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婚約が嫌で男装執事になったのに~配属先が婚約者の元でした~  作者: みみみ.com


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EP:2☆空から降ってきた侯爵令嬢!



そんな時だった……



「キャア!!ギル様がいらっしゃったわ!」

「なんて今日も素敵なのかしら!」



むしゃむしゃとお菓子を頬張っていると黄色い声が下の会場から響く。


これも夜会では、いつもの事で私は全然驚かない。



「あ〜、今日もきたのね〜」



私はお菓子を頬張りながら、そんな様子を今日も静かに見守る。



黄色い声を浴びているのは


レイヴン公爵家のギル・レイヴンだ。



サラサラの綺麗な黒髪に綺麗な青色の瞳。

信じられないぐらいに整った顔を持つ。

社交的な彼は、人当たりがよく優しい甘いマスクでメロメロにした令嬢たちにいつも囲まれている。



そんな彼は社交界ではみんなの憧れの的だ。



どんだけ顔が良くても男になんてまったく興味のない私には関係の無いことだどね〜っ



「リリィ様!第二弾です!お持ちいたしましたよ」



そんなことを考えていると、また色とりどりの綺麗なお菓子たちをたくさん運んできてくれたルリ。



「本当にありがとう!私が下にいけたらいんだけど…毎回ごめんね?あのテーブルの前で堂々と食べ尽くしてみたいなぁ〜」



と頬杖を着きながら言う私に



「それは、どうかお辞め下さい」


「冗談よじょーだん!!」


「リリィ様の冗談は冗談になりかねます」


「えへへ……」


「褒めていませんから…あら?何か声が…」



いつも通り冗談を言い合っているとルリがテラスの方を見て何かに反応をする。



にゃぁーお!!!!



「ん?猫?!」



私はテラスから身を乗り出し少しだけ薄暗い庭園をみわたす。


すると…テラスの下辺りにある池の近くで鳥に攻撃をされる子猫がいた。




そしてその子猫が池に……落ちる…!!!




「た、大変だわ!!助けなきゃ!!」



慌てて私はテラスの入口まで走ると、大きな窓にあるカーテンを思いっきり引きちぎる。



そんな私を見てルリは、顔を青くして持っていたお菓子をテーブルに急いで置くと慌てだす。



「リリィ様!何をされる気ですか!!」



目の前で慌てるルリに私はニッコリと笑顔で笑う。



「そんなの決まってるでしょ?バンジージャンプだよバンジージャンプ!うふふっ」


「こんな所でそのような事をされてはいけません!!!」



ルリったら…いつもの事なのにそんなに心配なのかな?大丈夫なのに〜



「池だから命綱もなくても大丈夫なんだけどルリに心配させちゃうから念の為ね?念の為」



そう言って私はルリに大丈夫よっ!とウインクをおくる。



そして私は、ルリから逃げるように走るとテラスに足を掛けた。



きっとこれを他の令嬢が見たらひっくり返ってしまうと思う…。


今世のこの世界の女性は、そういう感じなんだよね。





ルリは慌てて私に駆け寄ろうとするけど……ごめんね?



今私は急いでるからっ!



「そ、そういう事ではありません!!どうかどうかお辞め下さい!!!!」




私はルリに追いつかれる前に…飛び降りた。



ごめんねルリっ!子猫を助けてあげなきゃいけないから今は止まれないのっ!



「じゃあいってきまぁーす!!!いやっほぉぉおおぉい!!!」


「リリィ様ぁあぁあぁあ!!!!」




ルリの悲痛の叫びが聞こえる中、落下していく私。



すると…そこで予想外の出来事が……



私は目を見開く



まってまってまってっ!!なんでここに人がいるの?!てゆーか、この人…!!



ギル・レイヴンじゃない?!



私が落ちてくるのに気づかない彼に大声で叫ぶ。



「ど、どいてちょーだい!!!!!」



私の叫び声にキョロキョロとするギル様。

そして何かが落ちてくる音にやっと私の方を見上げる。



だけど、もう遅い……。




目を見開き驚いた彼の綺麗な瞳と目が合う。



空から落ちてくる令嬢



驚かないわけがないよね……?!だけど……、そんなことより……っ!!!



どいてくれないかな?!?!



「……は?」



そんな声が聞こえた、次の瞬間………



ズドーーーーーン!!バッチャーーーン!!



