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婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~  作者: みみみ.com


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EP:29☆専属執事のぼいこっと!



ギル様と喧嘩をしたあの日から数日がすぎた。


あの日から気まずすぎて、仕事をぼいこっとしている。

私は、思いっきりギル様を避けていた。



まずいとは思うけれど……、お茶会で真実を知るまではどうしても会いたくなかった。


だって、モヤモヤしていてもギル様を見ると、やっぱり胸がきゅんとして好きだと思うしかっこいいし……。



こんな状態で心を揺さぶられたくないっ!

浮気だったら許さないんだから……っ!



そんなこんなで、気合いで逃げ切っていた。



お茶会まであと数日という今日も、誰も来ない客室をミアに教えて貰って、その部屋に引きこもりだらだらと過ごしていた。



枕に顔を埋めてだらだらしていると、突然扉の開く音が聞こえた。



────ガチャンッ



「ミアー?お茶の時間ー?」



枕に埋めてた顔を持ち上げ起き上がろうとした瞬間……。


誰かに手首を掴まれた私は、ふわっと視界が反転すると仰向けにベッドの上に逆戻り。



「……へっ」



何が起きた?!と、びっくりして閉じてしまった目を開くと、綺麗な青い瞳がじっと私を見つめていた。



「ギ、ギル様!!!!な、なんでここにっ!!」


「なんでだろうなぁ?」



私の上で、余裕そうに笑うギル様は、綺麗な黒髪をサラサラと揺らしながら今日もこれでもかってほど整った顔をしていた。



かっこいい……じゃなくて


まずいじゃんっ!思いっきり仕事サボってるのばれちゃった……ど、どうしようっ!!



この状況に、冷や汗をだらだら流していると



「……やっと捕まえた。


……お前さいきん俺を避けているよな?専属執事の仕事はどうした?俺を避けている理由はなんだ?」



私をベッドに組み引いたまま、綺麗な顔で質問責めにしながら、ジリジリと私に顔を近づけてくる。



「……ギ、ギル様っ……」



そして、焦る私を楽しむように頬にすっと手を這わせると、私の顔をじっくりと見つめる。



「なぁ……、あの日俺に大嫌いと言ったのはどういう意味だ?」


「そ、それは……その……」


「俺はお前に嫌われるようなことをした覚えはないが?」



綺麗な顔を意地悪に染めて笑うギル様に、目を奪われる私は重症だ。



意地悪な顔をしているのに、その顔はとても綺麗で、私を見つめる青い瞳はキラキラしていて……


……し、心臓が持ちませんっ!!!



追い詰められているというのに、ギル様の破壊力に言い訳も何も考えられなかった。


だけれど、さらに追い打ちをかけるように意地悪な顔をするギル様の口からは、爆弾が落とされる。



「なぁ……、あの日まるで俺の女関係に嫉妬しているように見えたのは気のせいか?


お前は男だろう?なぜ男のお前が、俺に浮気者と言う?」


「えっ……」


「それともなんだ?お前は男同士だというのに、俺が好きだというのか?」


「……っ?!?!?!」



ギル様に見とれていた私の頭の中は、ギル様の言葉にやっと現実に戻される。



す、好き……?!……そ、そう言えば!!


私リオの格好で「浮気者」だなんて叫んでしまったんだった!!!!

どう見ても、男同士で好きって言ってるようなものじゃない〜っ!!!


ひいいい……わ、忘れてた!!!

や、やばいやばい……どう誤魔化す?!



自分の好きな気持ちと、あの日のヤキモチを思い出して、顔がみるみるうちに真っ赤になっていく私。



慌てて必死に誤魔化す方法を考える。



そして……またもや前世でのおばあちゃんのことを思い出す。


そうよ!!前世でおばあちゃんが都合が悪くなるとよくやってたやつがあるじゃないっ!!


すっとぼける。


おばあちゃん……これは、こういう時に使うんだよね?!?



この状況を打破するために、おばあちゃんの真似をすることを決めると、震える声を抑えながら必死に誤魔化す。



「えーっ!な、なんのことですかね?


そ、そんなこと言いましたかねー?!お、男同士で、浮気だなんて言うわけないじゃないですかぁーっ!!!


