかなくてポカーンとする私に、会場からはたくさんの祝福と歓喜の声があがる。



それと同時に、社交界で人気高かった彼の婚約発表は、令嬢たちにとってはよっぽどの事だったのかあちらこちらから悲鳴が響くほどだった。



ショックで倒れるものが出るほどの大騒ぎだった。



そんなカオスな状況を見ても、私の脳は理解が追いつかない。



え……まってまって、どういうこと?

私があのギル・レイヴンと婚約…?!

そんなの聞いてないんだけど……え?



すると、驚く私の腰を引き寄せるギル様は私に追い打ちをかけるように甘く囁く。



「俺がこんなにも可愛いらしいお前を逃がすとでも思ったか?」



とても綺麗な顔で笑う彼は、ものすごく嬉しそうに、そしてとても愛おしそうに私を見つめてくるのだった。





☆.*˚





───その後、あまりの衝撃にどうやって屋敷に戻ったのか覚えていない。



だけれど、両親はこの事を知っていて、とても嬉しそうにしていた。



「リリィ!!あのギル様と婚約だ!!よかったなぁっ!!おめでとう!!」



と、両親は手を合わせて泣きながら喜ぶのだった。




私の知らないところで、ギル様は私に婚約を申し出る手紙を出していた。



何を思ったのか両親は、あの社交界で人気高いギル様からの婚約ならリリィもとても喜ぶだろうと、私のことを思って婚約を引き受けていたらしい……。



そして……それだけで終わらないのがあの男だった。ギル様は私にとって最悪な提案を両親にしていた。



それは何かというと



「リリィを喜ばせたい。今度の夜会で、サプライズで婚約発表をしたいからリリィには秘密にしててほしい」



その願いを聞いた両親は



「なんてロマンチックなサプライズなんだ!!これはリリィがとても喜ぶ提案だ!!なによりギル様はリリィを深く愛しているに違いない!!」



私に関して頭のネジがゆるい両親は、しっかり勘違いしてギル様の手のひらで転がされてるとは知らずに、大喜びで引き受けていたのだった。



気がつけば身の回りを全て固められていた私。


やられてしまった……。



このままだと、モラハラ婚約ルート確定の私は逃げるしかない。



私は心の中で逃亡を決意する。



ギル様……見てなさいよっ!!


婚約者に私を選んだことを、絶対に絶対に絶対に、後悔させてやるんだから!!


私に勝ったと思ってるの?!

甘いわよっ!!

絶対に逃げ切ってみせるんだからっ!!





☆.*˚





逃げることを決意した私は、その日の夜いそいそと準備をはじめた。




まずはじめにお化粧を落とすと、お父様を昔驚かせるために購入した茶色のショートカットのカツラを私の思い出ボックスからガサゴソと取り出す。



そして、私は自慢のピンクの髪の毛を綺麗にまとめるとカツラの中にぎゅうぎゅうに押し込んだ。



そして次に、使用人たちの部屋に忍び込むと、執事服を持ち出すことに成功する。



そしてその執事服にさっそく着替える。



最後に鏡の前にたって全身をチェックすると、そこにはとても素敵な男の子になった自分がいた。



「わぁ!!すごいすごい!!完璧じゃない!?これなら絶対バレないよね!少し服がでかいけど……まぁ、それは仕方がないよね〜、これしかなかったし〜」






───そんな脳天気なリリィは、少し大きい執事服を身にまとい、茶色のショートカットをサラサラと揺らす。



化粧を落とした顔は透き通るほど真っ白。



そして、くりくりの空色の瞳と人形のように可愛いらしい顔は、まったく隠せておらず、とても頼りなさそうな愛くるしい美少年に変身を遂げていた。



だけれど、本人はその姿にとてもかっこいい完璧な男の子が出来上がったと満足気に満面の笑みで笑うのだった───。






「さすがに女じゃない私を見つけることはできないでしょ?ふふふふっ!ワクワクしてきちゃったなぁ!」



私はこれから男装執事のリオとして生きていくことを決意した。

執事なら衣食住もあるしこれなら生きていけるに違いない。



そして、最後にルリと両親に手紙を残した。



【修行してきます。私は元気です。】




「うん!これでバッチリ伝わるよね!」


手紙もしっかり書けたし、おっけーね!!




全ての準備を終え窓に足をかけると、最後に部屋を見渡す。



ルリや両親と会えなくなるのはとても寂しい……。


だけれど、結婚だけは無理なの……男は付き合ったり結婚したりすると、豹変するのを私は前世で身をもって知っている。


前世の二の舞にだけはなりたくない……だから……ごめんねっ!!



寂しい気持ちをグッとこらえると、前だけを向いて部屋から飛び降り夜の街に向かったのだった。



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