ギル・レイヴンを巻き添いにしてすぐ側にある池に二人で仲良くダイブしたのだ。



ぶくぶくぶくぶく……


「「ぷはっ!!!」」


二人の息継ぎをする声が夜の庭園に響いた。




そして、目の前でびしょびしょになっているギル様が私の顔を驚いた顔をして見ていた。



たった数分だけど……とても気まずい時間が流れる。



あはっ…や、やってしまった…。

流石に他人を巻き添いにするのは…やばい…?



「えへへ…ご、ごめんあそばせ…えへっ…」



目の前でポカーンとしているギル様に苦笑いしながらとりあえず謝る私。




そして、気まずい空気の中、池に飛び込んだ目的を思い出す。



そうよっ!申し訳ないけどギル様に構っている暇はないのっ!

子猫ちゃん…どこ?!無事だよね…?!



慌てて周りをキョロキョロ見渡してしていると、少し先で溺れる子猫を見つけた。



大変っ!!!はやく助けなきゃっ!!



だけど、大量の池の水を吸い込んだ重たいドレスのせいでなかなか前に進まない



これだからドレスって嫌なのよっ!

本当どんだけ動きにくいのよぉぉっ!



そして、私はギル様がいるという事を忘れて思いっきりドレスを脱ぎ捨てた。



ドレスの下はシュミーズという私たちの時代で言うと、白いキャミワンピみたいな下着をドレスの下に着ているから大丈夫っ!



本当は、ドレスを脱ぎ捨てるなんてダメなんだけどね?だって、この世界では、肌を露出する事はいいものとされていないから。



だけれど、そんなこと言ってられないでしょ?




ギル様にやばい目で見られてることを知らない私は、急いで子猫に駆けよると、溺れる子猫を捕まえると抱き上げた。



そして、子猫をあちこち確認したけどなんとか無事のようだ。



「はぁ……無事でよかった。…怪我も無いみたいね、安心した〜」



私は安心すると子猫ちゃんにふんわりとした笑顔で笑う。



そして、ほっとした私はあることを思い出す。



「あっ!そういえばっ!」



ギル様のことを思い出した私はくるっと後ろに振り返る。


子猫を助けられて嬉しくて、ギル様に手をブンブンと振りながら報告をする。



「ギル様ぁ〜!!!子猫ちゃん無事でしたよ〜!!」



嬉しすぎて、露出した肌に、泥や藻で汚れていることなんて忘れてる私は、キラキラとした満面の笑みで手を振った。



「……」





すると、焦りながら走ってきたルリがあらわれる。



「リ、リリィ様!!ほんとなんてことを…!!それにその格好!!あぁぁあ!婚約前の令嬢が……」


「子猫ちゃんも私も無事よっ!」



慌ててるルリにウインクを返す私に



「そういう事ではありません!!」



そう言って怒りながらも、私と子猫ちゃんを引っ張りあげてくれたルリは、まだ慌てていて



「少々お待ち下さい!急いでタオルとお着替えの準備をしてまいりますっ!絶対に!!そこから動いてはなりませんよ!!絶対に!!」



そう忠告すると、私の返事を聞かずに慌ててルリはどこかに消えていった。



ルリったら嵐みたいなんだから〜



なんて呑気にルリを待ちながら、池を眺めているとあることに気がついた。



あれれ?ギル様どうしたのかな?



私は、池の中でまだ動かないでいるギル様を見つけると、ゆっくりと近づいた。



そして、私は呆然としているギル様に声をかけると笑顔で手を差し伸べた。



「ギル様!風邪ひいちゃいますよ!お手をどうぞ!」




☆.*˚




───リリィのせいでギルは、びしょ濡れだと言うのに、そんな事はもう忘れているリリィはキラキラとした笑顔で手を差し伸べる。



ギルは、目の前で起こった全てのことに驚きを隠せないでいた。



「…あ、あぁ、ありがとう」


「どーいたしましてっ!」



ギルの目の前で笑うリリィは、下着姿でびしょ濡れ、そして酷く汚れている顔は、よく分からない。



この世は、常に美しく着飾り何を考えているか分からない笑顔を浮かべる令嬢ばかり。



そして、それはギルも同じ。



リリィは自分の姿なんて気にもせず、とても楽しそうに笑っていて、その姿はあまりにもまぶしい太陽のようだった。



ギルは、名前も顔をよく分からないリリィに今まで感じたことがないほどに、胸が熱く高鳴る。



それは、一人の男が恋に落ちる瞬間だった───。




☆.*˚




──そしてこの後、事情を知ったルリは、リリィが着替えている間に、ギルの元へ向かうと死ぬほど謝ったのだった。






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