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婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~  作者: みみみ.com


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EP:24☆どろどろだいぶっ!



───翌日。



昨日は、レオ様とたくさん泣いたり笑ったり大忙しだったな……。



「ふふふっ……レオ様可愛いかったなぁ〜……なにかお礼をしたいなぁ」



すっかり元気になった私は、いつも通り着替えを済ませると、昨日レオ様に言われた言葉を思い出すと嬉しくて顔が緩んでしまう。



今日もいつも通り執務室に向かうと、珍しくまだギル様がいなくて隣のギル様の部屋の扉を叩く。



───コンコンッ



「はいれ」


「ギル様!おはようございますっ!まだお部屋にいるなんて珍しいですね?」



部屋に入ると、まだラフな格好で眠そうにしているギル様がいた。



「……あぁ、今日は休みだからな」



休み……?!


……これは……!!!

レオ様にお礼をできる大チャンス!!!



まだ眠そうにしているギル様にぐいっと詰め寄る。


そんな私に驚いたのか眠そうにしていた綺麗な瞳を見開き、私を見つめるギル様に伝える。



「ギル様っ!!!お出かけの準備をしててくれませんかっ?!?!」


「……は?」



このチャンス!!絶対逃さないっ!!!

レオ様……!!待っててくださいね!!

……ふふふっ



それだけ伝えると、私はぴょんっとギル様から離れると扉に走って向かう。


去り際にもう一度振り返ると、ギル様はまだ驚いた顔をしていて、念を押すためにもう一度声をかける。



「じゃあお願いしますね〜!!早く準備してて下さいよ〜っ!!すぐ戻りますね!」


「ちょ……待て!リ───」



何か言いかけたギル様の声を無視して私は部屋から飛び出し廊下を突っ走る。


そして、ある部屋の前までつくと突撃した。



───ガチャンッ!!!!



「突撃ーっ!!レオ様ーっ!!!!!!」



おもいっきり扉を開くと、着替えをしているレオ様と目が合った。



「ちょ…お前!!!何勝手に開けてんだよっ!!」



怒ってるレオ様を無視して、彼の手を両手でぎゅっと握りしめ、目をキラキラとさせながら見つめて言葉を続ける。



「レオ様っ!!お出かけしましょっ!!」


「は?」


「じゃあ、レッツゴー!!!!」



レオ様の返事を聞かずに私は、手を握ると思いっきりぐいぐいと引っ張って走り出した。


そして、レオ様を引きずりながらギル様の部屋まで戻ると、準備が終わっているギル様の手もぎゅっと掴んだ。



「よぉし!二人とも捕獲完了〜っ!!行きましょうっ!!!」



そして、二人の手を引いたまま屋敷から飛び出すと私に後ろから文句が聞こえてくる。



「おいっ!!俺は行かないって!!」


「リオ……まてっ……どこにいく!」



後ろで二人が何か言っているが、そんなこと関係ないっ!!私は二人に仲直りをしてもらいたいんだもんっ!!


仲直りには綺麗な丘で、おもいっきり嫌なことを叫ぶのが鉄板だよねぇ〜!!!!!



この手は絶対に離さないと決めると二人に振り返り、満面の笑顔を向けながら走る。



「つべこべ言わずに僕に着いてきてくださーいっ!!!ほらほら、みんなちゃんと前を見ないと転びますよ〜っ!!!」



そんな私に、突然目を見開き大声をあげたレオ様。



「ちょ……バカ!!前!!前!!!前を見るのはお前だーっ!!!!」




☆.*˚




レオside




朝からいきなり部屋に突撃してきて、相変わらずわけのわからないリオに言われるがまま強引に手を引っ張られると、振り回されてる俺と兄上。



昨日のこともあって俺は兄上とお出かけなんて、すごく嫌だ……気まずい。


だけれど、目の前で満面の笑顔で笑う猛獣のリオを止めれる気もしない……はぁ……。



そして、リオが文句をたれる俺に後ろを振り返り満面の笑みで



「つべこべ言わずに僕に着いてきてくださーいっ!!!ほらほら、みんなちゃんと前を見ないと転びますよ〜っ!!!」



そう言った、リオの目の前には雨水でできた大きな大きな水溜まりが広がっている。



……!!!こ、こいつっ!!



「ちょ……!!バカ!!前!!前!!前を見るのはお前だーっ!!!」



リオの手を引っ張り返そうとするが、ものすごい勢いで走っていたこいつの体はビクともしない。



本気で……やばいっ!!!!



俺の声に、慌てて前を見るリオは顔を真っ青にさせていた。



「へっ……あっ、や!やばいっ!!」


「リオっ!!!!」



隣で慌てる兄上の声が聞こえる中、リオはびびっているのかさらに俺たちの手を強く握りしめたまま、最悪なことに前のめりに転んでいく。



こ、こいつぅぅぅ!!!!!




