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婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~  作者: みみみ.com


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26/34

EP:26☆ギルの余裕とアルの嫉妬!



その後、ミアにカツラまで綺麗にしてもらうと、私は新しい執事服に着替える。



「ミア、ありがとう」


「いいえっ、これからギル様のお部屋に向かわれるのですか?」



お礼を言うとニヤニヤとしたミアが私に尋ねる。



「う、うん……」


「リオ様っ!!負けないでがんばってくださいねっ!!私は応援してますからっ!」



そう言って楽しそうに笑うミアに照れながら手を振ると、私はギル様の部屋に向かった。



ギル様を好きだと自覚すると不思議なもので、今まで何も思わなかったのに部屋に近づくにつれて、胸がきゅんきゅんとする。



私……本当に好きなんだ……。

ひゃーっ!!どうしようっ!!



完全に乙女モードになってしまった自分に「落ち着け、私!」と独り言を呟きながら、ギル様の部屋の扉までたどり着いた。



心を落ち着かせるために、深呼吸をしてノックをする。




───コンコンッ




「はいれ」


「失礼します!お風呂とお着替え終わりましたっ」



部屋に入ると、すっかり綺麗な姿に戻ったギル様と楽しそうに話をしているアル様がいた。



「くすっ……ギルから聞いたよ、さっぱりしてきたかい?」



私を見た瞬間、いつも通りの優しい笑顔でくすくすと笑うアル様がいた。


すると、ギル様がソファからすっと立ち上がると、私の方へ歩み寄ってきた。



「さて……本当に綺麗になったか?」


「綺麗になりましたよっ!」



笑顔で答えるとギル様が私の目の前まで来て、じっと覗き込んでくる。


恋を自覚したばかりの私には、いつもよりギル様が輝いて見える。


青い瞳が綺麗で、整った顔が近くて……、いつもの非じゃないほど胸がドキドキとしてときめいた。



ち、近くない?!


い、いつもだけど……好きだと思うと、この近さ……む、むりなんですけどっ!!!!


こ、これが恋?!



目の前でふっと楽しげに笑うギル様は、私の耳元に顔をちかづける。


そして、突然すんすんと匂いを嗅いでくるギル様に肩がビクッとなる。



「……ひっ……」


「本当に綺麗になったようだな?いつも通り甘い匂いがする」


「なっ!!!!!」



近い!恥ずかしい!やばい!

てか意地悪に笑うギル様、かっこよすぎませんか?!

キラキラしすぎて耐えらんないよぉ!



「ち、近いですっ!離れてくださいっ!!」



完全に恋する乙女モードの私には、ギル様とのこの距離感に耐えられそうにない。


心臓がドキドキを通り越してバクバクしていて、顔は火が出そうなほど熱い……。



「ほ、本当に……は、離れてくださいっ!」


「何をいまさら……、いつものことだろう?」



不思議そうに意地悪そうに首を傾げるギル様が私をじっと見つめる。


そして……、私の心臓は限界を迎える……。



「も、もうむりぃぃぃぃぃいいぃ!!!」


「は?……リオ?」



驚くギル様の声を無視して、胸のバクバクが限界を迎えた私は部屋を飛び出した。


失礼とかどうとか言ってる場合じゃない。


思いっきり扉を閉めると、バクバクの胸を抑えながら全力で自分の部屋まで走った。



むりむりむりむりっ!!死ぬっ!!!

本当に無理なんですけど……!!!

心臓もたないよぉおおぉー!!!!



え……好きってこんなに大変なの?!





☆.*˚





アルside



俺は今、目の前の光景に驚いている。


顔を真っ赤にしたリオが、突然部屋を飛び出していった。



顔を赤くすることは何度か見てきたけど……こんな事今まであっただろうか……?



ギルはリオが逃げ出した方向を見て、それはそれはとても楽しげに、そして愛おしそうに笑っている。



そんな様子に胸が焦りと不快感に襲われた。



……二人の様子がおかしい……。



嫌な不快感を感じながら、冷静を装ってギルに軽く釘を刺す。



「……ギル、男相手に何をしてるんだ?やりすぎじゃない?顔を真っ赤に逃げてしまったよ?」



ギルは俺に振り返ると、ふっと笑う。



「関係ないだろう?リオは俺のものだ」



当然のように言い放たれたその言葉に、俺は少しだけ苛立った。



「へぇ……ギルにはリリィ嬢という、最愛の婚約者がいるはずだよね?それなのに、男相手に何を言ってるの?」



婚約者が大好きなギルは、俺の挑発的な言葉で引き下がると思っていた。


けれど、ギルは焦ることなく余裕たっぷりに笑う。



「あぁ……そうだな。リオもリリィもどちらも俺のものだ」


「……っ?!」



ギルのやつ、何を言ってるんだ?



ギルのその言葉に胸がザワザワと激しい不快感が走る。そして、一つの答えにたどり着く。



つまり……ギルは気づいている?


俺だけが、知っていると思っていたのに……ギルのやつ、いつの間に?