ギル様の、き、聞き間違いじゃないですか?!えへっ……えへへ」



私の声は上ずっていて、じっと見つめてくるギル様に目を合わせることができず、目は泳いでしまった。



なんとか……言いきったよ!!!!


どお?!?!誤魔化せた?!?



焦りながらもなんとか誤魔化す言葉を言い切った私は、ちらっとギル様を見て反応を確かめる。



すると、目の前で目を丸くするギル様がいて



次の瞬間……、ギル様は口元に手を持っていくと、なぜだか楽しそうに「ふはっ」と、吹き出したのだった。



「なっ……なんですかっ?!」



なんで笑っているのかわからず、質問してみるけれど


ギル様はくすくすと楽しそうに笑っているだけで……終いには、笑いすぎてすこしだけ目に涙が溜まり、青い瞳がキラキラとしていた。



こうやって楽しそうに笑っているギル様の姿は、信じられないほどかっこいい。


ぼんやりと見惚れていると



「ふはっ……悪い……笑いすぎたな。


……そうだな、リオの言う通りだ。男同士で、そんなことを言うわけがないな。


俺の聞き間違いかもな……くくっ」


「そ、そうですよー!!あーよかった!!これで誤解がとけましたね?!」


「ほんとお前ってやつは……、まぁそうだな、俺の勘違いだ」



見事すっとぼけが大成功した私は、ほっと安堵する。


やっぱり前世のおばあちゃんの技は最強だ!


そんなことを考えていると、ギル様はどこか可笑しそうにクスクスと笑うと、私の上からそっと退いた。



そして「俺は仕事に戻るからゆっくりしていればいい」と、私に優しく声をかけると最後に頭をすっと撫でる。


綺麗な指先が離れていくと、少しだけ寂しい気がした。


……これだから会いたくなかったんだよねっ



そして、綺麗な黒髪を揺らしながら去っていったギル様。


かっこよくてきゅんとする胸を抑えながら、ギル様が出ていった扉をいつまでも見つめるのだった。




そんなこんなで、なぜだか案外甘いギル様は、あれから仕事をしろと言うことはなくて、お茶会の日まで仕事をさぼり続けることができたのだった。



そして、運命のお茶会の日がやってくる。





☆.*˚





───お茶会当日。



朝起きて、私は鏡の前でいつも以上に気合いが入っていた。



ここに来てからというもの、見慣れてしまった少し大きな執事服と茶色のショートカットのカツラ。


鏡に映る男装執事リオとしてのもう一人の自分。


おかしい所はないかと何度も確認をした。




すると、扉を叩く音が聞こえてきた。



────コンコンッ



「リオ、ちょっといいかな?」


「はぁーい、どうぞっ!」



扉を開けて入ってきたのは、綺麗な髪の毛をサラッと揺らして、騎士服をきちっと着こなしたアル様だった。



私の姿をみて、今日も優しく微笑む。



「気合いは十分、って感じかな?」


「もちろんですっ!」



にっこりと笑って返事をする私に、アル様は少しだけ真面目な顔をすると私の目を見つめる。



「最後の確認だよ……、本当に行くの?」



その言葉に、あの日の女の人の匂いが蘇る。



本当は真実を知るのは怖い……。


だけれど……、私はギル様のことを好きになってしまったからこそ、真実を確かめてちゃんと前に進みたいと思っている。



「怖いけど……浮気なのか浮気じゃないのか、二人はどんな感じなのか……自分の目で見てしっかりと確かめたいです」



私は真剣にアル様を見つめて答えた。


真剣な私にアル様は、目を見開くとすぐに優しく笑う。



「そっか、リオは本当に強くてすごいね?」


「え?」


「……そんな所も、すごく好きだなぁ」


「……へっ?!ア、アル様っ?!」



さらっと好きだというアル様に不意打ちすぎて驚き慌てていると


くすくすと楽しそうにアル様は笑った。



「ふふっ……ごめんごめん、こんな時にだめだね?じゃあ、行こうか。


ギルにバレないようにリオの馬車も手配してあるから、おいで」


「は、はいっ!ありがとうございますアル様っ」



アル様は何事も無かったかのように、優しく私の手を取ると馬車まで案内してくれる。




そして、緊張しながら私は今日のメインステージ……王宮に向かうのだった。




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