3人の意思統一
タケルは、自室にクレアとユウナギを呼んだ。
何としてもここで確認しておかないといけないことがあったのだ。
クレアは来る前に、シャルが部屋を覗きに来たので、『確認』だったのかもしれない。
変なことだったら、先にシャルがくぎを刺しに来る的な・・・
とりあえず、ユウナギ、クレア、タケルが揃った。
当然のようにシャルが控え、サポートでローレットが控えていた。
3人がテーブルについた。
シャルとローレットがそれぞれにお茶を出す。
「で、何?タケル、わざわざ呼び出して」
「何か問題でしょうか?ユウナギ様、ご懐妊的な?」
「ちょっと、ちょっと、ちょっと!あんまり変な方向に進まないで!」
タケルが一人慌てていた。
それはそうだろう。
タケルが『絶対に敵わない』と思っている2人を交えての話だ。
それでも、やらないといけないと思っていることがあった。
「今日のテーマは、『意思統一』です」
「意思統一ぅ?」
「どういうことですの?」
「最近、クレアさんとだけ、ユウナギとだけ、動いていたから3人での時間が少なかったと思うんだ。だから、それぞれ知らないことがあると面白くないこともあると思うし・・・」
「ああ、そういうこと」
「・・・」
クレアは無言で赤くなった。
(ううん)タケルの咳払いで、話は続けられた。
「一番共有しておきたいのは『学校プロジェクト』を軌道に乗せることなんだけど、ここには『ニンジン』がぶら下がっているよね」
「ニンジン?なんだっけ?」
「『馬ニンジン』の『ニンジン』だよ。つまりご褒美。」
「ああ」
「ここで上手くいかせることが出来たら、ユウナギはアルフレットさんの養子になる。つまり、クレアさんにとっても姉になる訳で・・・」
「そうですわね。でも、わたくし、ずっと姉が欲しいと思っていましたので、特に抵抗はないですよ?しかも、気心が知れたユウナギ様ですし・・・」
「私もクレアちゃん大好き。妹になるならダメになるまで甘やかすわ!」
「ダメになるまで甘やかしちゃダメだろ」
「『くらい』よ『くらい』」
タケルがそわそわしながら、続けた。
「その後は、クレアさん、ユウナギと結婚していくことになる」
「・・・」
「・・・」
クレアもユウナギもうっすら笑みを浮かべている。
それぞれ問題は無いようだ。
「成功すれば、国全体の知識の向上と発展が期待できる反面、失敗したらユウナギがどこかの貴族に嫁ぐ可能性もある・・・ここはどうしても成功しておきたい」
「私、どこかに嫁がないといけなくなったら舌を噛んで死ぬから」
「いや、怖いから・・・ユウナギなら本当にやりそうで・・・」
「ああ、そういうことですか」
「クレアさん?」
「タケルさんは、わたくしがわざと協力に手を抜いたり、それどころか、邪魔をする動きをしてプロジェクトを失敗させて、タケルさんを独り占めする心配をされているのですね?」
「そこまで直接的じゃないですが・・・まあ」
「ちょうどいい機会だから腹を割ってお話しておいた方がいいですわね」
ちょっとタケルが挙動不審になった。
クレアがタケルの方を少し見て、軽く微笑んでから話し始めた。
「ユウナギ様が姉になった場合、わたくしは甘えるような関係ではなく、ライバル関係になると考えてます」
「え?そうなの?私、クレアちゃんを甘やかしたい!」
「ユウナギ様には、タケルさんの幼馴染という強いアドバンテージがあります。一方、わたくしは家柄くらいしかないと考えています。それも、ユウナギ様が養子になられるということはわたくしのアドバンテージはないということ・・・」
「ちょ、ちょ、ちょ!クレアさんはすごく魅力的ですよ!?それに、申し訳ないですが、家柄については、悪いとは思っていませんが、それほど魅力は・・・」
「では、タケルさんは夜伽の時はわたくしとユウナギ様と3人をお望みということでしょうか?」
「よとぎ・・・ええっ!?そういう話!?」
「突き詰めるとそういうお話になると思います」
「・・・」
ユウナギは一人真っ赤になって言葉を発しなくなった。
その反応を見て、タケルも真っ赤になってしまった。
(スパン)
シャルがゆるゆるのハリセンで主人であるクレアの頭をはたいた。
「「(ええ!?)」」
タケルとユウナギはドン引き。
何が起きたの!?
「お嬢様、普段は優秀なのに、どうしてタケル様が関わると急にポンコツになられるのですか!?ユウナギ様にケンカを売っても誰も得をしません」
「わたくし・・・間違えましたか?」
「そうですね、夜にユウナギ様のベッドにもぐりこむくらいでないと・・・」
「それは、そういう意味よね!?ちょっと抵抗が・・・」
「ちょっと、ちょっと、ちょっと!何の話!?」
慌ててタケルが止める。
ここでタケルははっとした。
「クレアさん・・・もしかして、揶揄っていますか?」
「揶揄ってはいませんが、最近わたくし、良いところがなくてここらで少しでも意趣返しをと思って・・・」
タケルがクレアの横に行って、椅子に座ったままのクレアを抱きしめた。
「僕はクレアさんのことを好きだし、大切に思っています」
いいように抱きしめられたクレアはそのままで答えた。
「その言葉が聞きたかったです。ユウナギ様の前で」
「わ、私!?」
飛び火したユウナギが慌てる。
タケルはそのまま、ユウナギの方にも行って、座っているユウナギの背後に立った。
首の辺りに手を回し、言った。
「もちろん、ユウナギも大切に思ってる」
「な、なによ、分かってるわよ」
タケルはそのまま自分の席に戻り付け加えた。
「2人と結婚することになったんだけど、片方とキスをしたから、もう一方にもするような関係はあまり良いと思っていないです。それは、ユウナギとクレアさんは別の人間だと思ているし、別々の魅力があるからです」
「はい」
健やかな笑顔で目を伏せてクレアが返事をした。
「・・・はい」
ユウナギは訳が分からず相槌を打った。
「何かあったとき、力を貸してほしいんです。いつもでなくていいから、必要な時は団結できるような関係が嬉しいです」
「良いと思いますわ」
「私も」
とりあえず、一番確認しておきたい部分は大筋で話が出来たようだった。
「それで、枝葉の部分も話しておきたいんだけどいいかな?」
「当然ですわ」
「私も・・・」
明日の更新も朝6時です。
よろしくお願いします。