次の瞬間……



───ドボーンッ!!!!!




思いっきりリオに道ずれにされると、三人で水溜まりにダイブして泥があちこちに飛び散り泥まみれになった……。



「……げほっ!!うえっ!!最悪だ!」



口の中に少しだけ泥が入ってペッペッとしながら文句を垂れる。



周囲を見渡すと視界は真っ黒で体もドロドロだ……。


まじで…ほんとに……リオのやつ!!!



すると……こんな状況だと言うのに、隣から笑い声が聞こえきた。



「あはははっ!!二人とも顔やばいですよっ!!!」


そう言って笑うリオもかなりやばい。


「お前のせいだろーがっ!!!」



文句を言う俺にケラケラと笑うリオは、本気で楽しそうに笑っていた。


いつも通りあまりにもキラキラと楽しそうに笑うこいつを見てると、だんだんとこっちもなんだか馬鹿らしくなってきた。



「ほんっと……ばかすぎ……ふはっ」



思わず吹き出してしまって、笑いながら兄上をちらっと見ると


いつも完璧な兄上まで、リオには敵わないのか綺麗な服も顔もかなりドロドロだった。



兄上のこんな姿見たことない……、兄上もこいつには振り回されるんだなー……。



そう思ったら、なんだかさらにおかしくなってきた俺は、気がつけば「あははっ」と声を出して笑ってしまった。



やっぱり俺はリオが大好きだっ!兄上の婚約者はこいつじゃなきゃだめだっ!!



笑ったあと再び兄上を見ると、兄上は優しい顔でリオの笑顔を見つめていて



「ふっ……本当に、とんでもないやつだな」



と、呆れたように……、だけどどこか愛おしそうにリオを見ていた。


…………気のせいか?




その時だった……


まだ楽しそうに笑うリオのカツラが泥の重みでズレてきていた。



兄上にバレたらまずい!!!


急いで立ち上がろうとすると



俺の横から兄上の腕がすっと伸びて、リオの頭を抱き寄せると同時に、自然にカツラの位置を戻しているようだった。



「……へっ……ギル様???」


「頭がものすごく汚れていたぞ」


「もう全部汚れてるから平気ですよっ!!でも、ありがとうございますっ!ふふっ」



そう言って兄上の腕がリオから離れると、リオは満面の笑みで笑っていた。



あれ……?兄上ってもしかして……リオがリリィて気づいてる……?



俺は驚いて兄上をいつのまにか思いっきり見てしまっていた。


その視線に気づいた兄上は、俺の表情を見て何かを考えると腑に落ちた顔をした。


そして、弟の俺から見てもとびきり綺麗な顔で、自分の唇に人差し指をそっとあてて「しーっ」と意地悪そうに楽しそうに笑った。



その瞬間、昨日あんなに腹が立っていた気持ちがすーっと消えていった。



なーんだ、兄上はリオがリリィてわかってるんだっ!ちゃんと大好きなんだなっ!


てことは、本当に昨日のお茶会はリオを嫌いになったとかじゃないんだな……よかった……。



目の前でドロドロで笑うリオは、むかつくけど可愛いくて大好きだ。


こんなにもとんでもないやつだけど、リオとこれからも一緒にいれると思うとモヤモヤが晴れていった。



「なーんだ……、兄上ごめんなさい」


「ふっ……なんのことだ?」



俺の小さなつぶやきに、兄上は目を合わせるとふっと優しく笑った。


そして、リオに視線を戻した兄上はリオのことをすごく愛おしそうに見つめると優しく声をかけていた。



「ほら、リオ服がどろまみれだ」



そう言って優しく自分の上着を脱ぐと、リオの体を隠すようにふわっとかける。


そして、ひょいっとリオを軽々と持ち上げてお姫様抱っこをしていた。



「な、な!自分で歩けますっ!!」


「他のやつにそんな姿を見せれるわけないだろう」


「ひえっ……そんなに汚かったですか?」


「ふっ…まぁ…そうだな、部屋まで大人しくしていろ」


「……うぅ……」



後ろから二人のやり取りを見ていると、あんなに暴走女のリオが女の子らしく照れて縮こまっている姿を見ると、めちゃくちゃお似合いだと思った。



なんだか俺の胸は少しだけきゅっとして……兄上が羨ましいなんて思った。



だけれど、完璧な兄上を崩せるのはリオしかいなくて、リオを女の子にできるのも兄上しかいないような気がする。


そしてなによりも、兄上の愛はやっぱり本物でずっとリオを見る時の顔が、優しくて愛おしいって声が聞こえてきそうなほど甘い顔をしていた。



「ちぇっ……さっさとくっついちゃえばいーのにっ」



そんな二人の後ろ姿を見ながら、複雑な気持ちと幸せな気分半々で呟いた。





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