ユウナギのヤラカシ
「タケル大変なのー!」
アルフレット(クレアパパ)の晩餐会から帰ってきたユウナギがタケルに駆け寄ってきた。
「のび太くんかな?」
部屋でゆっくりしていたタケル。
「大変なの~!」
ユウナギが抱き着いてきた。
「え?ええ?!なに!?」
「私、お嫁に出されちゃうかも~!?」
「ええ!?詳しく話してよ」
ユウナギは割と深刻そうな顔をしている。
どうも冗談ではなさそうだった。
***
ユウナギの話では、晩餐会では、にこにこして座っていたらしい。
料理の準備などは侍女達が全てやるので何の問題もなかった。
ドレスもマティアスに合わせて地味目のものを選んだ。
食事もマナーよく出来、聞かれたことも完ぺきに答えたらしい。
そして、食後の余興として、炎の魔法を使って見せたらしい。
そこでも失敗はなかった。
ちゃんと踊って見せたし、上手にできたらしい。
練習もしたし、その練習通りだったらしい。
*
「それのどこに問題があったの?ちゃんとできたんでしょ?」
「ちゃんとできたの。ちゃんとしすぎてたの!」
「はあ!?」
「にこにこしていたのは、好印象だったらしい。」
「・・・それはよかったな」
だから、どこに問題があったのかとタケルは疑問の表情だった。
「ドレスは地味目のものを持って行ったんだけど、アクセサリーくらいと思って、ママの真珠のネックレスを借りて行ったの」
「ああ」
「それが、こっちではすごい価値と思われたみたいで、みんなが色々聞くけど、詳しく知らないって答えたら、すごい宝石なのに普通に使ってたからって、すごいお金持ちって思われたみたいで・・・」
「あぁ、でも、それだけで?」
「食事の時に色々質問されたのって、最初は意地悪的にわざと難しいことを聞いてきていたらしいの・・・」
「それで?」
「全然気づかずに、全部答えちゃったし・・・」
「例えばどんなこと?」
「さっきのネックレスの真珠はどうやってできるか、とか」
「なんて答えたの?」
「主にアコヤガイって貝の内部で育つって・・・」
「それくらいなら大丈夫だろう?」
「あとは、真珠にどうやってこんな小さな穴を開けたのかと聞かれたの」
「ああ、それで?」
「ドリルだろうから、この世界にはないと思って・・・」
「ないと思って?」
「マティアスの職人ならば小さな穴を開ける技術があります、って答えちゃった♪」
ユウナギがウインクをして舌を出した。
「そんな技術はなーい!」
「だって、後で調べたら、0.8mmの穴なんてドリル以外で開ける方法なんて知らないし・・・」
「回転機構は何とか作れても、ドリルの刃はこの世界では作れないだろうし・・・」
「タケル、後で何とかしといて~」
「丸投げかよ!?」
「他にもあるの」
「今度は何!?」
「弓についての質問なんかは、つい『私ならできる』くらいのことを言っちゃって・・・」
「うん」
「部屋からアーチェリー持ってきて70m先に置いたリンゴを打ち抜いて見せたら、すごい騒ぎになっちゃって・・・」
「それって相当じゃない!?」
「ほら、私、部活で・・・」
「それにしたって、素人目に見ても70m先って・・・プールでも25mだから、3個分!?」
「アーチェリーの弓とスコープが良いやつなの」
「それでもすごい技術だよ。それは誇っていいんじゃ・・・」
「特別な弓を職人に作ってもらえるほど職人に愛された女神・・・ってことになって・・・」
「すごそう」
「その後の炎の魔法のダンスも・・・魔法力が高く評価されちゃって・・・」
「裏目に出たって言うか、表方向によく出ちゃったんだな」
「しかも、その上で街での評価が話題になって・・・」
「ああ、『知恵の女神』の話かぁ」
「ここの侍女さんの一人がたまたま通りでの歌を覚えてて、掛け算をすらすら答えちゃったの」
「まあ、九九を覚えてたらできるよなぁ」
「帰りがけに貴族様たちを送り出していたら、次々に『今度はうちの領に来てください』とか『うちの息子の嫁にせひ』とか・・・」
「なるほど・・・」
タケルは頭を抱えていた。
「何とかなる~?」
「何とかするよ。ユウナギを他にお嫁に出されちゃったら困るし・・・」
「きゃー、素敵!嬉しいわ、タケル!」
*
1週間後、大量の求婚申し入れの書状がアルフレットの元に届いたのだった。
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明日の更新も朝6時です。
よろしくお願いします。