さっきのリオの様子を見ると……、リオの気持ちもギルに傾きつつある。


焦る気持ちを抑えるように、いつも通りの笑顔を貼り付ける。



「そんなに強欲だと、いつか大切なリリィ嬢に逃げられてしまうよ」


「逃がすわけがないだろう?」


「そう……」



最後まで余裕が崩れず楽しそうに笑うギルに、苛立った俺は立ち上がると部屋をあとにした。


胸の中にうずまくこの感情は……、嫉妬だ。


苛立つ俺はリオの姿をおって屋敷の廊下を歩き出した。




そして、リオの部屋までたどり着くと、扉をノックする。



───コンコンッ



「はい、どうぞっ」


「リオ、失礼するよ」



部屋に入るとベッドの上で突っ伏しているリオがいた。


本当に女の子なの?と思うほどだらしない姿に、苛立っていたはずの俺は思わずくすくすと笑いがこぼれる。



まぁ……リオらしいけどね。



俺の声に反応したリオが、ベッドからバッと顔をあげた。



「え?アル様?どうしてここに?!」


「リオがさっき、ギルの部屋から顔を真っ赤にさせて逃げたから気になって追いかけてきちゃった」


「……っ!!!!」



ニッコリと笑うと、さっきの出来事を思い出したのか一瞬で顔を真っ赤にさせるリオ。



なにその反応……妬けちゃうんだけど……



その反応が気に食わない俺は、リオのいるベッドにゆっくりと近づくと、リオの頬に手を添えて耳元で囁く。



「ねぇ、リオ……ギルにだけそんな顔するなんてずるいよね?俺にもそんな顔をしてよ」


「へっ?!そ、そんな顔って……どんな顔ですかっ!!!」



目を見開き慌てて俺を見つめるリオを見て思わずため息が出そうになる。



「……自覚ないんだ?


そうだねぇ……まるで恋をしているような、とっても可愛いらしい顔……かな?」


「なっ……!!そ、そんな……顔に出てましたか?!は、はずかしい……っ!!」



リオは顔を両手で覆うと、ベッドの上でじたばたと悶え始めた。


まるで恋を肯定する姿に、さらに胸がザワザワとして悔しさが溢れていく。



あんなに……逃げ回っていたくせに……。



「あのさぁ、リオ。もしかしてあんなにギルからバレるの嫌がっていたのに……まさかギルのことを好きになったんじゃないよね?」



俺の問いかけに、リオは顔を覆っていた手の隙間からちらっと、俺を見ると照れくさそうに幸せそうに笑った。



「……えへへっ」


何その顔……っ



目の前で可愛いく頬を染めて笑うリオの姿に、苛立ちが募りベッドの上にいるリオの両手を掴むと、勢いよく押し倒した。



「……へっ?!」



余裕なんてなくて、押し倒したリオは俺の顔を見ると、目を見開いていた。



「ア、アル様……?」


「なんで……俺じゃダメなの?俺だったらリオのこともっともっと大切にするよ?ギルみたいに意地悪なんてしないよ?」



苛立ちと悔しさ……、そして切なくてリオを見つめる。


けれど、いまいち伝わっていないのかリオはそんな俺をきょとんとした顔で見上げた。



「……ア、アル様……、どうしたんですか?」



そう言ったリオは、真っ直ぐな瞳で俺を見つめる。そして俺の頬に、優しく温かな手のひらを添えてきた。



「アル様……とても苦しそうな悲しそうな……そんな顔してますよ……?何かあったんですか……?」



こんな状況なのに、本気で純粋そうに心配そうにするリオの優しい声。



はぁ……なにこれ、全然だめじゃん。


男の俺に押し倒されているっていうのに、何この反応……。

俺にはギルに向けてたような恋する顔をしてくれないの?


普通この状況で押し倒してる奴の心配する?……はぁ



ギルの時との反応の違いに深くため息をはくと、リオの上からゆっくりと身を引いた。



「……本当に、リオには何から何まで敵わないね……何でもないよ……。悪かったね?」


「えぇ……、本当ですか?でも、アル様すっこぐ辛そうな顔をしてましたよ……?」



眉を下げて心配そうにするリオに振り返ると、いつも通り無理矢理笑顔を作った。



こうなったら意地でも振り向かせるから覚悟してよ。



「……ねぇ、リオ」


「はい?」


「俺……ギルとの恋の応援なんて、絶対にしてあげないからね?」


「……なっ!!きゅ、急になんですかそれっ!!」



意地悪に笑ってリオに伝えると、リオは目を丸くしたあと可愛いく怒っていて俺はくすくすと笑う。



「俺の方がいい男だよってこと。リオは見る目がないね?……俺はそろそろ行くね、じゃあね」


「なっ……なっ……」



リオに手をひらりと上げて扉に向かう。


後ろで顔を真っ赤にしているリオの姿に、胸の中がチクチクと痛みながらも笑って部屋から出た。




そして、誰もいない廊下でさっきのリオを思い出し静かに壁に寄りかかった。



「はぁ……むかつく……。絶対に逃がしてやんないからね」



胸の中でうずまく嫉妬と独占欲にため息を吐きながら、誰もいない廊下で呟いた。



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